アフリカ系移民の人々の「自然の中での仕事や暮らし」を伝える写真家:Christina Nwabugo
クレジット:Adobe Stock / Christina Nwabugo
Christina Nwabugoさんは自身の仕事について語る時、1928年に『Chariot of the Sun』という詩集に最初に掲載されたHarry Crosbyの詩『Photoheliograph』に触れることにしています。この詩は、「black(黒)」と「SUN(太陽)」という2つの単語が並んだテキストのかたまりです。長方形に活字で組まれたこの詩は、各行に「black」という単語が5つも繰り返され、ほとんどがこの単語からなりますが、中央に1つだけ大文字で「SUN」と印字されています。
目次
- 自然の中で
- 家族と森林
- 文化に近いところ
「『Black and Sun』という詩は、ただblack、black、black、black、blackと言葉が並んでいるだけです」とNwabugoさんは言います。「太陽は私たちに直に降り注いで、私たちの豊かな黒い肌が、黒々とした太陽になるのです」
クレジット:(左)Adobe Stock / Christina Nwabugo、(右)Christina Nwabugoさん提供 / Christina Nwabigoさんの顔写真
クレジット:Cary Nelson著『Anthology of Modern American Poets』のバージョン
自然の中で
ロンドンを拠点に写真家として活動するイギリス系ナイジェリア人のNwabugoさん。彼女にとってこの詩が1つの軸であるというのも納得です。Nwabugoさんは自身の作品について、「自然と、そのまわりのコミュニティ」をテーマにしたものだと説明します。太陽を中心に単語が並ぶCrosbyの詩のように、Nwabugoさんが被写体とする人々は、柔らかい陽光が降り注ぐヤシ林や、周囲の環境に溶け込むような素朴な住宅を優しく包む光など、緑豊かな熱帯地域を舞台にポーズをとっています。
「私の作品は一貫して、アフリカ系移民の人々が自然の中で仕事や暮らしを送る様子をテーマにしています。写真を制作する時は、まだ語られても発見されてもいないストーリーを探すようにしています」とNwabugoさんは語ります。
自らのルーツであるアフリカへの精神的なつながりに加え、写真への特別なこだわりと技術的な完成度の高さが評価され、Nwabugoさんは2022年にAdobe StockのArtist Development Fund(アーティスト開拓ファンド)を通じて撮影を引き受けることになりました。このファンドは、ストック画像の正確さと美的な完成度を支え、促すことを目的に創設され、資金提供が不足しているコミュニティ出身のアーティストの新たな作品の制作を支援することを目的としています。
NwabugoさんのAdobe Stockポートフォリオは、周囲の環境と調和するコミュニティが写され、お揃いの藍染めの服やカラフルなろうけつ染め(溶かした蝋で模様を描き、その部分以外を染色する技法で作った布地)に身を包み、さまざまなポーズをとる人々が描き出されています。そこに写るストーリーは、周囲のヤシ林との関係性を描いているように見えますが、Nwabugoさんが撮影した被写体の中には、苗を植えるのと同じくらい、スマートフォンを扱うことに慣れているような人もいるようです。そこから読み取れるのは、同じく詩人のWalt Whitmanが唱えた「人は多義性を持つ」というメッセージです。つまり、人は現代文化から完全に切り離されていなくても、自然と調和した暮らしを送れるということです。
クレジット:(上)Adobe Stock / Christina Nwabugo、(左下)Adobe Stock / Christina Nwabugo、(右下)Adobe Stock / Christina Nwabugo
家族と森林
Nwabugoさんはこれまで、Adobe Stock向けに3つのプロジェクトに取り組んできました。1つ目は自宅でのガーデニングを通じたセルフケア、2つ目はエコ染色を行う人々、3つ目はナイジェリアのラゴスにあるラファシ自然公園に暮らす家族をテーマとするものです。
「Adanekeさんはラファシ自然公園の管理人として働いていて、自然保護活動家でもあります」とNwabugoさんは説明します。「ラファシの土地を買ってビルを建てたいという人がいますが、それはとんでもないことです。Adanekeさんが写真を認めてくれるのは、写真を撮ることがラファシを永遠に伝えることになるからだと思います」
こうした自然のイメージは、自分よりも長い生命を持ち、自身がいちばん親しみを覚えるものについてメッセージを伝えるものを制作する、というNwabugoさんの価値観と一致しています。
「私は今、自分の寿命を超えて生き続けるレガシーを作り上げることができます。私が今していることが、確かな形となって残るのです」とNwabugoさんは語ります。「写真を見れば、ナイジェリアのジャングルにいるような気分になり、にぎやかな鳥の声を聞いて、水が流れる音に耳を澄ますことができます」
「水」もまた、Nwabugoさんが軸として大切にしているものです。水が持つエネルギーや世界を循環する様子から無限のインスピレーションが湧いてくるというNwabugoさんは、こう語ります。
「私は水に強く惹かれます。地面や大地から来る自然のエネルギーを取り込んで流れてくるものは、私たちに静寂を与えてくれます。川や近くの滝に逃避して、コンクリートと鉄の世界から離れて、ただ川の流れに身を任せるのです」
クレジット:(左上)Adobe Stock / Christina Nwabugo、(右上)Adobe Stock / Christina Nwabugo、(下)Adobe Stock / Christina Nwabugo
文化に近いところ
芸術一家に生まれたNwabugoさんは、芸術への熱意を大いに肯定されながら生きてきました。しかしナイジェリアでの活動を通じて、彼女は新たなスタイルを開拓することとなりました。
「ナイジェリアにいる理由は色々あると思いますが、写真のためだけではありません。私の文化に近いところにいるためでもあります」
被写体や周囲の環境に対するNwabugoさんの親しげな態度は彼女の作品にはっきりと表れており、緑が豊かに生い茂る一方で、リラックス感のある親しみやすい作品に仕上がっています。彼女が写す森の風景では、親しげに誘い込むようで、でもどこか別世界のような光があたりを包んでいます。被写体が森を探索したり、熱帯林の巨大な葉が敷き詰められた地面でくつろいだり、あるいは周囲の自然を取り込んだ家庭での暮らしのワンシーンを見せている時、彼らは安らぎと親しみに満ちた様子で光り輝いています。Nwabugoさんの写真には、しっかりと自分を持った幸せな人々が写っており、Nwabugoさんが彼らに対し真心と敬意を持って関心を寄せていることが感じ取れます。
「昔のストック写真を見ると、真っ白なキッチンと緑のサラダばかりでした。でも今は、飾らないライフスタイルを見せるものが増えています。現在のAdobe Stockのライブラリは、この世界で現実に生きる人たちの堂々とした姿を表しています」
Nwabugoさんのポートフォリオには、未知の土地への招待や、自分のルーツへの回帰、あるいは自然の一部を自宅に持ち帰り、ただ平穏な暮らしを送るよう背中を押すなど、見た目にも楽しく、優しい行動を応援するようなテーマの写真が並んでいます。
「目に見えないけど確かなナイジェリアの精神、つまり自然について語る作品集を作ろうと思っています。この国では、自然はどこにでもあります。自分が暮らす家の一部にもできます。それが、私が伝えようとしているストーリーです」
Christina Nwabugoさんのアートワークをもっとご覧になりたい方は、Adobe Stockでご確認いただけます。Adobe Stockコントリビューターへの登録や、写真、ビデオなどのコレクションへの投稿については、こちらのページをご覧ください。
この記事は2022年10月25日にSarah Rose Sharpにより作成&公開されたNew look, old growth with photographer Christina Nwabugoの抄訳です。
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