育児も自然も仕事もMBAも!
やりたいことをあきらめないアドビのフレキシブルな働き方

A group of people sitting on a couch Description automatically generated with low confidence

アドビはさまざまな社員が活躍できるよう、多様な働き方を応援しています。フルリモートで、場所にとらわれずに働く「リモートワーク」、そしてオフィス出社と在宅のバランスを50:50にした「ハイブリッドワーク」もそんな取り組みから生まれたもの。コロナ禍でリモートワークを経験したことで、「時間・場所に関係なく仕事が成り立つ」ということが証明されて以来、新たな働き方のルールをフレキシブルに採用しています。そんなアドビのユニークな人事制度や、実際のハイブリッド/リモートワークでの働き方について、人事部シニアマネージャーの杉本 隆一郎さん、カスタマーサービス&サポート本部 の八木 正浩さん、グローバルコミュニティチームの武井 史織さんが語り合いました。

場所も時間もフレキシブルに働こう

——アドビでは社員が活躍できるようにフレキシブルな働き方のルールを実践しているそうですが、どのようなものなのでしょうか。

杉本:フレキシビリティを促進する働き方として、アドビは2つのアプローチを実践しています。1つは「場所」のフレキシビリティで、アドビのワークスタイルとしては「ハイブリッドワーク」と「リモートワーク」という2種類があります。

もう1つは「時間」のフレキシビリティです。アドビではコロナ前からフレックスタイム制を導入しており、10時から15時までをコアタイムとしていました。しかしコロナ禍に入った2020年後半からはコアタイムをなくしたスーパーフレックス制となっています。今後またコアタイムが復活する可能性はありますが、現状ではこのような形で運用しています。

——これはグローバル全体で同じルールなのですか?

杉本:はい。アドビではコロナ禍で社員全員が完全リモートワークとなりました。それをどのように戻していくかという話になり、議論を重ねていったところ、2022年10月以降に「50%をオフィスで過ごす」という方針が示されました。まず50%から戻そうというアプローチからスタートし、現在に至っています。

現在、品川・大崎にあるアドビのオフィス通勤圏内にいる社員は基本的にハイブリッドワークとなっています。リモートワークの対象者は、いくつかの基準をクリアし、会社からリモートワークで業務に支障はないと承認されればリモートワークとなり、九州や北海道などのオフィスへの通勤圏外で仕事をすることが可能です。オフィスに来るのは「出張」扱いになります。

八木:自宅がオフィスということですね。私自身はハイブリッドワークなのですが、同じマネージャー職でリモートワークしている社員もいます。

(左から)コミュニティチームの武井 史織さん、カスタマーサービス本部の八木 正浩さん、人事部の杉本 隆一郎さん

杉本:リモートの方はまさに「自宅がオフィス」ということです。またアドビならではのユニークなルールでいえば、家族へのサポートも積極的なことが挙げられます。たとえば産前産後休業は一般的に6週〜14週間ですが、アドビでは26週間ですし、男性の育児休業も16週間です。一般よりも長い時間を設定することで、家族と過ごすことをサポートしています。

武井:私も2021年5月に半年間の産休・育休を取りました。その間給与は全額支払われましたが、やはり子どもの成長が見たくて、チームに説明して育休を半年延長しました。その間は無給ですが、子どもと一緒に過ごすことができて取って良かったです。

八木:私の子どもも年子なので、2021年〜2022年の2年間にかけて合計8カ月の育休を取りました。男性が育休を取ると職場に居づらくなるといわれますが、私の場合は第一子の育休明けにマネージャーに昇進したので自分でもびっくりしましたね。立場が悪くなるということはないですし、アドビのサポートには感謝しています。

ハイブリッドとリモート、それぞれの働き方

——八木さん、武井さんはどのような業務でどのような働き方をなさっているのですか?

八木:デジタルメディア製品のカスタマーサービス本部サポート部門に所属し、サポートオペレーションチームのマネージャーをしております。業務内容としてはサポートの品質管理やトレーニング、サポートWebページになります。

カスタマーサービス&サポート本部 八木 正浩さん

私は神奈川県藤沢市の江ノ島近くに住んでおり、コロナ前まではフル出社でした。いまは通勤圏内のハイブリッドワークで、週に数日出社し残りは自宅で仕事をしています。

武井:私はAdobe Creative Cloudを活用する人たちのコミュニティー 活性化をミッションとするグローバルのコミュニティチームに所属しています。デザインテンプレートを活用して誰でもデザインできる「Adobe Express」という製品に合わせたアンバサダー プログラムがグローバルの方で走っており、現在そのプログラムの日本の立ち上げを担当しています。

米本社の所属で、もともとリモートで業務を遂行していたことからリモートワークとなりました。いまは山口県・瀬戸内海沿岸 に暮らしており、山口と東京の2拠点で仕事をしています。

——武井さんが瀬戸内に移られたのはどのようなきっかけがあったのでしょうか?

武井:いくつかあります。まずコロナ禍で生き方を考え直したこと。自分らしくいられるのに必要なものを考えた時、自然が豊かな場所で暮らしたいと思ったんです。また、生まれた子どもを自然のなかで育てたいという気持ちもありました。

米本社Adobe Creative Cloudコミュニティチームの武井 史織さん

一方で、東京の拠点をキープする構想もあったので、国外含めて検討したのですが、当時は国外移動が難しかったこともあり、縁があって巡り合った山の中腹部にある家に引っ越すことになりました。最初はWi-Fiがつながらず焦りましたが、いろいろな協力を経て2拠点で働いています。

時差があるので朝から午前中はアメリカのチームとやり取りし、日中は日本のチーム、そして夕方にヨーロッパのチームとミーティングします。そしてひと段落ついたら、車で橋を渡って 島の保育園に子どもを迎えに行く毎日です。

——とてもお忙しいようですが、日々のリフレッシュや切り替えの時間は取れるのでしょうか?

武井:リモートの打ち合わせはほとんどレコーディングされているので、忙しい時には、私の参加が必須でない会議に対しては後でレコーディングを確認することにしています。山に散歩にいきながら打ち合わせ内容を確認することもありますが、むしろそっちのほうが内容が頭に入っていきやすいです。アイディア出しをしないといけない時には、裏庭にある竹林に椅子を出してランチを食べながら自然のなかでアイディアを練っています。

八木:それはうらやましい。

自然豊かな瀬戸内海沿岸で働く武井さんの話に聞き入る八木さん、杉本さん

——八木さんのハイブリッドワークはいかがですか?

八木:約3年にわたるコロナ禍でリモートワークに慣れていたので、最初に「就業時間の50%は出社してください」という話があったときには正直抵抗がありました。でもオフィスに行くと、チームメンバーや他の方々と話ができますし、いい刺激になります。

私もマネージャーなのでチームのエンゲージメントは気になっているのですが、やはり「場所と時間を共有する」ということは大きいです。会議にしても、話しやすさはやはり対面会議のほうが圧倒的にやりやすい。そう考えるとこの「50%の出社」というバランスは絶妙で、仕事にも重点を置きつつ家庭での時間も大切にできるなかなかいいバランスだと思います。

杉本:私もオフィスに出社するようになり、一緒にお菓子をつまんだり仕事の様子が見えたりするのはいいなと思います。営業チームと近いエリアのデスクを利用しているので、営業チームがお客様とやり取りするのを見ていると、こっちも頑張らなきゃと奮起しますね。

八木:そう、刺激が得られるのがいいですよね。

時間ができたので念願のMBAコースにも入学

——武井さんはリモートワークですが、仕事をするうえでたとえば情報の格差であったり、難しさを感じることがありますか?

武井:コロナ前は日本全国でコミュニティ系のイベントの企画・実施を担当していたのですが、コロナでリアルイベントができなくなってしまったんです。その分オンラインに移行したので、クリエイターの方々とオンラインで話すことは変わっていません。そのため自分が前向きに情報を探していれば、情報が入ってこなくて困るということはないんです。

またクリエイターの方々もコロナを機に大都市から離れ、古民家を使ったスタジオやアトリエで作品を発表するという形も増えたので、そういう方々とリコネクトすることもあります。クリエイターの強みはそれこそ田舎でもどこでも働けることなので、個性的な場所でコミュニティが発生しているんですね。そういうところがポツポツありますし、私も地元のオンラインメディアから取材を受けて出させていただく機会もあったりすると、それを見てまた地元のクリエイターの方から連絡をいただくなど、活発にやり取りしています。「自分がこういうことをしている」「大事にしていることはこれで、こういうことをやりたい」という思いをしっかり発信できると、向こうからまた来ていただけるんですよね。

ただ地域での情報格差ということでいえば、どこに住んでいるかではなく、探し方を知らないという面があると思います。アクセスの有無ではなく、情報を探し方が大切です。

——なるほど。八木さんはハイブリッドワークの難しさを感じていらっしゃいますか?

八木:やはり家族と密にコミュニケーションを取ることが大切ですね。出社する日はパートナーに子どものことを任せますが、逆にパートナーが保育園の送迎が難しい日には在宅で家事と子どもの送迎を担当するなど、フレキシブルに対応しています。

ただ1点困難な点を挙げるとすれば、実は昨年からアドビの奨学金制度「ラーニングファンド」を利用してオンラインで米国の大学のMBAコースを学んでいるので、非常に忙しくなったことでしょうか。仕事、家庭、MBAの三足の草鞋で頑張っています。

——それはすごい! MBAの受講は何がきっかけだったのでしょう?

八木:リモートワークがきっかけになりました。これまで通勤に片道1時間半かかっていたのですが、それがなくなったら結構時間が余るようになり、何かチャレンジしたいと思ったんです。いつかはMBAを取りたいというビジョンもありましたし、育休明けにマネージャーになったタイミングもあって、知識を身に付けたいと思って受講を決心しました。その直後に第二子を授かったことがわかったのでどうしようかと思いましたが、いまは毎日本当に忙しいですが良い経験をしていると思います。誰にでもお勧めはできませんが、やろうと思えばやりたいことは何でもできる環境です。

アドビは社員を大事にする会社

——杉本さんは、実際に働く社員の日常を聞いてみてどのようにお感じになりましたか?

杉本:コロナ禍で数年過ごしたことで、リモートやハイブリッドで働けることが証明できました。今まで「こうしなくてはいけない」と思っていたことを止めても影響はありませんでしたし、むしろその間会社としても業績が上がったほどです。これまでの既成概念にとらわれない働き方でも仕事が成り立っていきましたし、コロナ禍を機によりオープンな働き方、考え方が広がったと思います。

人事部シニアマネージャーの杉本隆一郎さん。お2人の働き方に深く共感する場面も

——今後どのような働き方のルールを作って行きたいとお考えですか?

杉本:こうした多様な働き方を実践している状態で、社員の各家庭の在り方や働き方はさまざまですが、そのバランスを取りながらうまく両立できている部分があると思います。そうした状況を鑑みると、現在のやり方を完全に昔と同じ状態に戻してしまうと優秀な社員が退職してしまう可能性もあるかもしれません。私も体制を作る側ではありますが、今の状態を維持しながらより良い働き方を作っていきたいですね。