広告会社の営業が動画内製化をはじめた理由|数日かかっていた動画編集作業がPremiere Proで20分に!

テーブルの上のパソコン
自動的に生成された説明

動画制作に欠かせないのが、専門の動画クリエイターやデザイナーです。企業マーケティングの現場でウェビナー用の動画や製品紹介動画を制作している時、ちょっとだけ出てくる修正依頼までプロの手を借りていては、やはり時間も工数もかかってしまいます。こんな時に、自分で動画制作をできると作業スピードもはかどり、生産性も大きく上がります。2022年6月に実施したオンラインセミナー「動画内製化実践者が語る、内製化のいいとこアレコレ」第一弾から、日本経済広告社の取り組みを紹介し、その効果と実践について見ていきます。

もくじ

  • 日本経済広告社が動画内製化を始めた理由
  • 動画の内製化で1〜2日の作業が20分に!
  • 制作チームのコミュニケーションも容易に
  • この3つさえ覚えれば動画の内製化は実現できる
  • 進化したPremiere Proがあれば動画内製化はこわくない!

日本経済広告社が動画内製化を始めた理由

2020年に始まったコロナ禍以降、BtoBマーケティングで急増しているのが動画制作です。それまでBtoB分野のマーケティングは、展示会やセミナーなど対面で名刺を交換し、コミュニケーションを重ねて商談化していくプロセスが一般的でしたが、コロナ禍で対面コミュニケーションが制限されるなか、オンラインを起点にした新しい手法が進められてきました。これまで会場で行っていたセミナーがウェビナーに、そして製品・サービスに関する説明が、カタログではなく動画コンテンツとして提供するなど、マーケティング活動のスタートポイントとして動画の位置付けは日増しに大きくなっています。

日本経済広告社に営業担当者として勤務する堀真樹子氏が動画制作の内製化に乗り出したのも、コロナ禍が始まった2020年のことでした。堀氏は大学を卒業してから日本経済広告社で営業担当として勤務、主にIT系などBtoB分野の企業を担当し、アドビとも約10年にわたってお付き合いしています。

グラフィカル ユーザー インターフェイス
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オンラインセミナーに登壇した日本経済広告社 堀真樹子氏

「広告会社の営業職の業務は非常に幅が広く、全体の企画立案や進行管理、外部のクリエイターや協力者の方ともコミュニケーションを取って全体をアレンジするなど多岐にわたっており、プロジェクトがうまく進行するように全体を見る役割をしています」(堀氏)

そんな堀氏は、学生時代はもちろんのこと、広告会社に入社してからもデザイン関連のスキルを学ぶ機会はなかったそうです。そんな堀氏が動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」を使い始めたのも、コロナがきっかけだったといいます。

「世の中全体でオンラインシフトが進んだこと、また5Gの登場などテクノロジーの変化もあって、動画制作案件が増え始めたのが2020年ごろでした。そうした変化に伴い、クライアントさんと直接コミュニケーションを取る営業担当にもよりスピードアップが求められるようにもなりましたし、対面でお話ができないなか、制作に関してどのようにチームで意思疎通を行うかという難しいハンドリングも任されるようになったんです。そうしたニーズに伴い、自分でPremiere Proを使ってみようと考えました」(堀氏)

動画の内製化で1〜2日の作業が20分に!

動画を自分で内製するようになり、まず実感した効果は「仕事の効率化」です。

ウェビナー動画の制作をしていると、撮り終わった動画を見たクライアント企業から「こことここをカットして間をつなげたい」「このシーンを調整してほしい」「オープニングにアタック動画を入れてほしい」など、小さいけれども複数の要望をいただくことがよくあります。かつて堀氏は、こうした要望を取りまとめて指示書を作り、クリエイティブチームに渡すというステップで仕事を進めていました。

指示書ですぐに意図を伝えられればいいのですが、わかりにくい点や確認漏れがあれば、クリエイティブチームから堀氏に連絡がいき、改めて指示書の内容を詰めます。何分何秒からのカットの場面をスクリーンショットに撮って指示書に貼るだけでも工数がかかります。その後クリエイティブチームに作業をしてもらって動画ファイルを書き出し、クライアントに改めて納品します。この間、早くても1〜2日のタイムラグが生じていました。

しかし自分でPremiere Proを触ることができれば、クライアント企業から渡された細かな修正をそのまま自分でアウトプットしたほうがずっと効率的です。下の図にあるように、これまでは最低でも5ステップかかっていた動画の修正・編集作業が3ステップで終わります。しかも指示書を書いたり、差し戻したりという手間がかからないので、実際の編集作業は20分ほどで済んでしまうそうです。

白いバックグラウンドのスクリーンショット
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セミナー資料より(上段が従来のプロセス、下段が動画内製化後のプロセス)

「こうした編集作業が必要な動画が1カ月に3本もあれば、それだけで1週間の工数が必要でした。それが自分で内製することで、わずか1時間で済んでしまいます。現在も動画案件数は増えていますが、同じ時間内で仕事を請けることができているので、効率化できていると実感しています」(堀氏)

制作チームのコミュニケーションも容易に

動画内製化による効果は、業務の効率化だけではありません。自分自身で動画を内製することで、コミュニケーションも円滑に進められるようになりました。

「コロナ禍以降、リモートでのやり取りが基本になったので、作りたい動画の雰囲気や温度感を共有できないというケースも増えました。そうした部分を曖昧なままにしておくと、制作が進む過程で後戻りが多くなってしまいます。その頃には私もPremiere Proに慣れてきていたので、Adobe Stockで音楽をダウンロードしてラフ動画を制作し、『こんな雰囲気の音楽でこんなテンポ感でいかがでしょう』と確認するようになったところ、クライアントさんとクリエイティブチームのコミュニケーションがスムーズになったので、これも個人的には大きな成果だと思っています」(堀氏)

アドビが主催するクリエイティブカンファレンス「Adobe MAX」でも同じような出来事がありました。海外講演者の対談セッションの日本語訳テロップを作成・追加する業務があったのですが、作業に取れる時間は数日しかないなか、堀氏は文字起こしから日本語翻訳、テロップ作成、テロップ挿入指示書を作らなくてはなりませんでした。そんな時、動画制作者から「英語で話しているコンテンツなので、何分何秒からどの日本語訳を何秒表示するのか詳細な指示がないとわかりません」という意見があったそうです。そこで堀氏は、紙ではなく、Premiere Proで「この時間にこの文字を何行で入れてほしい」と動画で作業指示書を作りました。初めての経験でしたが、おかげで制作者に指示内容をスムーズに伝えられ、短時間での納品につながったそうです、

「紙で全部指示書を作っていたら、やはり1週間はかかったと思います。Premiere Proで動画内製できるようになって良かったと思った瞬間でした」(堀氏)

この3つさえ覚えれば動画の内製化は実現できる

日常的にPremiere Proを使いこなしている堀氏ですが、「クリエイティビティはやはりセンスが問われます」とし、デザイナーや制作者は動画制作に必須の存在と考えています。

「あくまで自分でやるのはシーンのカットやテロップを挿入すること、ちょっと位置を変えるといった細かい調整です。そのため自分の作業のクオリティが上がったかというと、そういうわけではありません。専門のデザイナーさんや制作者さんに任せる部分、自分で調整する部分と割り切って、作業効率向上や円滑なコミュニケーションのために動画内製をしています」(堀氏)

とはいえ堀氏は、1から自分でラフ動画を制作したり、動画で指示書を作るなど、高度な使い方をしているのも事実。いくら業務を効率化できるといっても、スキルを習得するまでには膨大な時間がかかりそうです。

これに対し、堀氏は「この3つさえ押さえておけば、動画内製化は怖くありません」と話します。それが次の3つです。

グラフィカル ユーザー インターフェイス
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音量調整とは、動画全体で音量を均一にし、視聴者が聞きやすいように整えること。冒頭にアタック動画を入れる場合、バックミュージックの音量は大きく、講演者の話す音量は小さくなってしまうケースがありますが、音量をPremiere Proで整えておくと聞きやすい動画になります。この基本3つに「ロイヤリティフリーで画像や音楽、イラストなどの素材が集まっているAdobe Stockを活用すれば、動画のクオリティアップは間違いなし」と堀氏は話します。

実際堀氏は、自分で内製化するようになって効果を実感し、同じチームに所属するメンバー7人にPremiere Proのスキルを付けることを勧めたそうです。チームメンバー全員、必要なことは自分自身でできるようになったおかげでチーム全体の生産性が上がりました。

「自分がやりたいことをピンポイントで教えてくれる人がいれば、2〜3日で簡単な作業スキルは身に付くと思います。私はYouTubeに出ているチュートリアルや、アドビのサイトでページを探すところから始めたので基礎スキルの習得1カ月くらいかかりましたが、まったくの独学でやってもそれくらいで簡単な作業はできるようになります」(堀氏)

ラフ動画の制作も、それほどハードルは高くありません。Premiere Proにはチュートリアルと共に素材も用意されていて、アプリを立ち上げるとチュートリアルが起動して一緒に手を動かしながら動画を制作することができます。独学でもしっかり学べるところがPremiere Proの特長です。

「チーム内にPremiere Proの経験者はいなかったのですが、逆にそれが良かったのかもしれません。ただ入社1〜2年の社員のなかにはTikTokをやっている人もいて、動画自体に慣れていましたし、基礎的なスキルはスマホの無料アプリで経験があったんです。実はそうやって編集経験がある人を社内で募ってみるのも、内製化を実現する手段かもしれません」(堀氏)

進化したPremiere Proがあれば動画内製化はこわくない!

Premiere Proは動画編集ツールとして、映画制作から企業のマーケティング現場まで幅広く使われています。最近のバージョンアップでは、テロップのフォントや位置を容易に変えたり、動画の共同編集ワークフローを改善するFrame.ioへの対応など、より使いやすくなっているので、お気軽にアドビまでお問い合わせください。

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