法改正でどうなる!?建設業のビジネスプロセスの変化とは

2021年9月に施行された「デジタル社会形成整備法(デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律)」において押印・書面にかかわる制度が見直され、それに伴い多数の法律が一挙に改正されました。それによって、業務改革が大きく発展すると見られているのが建設業界です。

果たして、法改正は建設事業者の業務にどのようなインパクトを与えるのでしょうか。その疑問を解き明かすべく、アドビのマーケティングスペシャリスト島田昌隆が、牧野総合法律事務所所長で情報セキュリティと個人情報保護、そして電子認証の3つを軸に弁護士活動を展開している牧野二郎氏に話を伺います。

対談のポイント

デジタル化を目指す法改正の意義

アドビ島田

早速、「デジタル社会形成整備法」の成功に伴う建設関連法の改正についてお聞きしたいのですが、その前段としてデジタル社会形成整備法の意義についてお教えください。

牧野氏

デジタル社会形成整備法は、文字通りデジタル社会を形成するための環境を整えるための法律です。最大のポイントは、日本企業における業務のデジタル化・効率化を阻害してきた「押印」を徹底して不要にしたことです。これまで政府・行政への提出書面への押印を求める法律が多数あったのですが、デジタル社会整備法の施工に伴い、これらの法律のすべてが改正され、押印が廃止されました。

これによって、例えば、PCで作成した契約文書を印刷して押印し、郵送したのちにまた書面をスキャン(デジタル化)して保存するといった非効率な手順を踏まずデジタルデータによる一貫性を確保することが可能になったわけです。

押印が不要になるというのは小さな変化に思えるかもしれませんが、それは、企業に相応のベネフィットをもたらす変革であると見ています。

アドビ島田

そのベネフィットは、日本の期間産業の一つである建設業界にも均しくもたらされると考えます。そこでお聞きしたいのは、建設関連の法改正が具体的にどのようなインパクトを業界の事業者に与えるかです。

牧野氏

建設事業者の¥業務のデジタル化・効率化に大きなインパクトを与えうる法律には、デジタル社会形成整備法の施工に伴って改正された「建築士法」や「建設業法」のほかに「e-文書法」や「電子帳簿保存法」なども含まれます。これらの法律は一様に、押印や書面の交付・補完のデジタル化を巡る規制が緩和される方向へと進んでいます。これにより…。

(続く)

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