2023年度のAdobe Education Leaderが集う〜5周年キックオフミーティングを開催
アドビ製品を活用した創造的で先進的な教育活動に取り組む先生を対象とした認定制コミュニティAdobe Education Leader(AEL)の2023年度のメンバーが決定し、2023年5月14日(日)にキックオフミーティングが開催されました。2019年の日本でのAEL認定スタートから5年目となる今年のキックオフは、コロナ禍を経て4年ぶりに対面で実施。1年目からメンバーとして活動してきた先生方は久々のリアルな場での再会を楽しみ、新たにメンバーになった先生方を交えて交流を深めました。
2023年度Adobe Education Leader(AEL)のみなさん
クリエイティブな情報教育の歩みを共有
冒頭で基調講演を行ったのは、AELでもある神奈川大学附属中高等学校副校長の小林道夫先生。小林先生は1989年という非常に早い時期から同校で情報教育に取り組み続けてきた経歴があり、今年度から始まったNHK高校講座「情報I」のシリーズで講師を務めるなど多方面で活躍しています。
小林道夫先生による基調講演
小林先生は当初、人が学習を反復的に教える代わりにコンピューターを活用するという発想で教材づくりをしていましたが、1990年代後半からその発想を転換します。「情報教育とかコンピューター教育というのは、クリエイティビティをきちんと発揮させるような授業を展開すべきなんだろう、と考えるようになりました」と小林先生は振り返ります。「ちょうどAppleが『Think different』というコピーの広告キャンペーンを展開していた頃。自分で作ること、人と違う考えを持ってやっていくとか、人がやっていないことをやってみようということを中学生高校生に教えていきたい、と考えたんです。」
そこでクリエイティブな方向に舵を切りアドビ製品を積極的に導入して、Adobe Photoshop、Illustrator、Premiere Pro、Dreamweaverによるポスターやロゴ、映像、ウェブサイトなどの制作を学習に取り入れていきました。授業外で生徒がチャレンジする機会も重視し、1998年から「Think Quest Internet Challenge」(当時。現在の大会名は「全国中学高校Webコンテスト」)に、2013年からは「宇宙エレベーターロボット競技会」に、それぞれ継続的に生徒チームを送り出しています。
現在の探究学習や課題解決型学習と同様のコンセプトでクリエイティブな情報教育を早くから実践してきた小林先生。「子どもたちの創造性の開発と個性を発揮させることが大切です。いくら作ろうと言ってもツールがなければできませんので、アドビツールは非常に大きな力を発揮してくれています」と話しました。
Adobe Expressで自己紹介のグループワーク
続いてアドビ マーケティング本部マーケティングマネージャー岩本崇から、ブラウザで利用できるクリエイティブツールAdobe Expressの最新情報の紹介を行った上で、AELの先生方のグループワークの時間となりました。
Adobe Expressの紹介をするアドビ岩本。AELの先生方はすでに授業実践で日頃活用している馴染み深いツール
グループワークのテーマは、Adobe Expressを使ってグループ全員を3分間で紹介するプレゼン資料を作るというもの。事前に運営側で共通点のある先生ごとに3〜4名にグループ分け。先生方にはどんな共通点なのかが知らされていないので、先生同士でグループ内で話合いながら共通点を探し、それにちなんだグループ名をつけて、プレゼンのコンセプトを固めていきました。
グループごとに交流を深めながらチーム名や制作コンセプトを検討
奈良が共通点と判断したチームは「Team Nara」と名づけロゴから制作し始めた
30分という限られた時間ながらも、コンセプト決めから実制作まで、手際よく分担して、どんどん制作を進めていきました。AELとして活動する先生方だけあって、Adobe Expressでの制作は慣れたものです。
遊び心のある作品を楽しんで作りながらも制作する姿は真剣
最後は発表タイムです。各チーム3分の制限時間の中で、全員を紹介できるようグループごとに工夫をこらしたプレゼンで、全員が全員の自己紹介を聞くことができ、お互いによく知り合うきかっけとなりました。それぞれのキャリアストーリーをピクトグラム化したチームなど特色ある内容に笑いやどよめきの絶えない発表でした。
Webページに仕上げたりグラフィックで表現したり、さまざまな作品が並んだ
生成AIによる新機能Adobe Fireflyのデモンストレーションも
最後にアドビ Creative Cloudエバンジェリストの仲尾毅から、アドビ製品の最新動向として、AIを使った機能を紹介しました。特に注目なのはPremiere Proの文字起こし機能です。AIの音声認識で動画の文字起こしができるだけでなく、そのテキストを編集するだけで、動画のタイムラインを編集できるようになったのです。仲尾がデモンストレーションを行うと驚きが広がりました。
Premiere ProのAI機能を解説するアドビの仲尾。テキストの不要部分を削除すると動画の該当箇所もタイムラインから削除される
さらに、発表されて間もないジェネレーティブAIモデルAdobe Fireflyの機能を、ベータ版でデモンストレーション。仲尾がプロンプト(言葉による指示)で画像を生成する手順を見せると、驚きの声があがりました。さすがAELの集まりだけあって、すでにベータ版を試したことがあるという先生方もいたのが印象的でした。今後Adobe Fireflyは製品の機能として組み込まれていく予定です。
Adobe Fireflyのデモンストレーション。プロンプトだけでなく、種別やスタイルなどのプロパティの設定の両面で指示ができる
終了後にはアドビのオフィス見学も行い、みなさんリラックスした様子で交流しました。
アドビのオフィス内で記念撮影
アドビ 教育・DX人材開発事業本部 執行役員 本部長の小池晴子は、キックオフの冒頭で、「今日はワクワクするアイデアをお持ち帰りいただいて、明日からそのワクワクを日本中の教育現場に広げていっていただきたいと思います」と挨拶していました。その言葉の通り、AELの先生方がワクワクを感じて笑顔になる瞬間がたくさんあるキックオフミーティングとなりました。
(文:狩野さやか)