NAB 2023: Premiere Pro の文字起こしベースの編集、After Effects のプロパティパネルなどのご紹介

Image of a screen using text based editing in Premiere Pro.

NAB(全米放送事業者協会)の展示会はいつも注目の的ですが、アドビが出展する内容にこれほど心をおどらせたことはありませんでした。

Adobe Premiere Proには、文字起こしベースの編集機能が導入されました。これは、テキストをコピーして貼り付けるだけで簡単にラフカットを作成する全く新しい編集方法です。Premiere Pro史上最もスピーディで安定したバージョンを提供するために、アドビは大変な努力をしました。さらに、自動トーンマッピング、バックグラウンドでの自動保存、強化されたコラボレーションツールなど、編集者が求めていた数十もの改良を行いました。さらに今年はAdobe After Effectsの30周年を迎えます。新しいプロパティパネルにより、コンポジション作業が大幅に高速化され、このアプリケーションが次世代のモーションデザイナーにとってより快適なものになります。NABショーのアドビブースN2438で展示された内容は次のとおりです。

Premiere Proの新機能

文字起こしベースの編集 により、ラフカットのワークフローが一新され、ビデオの新しい作業方法が可能になります。Adobe Senseiのサポートを受けたPremiere Proの文字起こしベースの編集では、最新のAIを活用してソースメディアを自動的に文字起こしします。該当する発言を見つけるために映像を何時間も見る代わりに、文字起こしされた文章にざっと目を通し、キーワードを検索してタイムラインに追加することでラフカットを作ることができます。Premiere Proは、シーケンス作成時に文字起こしを生成します。したがって、いくつかのクリップをタイムラインに配置した後、文字起こし内のフレーズをコピーペーストすれば、タイムライン内の編集内容がそれに合わせて自動的に変更されます。文字起こしベースの編集は、ノンリニア編集に組み込まれている点を除けば、新聞記事の切り抜きに似た感覚で行われます。また、文字起こしベースの編集では、編集後すぐに文字起こしからキャプションを作成することも可能です。

コンピューターのスクリーンショット 自動的に生成された説明

自動トーンマッピング により、LUTやカスタムカラー設定を必要とせずに、同じタイムライン内で異なるメディアやカラースペースを簡単に操作することができます。今日のカメラは、驚くべき量の色とディテールを記録するため、ログやその他のHDR形式の使用が増えています。自動トーンマッピングは、iPhoneのHLGなどのHDRファイルの広い色域や、SonyのS-Logなどの一般的なログ形式を変換し、SDR(標準)のシーケンスで正しく表示されるようにします。LUTとは異なり、トーンマッピングは非破壊的であり、ノイズやハイライトのクリッピングのリスクなしに、メディア全体にカラーグレーディングを適用することができます。

新機能以外にも、アドビはユーザーからの要望に応えるための改良に注力しています。スピードや信頼性を高めるだけでなく、作業中に中断することなくバックアップを保存する バックグラウンド自動保存 も追加されました。さらに、ARRI、REDなどの新しいフォーマットへの対応やGPUアクセラレーションも拡充しています。また、新しい起動時のリセットオプションにより、メディアキャッシュのクリアなどの定期的なメンテナンス作業も簡単に行えます。

その他の改善点としては、ドラッグによるターゲットトラックの選択、より正確なマスキング、より高速なモーション グラフィックステンプレート、タイムラインでのタイトルの一括編集機能など、貴重な時間を節約する機能が追加されました。文字起こしの新しい言語サポートにより、キャプション機能には、デンマーク語、オランダ語、ノルウェー語、スウェーデン語が追加され、世界中の合計 18 言語に対応します。共同編集 のためのアップデートにより、他の編集者とのプロジェクトの共有と共同作業がよりわかりやすくなりました。チームプロジェクトでは、お互いの変更がバージョン履歴として追跡され、作業中は他の人が編集できないようにシーケンスが自動的にロックされます。

After Effectsの新機能

After Effectsの プロパティパネル は、Adobe IllustratorAdobe Photoshopの同様のパネルをモデルにしており、モーションデザインをより迅速に行うことができます。調整するためにレイヤーを掘り下げる必要はなく、操作項目はコンポジションウィンドウの隣に作業内容に応じて表示されます。試してみたり、デザインを反復するのが簡単になります。プロパティパネルはエッセンシャルプロパティとも連携しており、同じタイプのグラフィックの複数のバージョンを作成する必要がある場合にも時間を節約できます。モーションデザインの経験豊富なプロや初心者に関わらず、プロパティパネルはアイデアと実行の間の距離を縮めます。

モニター画面に映る文字 自動的に生成された説明

After Effectsでは、ACESOpenColorIO のネイティブサポートが提供されるようになりました。ACESは、非常に広い色域を持つカラーインターチェンジの標準規格であり、より広いダイナミックレンジと豊かな画像のディテールを実現します。また、他のアーティストや設備と共同作業を行っている場合でも、ACESとOpenColorIOのカラーマネジメントにより、アセットを引き継ぐ際に一貫した色を確保することが簡単になります。

アドビはユーザーの声に耳を傾け、After Effectsでより速く作業できるような改良に注力しています。選択可能なトラックマットは、多くのリクエストがあった機能で、複数のレイヤーで同じマットを再利用することで時間を節約できます。そして、新しいキーボードショートカットにより、トラックマットのワークフローがさらに簡単になりました。また、ColoramaをAfter Effectsのネイティブカラーピッカーに変更したことで、クリック数を節約できるようになりました。昨年、50種ものアニメーションプリセットを追加しましたが、After Effectsのアーティストたちに大変好評でした。今年はさらに50種以上のプリセットを追加し、アニメーション作成をゼロから始めずにすむようお助けする予定です。

ワークフローの改善に加えて、After Effectsの最高のパフォーマンスを維持するお手伝いもしています。新しい診断ツールを使えば、環境設定のリセットやプラグインのトラブルシューティングなど、ITの専門家でなくても簡単に行えます。

最新バージョンのAdobe Premiere ProとAdobe After Effectsは、Adobe Creative Cloudデスクトップアプリから直接インストールできます。

この記事は2023年04月13日(米国時間)に公開されたNAB 2023: Introducing Text-Based Editing in Premiere Pro, Properties panel in After Effects, and much more の抄訳です。