グローバルな視点で世界の景色を写すAdobe Stockアーティスト:Shingi Rice
クレジット:Adobe Stock / Shingi Rice
Shingi Riceさんは、父親が英国系アイルランド人、母親がジンバブエ人の血筋を引く、国際色豊かな家庭で育ち、スペインを自分の故郷としています。独学でファッション写真や人物写真を学んだにも関わらず、Riceさんの色彩センスとレンズを通して輝く被写体との感情的なつながりには、まるでRiceさん自身も写真の中にいるような感覚にさせられます。しかし、「レンズを通して表現する」ことに大きな意味があり、彼女が求めていることでもあります。
「写真を撮る時に大切なことは、自分の気配を消すことです。カメラを意識してしまうと、人はカメラ写りを気にしてポーズを取ろうとするからです。いかに自然な表情を引き出せるかカギとなります」とRiceさんは言います。
クレジット:(左)Adobe Stock / Shingi Rice、(右)画像提供元 Shingi Rice
転機
Riceさんの持つ広い世界観は、国際色豊かなバックグラウンドだけが理由ではありません。20歳の時に受けた心臓の手術である種の「覚醒」が起きたことにもあります。病気になるまでは、親の助言もあり、写真から離れて安定した仕事に就こうと考えていましたが、病気を克服したことですべてが変わりました。
「大学最後の年に心臓の手術を受けました。人生が変わるような大きな経験をしたことで、この先も何が起こるか分からないと考えるようになりました。だから、『自分の人生は自分で決める。私は写真家になる』という決心をしました。両親も私の写真に対する情熱を理解してくれていました」とRiceさんは当時を振り返ります。
Adobe StockのプロジェクトであるArtist Development Fund(アーティスト開拓ファンド)では、もうひとつの情熱を追求することができました。有色人種の女性、LGBTQ+の人々、障がいを持つ人々やプラスサイズのモデルを積極的に起用することでファッションの常識を打ち破りました。
「私がこれまで生きている間に見てきたストック写真は、欠点を隠していたり、白人モデルを起用した作品が非常に多かったです。Adobe Stockにある様々なストック写真を見ていくと、その多様性に勇気づけられました」とRiceさんは言います。Adobe Stockのプロジェクトでは、Queer Love(クィア・ラブ)というテーマで作品を制作しました。
「私がQueer Loveをテーマにした理由は、様々な愛の形が存在するということを人々に伝えるためでした。受賞者として選ばれたことで、ある意味、人生が救われました。LGBTQ+は私のコミュニティであり、写真を通してたくさんの人に伝える場があるということは非常に重要な意味を持つからです」とRiceさんは語ります。
クレジット:(左)Adobe Stock / Shingi Rice、(右)Adobe Stock / Shingi Rice
選ばれたコミュニティ
帰属意識はRiceさんにとって大切なことです。兄弟姉妹がおらず一人で過ごすことが多かった子供の頃に、写真は心のよりどころであり、生命線でもありました。
「一人っ子で寂しかったので、何でもかんでも写真に撮っていました。昔から自分の写真などをたくさん撮ってきたことから、アートの大学への進学が決まった時に、本格的に写真を学びたいと思うようになりました」
心臓の病気を克服したという経験は、写真家としての道を歩むきっかけになっただけでなく、健康でいることの大切さを知る機会にもなりました。Riceさんは、祈りや瞑想、自然と触れ合う体験、ヨガなどを通して自分自身を見失わず、いつか南米の自然を背景に写真を撮りたいと考えています。
「感情と共に人間の表情を写真で伝えることに魅力を感じます。そして、自然の風景が大好きなので、この2つを融合したいと思いました。そこにファッションを取り入れることで、より大きなストーリーが生まれると思うんです」とRiceさんは語ります。
クレジット:Adobe Stock / Shingi Rice
本質的な美しさ
イタリア版『VOGUE』の表紙を撮ったこともあるRiceさんは、ファッション写真の片隅に追いやられがちな人間の美しさを伝えたいという意欲に磨きをかけています。
「私にとって、本質的な美しさを伝えるための継続的なプロジェクトだと思っています。レンズを通して私が見る本来の美しさは、メディアで認識されている美しさとは違うからです。私は、ありのままの美しさをとらえることが好きなんです。様々な顔、肌の色、髪の質感などをそのままの姿でとらえたいのです」とRiceさんは語ります。
Riceさんの作品には感情が宿っています。クィアのモデル同士や写真家とモデルの間に生まれる愛情に満ちたつながりが写されています。マイノリティと言われる日の当たらない場所にいた人々をメディアという光の中へ誘い出す時は、熱意と同時に不安も生まれます。そのため、自分のコミュニティを表現するために、たくさんの努力をして信頼関係を築いてきました。
「私を含め、LGBTQ+の人々を広告やテレビで見ることはほとんどありません。自分自身を知ってもらったり、見てもらうことはいいことです。必要とされていると感じ、話を聞きいてもらえ、存在していると認識できますから。メディアはその点、あまり良い仕事をしていないと思います。私が撮影時に最も大切にしていることは、信頼関係です。信頼がなければ相手は心を開いてくれず、ありのままの姿を見せてはくれません」
クレジット:(左)Adobe Stock / Shingi Rice、(右)Adobe Stock / Shingi Rice
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この記事は2022年7月28日に Sarah Rose Sharp により作成&公開されたA view between worlds: elevated visions with artist Shingi Rice の抄訳です。