第三回Adobe Analyticsユーザー会2023セッションレポート②: Adobe Experience Cloud製品活用事例(パーソルキャリア株式会社様)

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先日コロナ禍で活動休止していたAdobe Analyticsのユーザー会が2022年7月8日、3年ぶりに復活しました。10月26日に第二回を、そして2023年2月21日には第三回ユーザー会を開催し、Adobe Targetおよび Adobe Analyticsの活用事例をテーマに、ユーザー様による登壇セッションやクイズなどを交え、ご参加いただいたユーザー様と議論しました。

今回のセッションでは「Adobe Targetによるパーソナライゼーション施策とAdobe Analyticsの分析事例」と題して、ディップ株式会社様、パーソルキャリア株式会社様にご登壇いただきました。本記事では当日のセッションレポートの第二弾として、パーソルキャリア株式会社様(以下、パーソルキャリア社)が実際に取り組まれている、Adobe Analytics・Adobe Targetの活用事例やデータ活用に関する取り組みについてお届けいたします。

スピーカー:

パーソルキャリア株式会社 P&M本部データビジネス部ビジネスプランニンググループ

シニアエンジニア(データ/テクノロジー)

小林 裕也 様

パーソルキャリアについて

パーソルキャリア社ではHRサービスとして、新卒採用、中途採用、管理職・エグゼクティブ層、バイリンガル人材まで幅広い領域の仕事探し・採用支援を行っています。「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」をミッションに掲げ、『doda』などの転職サービスや、採用マッチングサービスを提供しています。

組織・ミッション

概要

小林様は現在、パーソルキャリア社のP&M(Product & Marketing)本部に所属されており、さらにその配下のデータビジネス部にて業務に取り組まれています。データビジネス部では、データを元に下図のようなリボン図で表されるマッチングビジネスモデルを捉え、カスタマーの行動を理解することで、サービスの利用を促していくことをミッションとしています。また、部署内にはデータサイエンティストやアナリスト、ストラテジスト、エンジニアが多数在籍しており、自社内でデータを活用し課題を捉えるといったことも行っています。

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データ活用

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データビジネス部でのデータ活用においては、サービスのDB(オフライン)やAdobe Analyticsのデータ(オンライン)をそれぞれ個別に利用するだけでなく、それらのオフライン行動データとオンライン行動データを一つのファクトと捉え、統合されたCDP(Customer Data Platform)として活用しています。

Adobe Experience Cloudの製品活用事例:『仕様・活用ナレッジ展開』

基本ナレッジのWiki化・動画コンテンツ作成

ここからは、具体的なAdobe Analytics / Adobe Targetの活用事例についてご紹介します。一つ目は『Adobe Analyticsの仕様・活用ナレッジ展開』の事例になります。この取り組みでは、まず問い合わせ対応の依頼先となる窓口の集約から始め、その後自社サービスであるdodaに特化したAdobe Analyticsの活用ナレッジをテンプレートとしてまとめ、Wiki化して社内へ展開しています。また、Adobe Analyticsの一般的な基本操作方法や仕様等については、独自に動画コンテンツを作成し、同様に社内ユーザーへの展開を行っています。

上図は、実際にWiki化をしたものの例になります。そもそもWeb解析というものをどの様に捉えればいいのか、といった考え方の部分や、Adobe Analyticsの機能の中でも自社内で使うべき機能はどれなのか(使わない方がいい機能はどれなのか)というような情報などをまとめています。

他にも、dodaアプリ版とWeb版での計測環境の違いや、設定されている変数を毎度探す手間を省くための変数一覧表に至るまで、様々なナレッジをまとめ、Wiki化しています。

データ活用に役立つ情報のWiki化

製品の基本ナレッジ以外にも、「カスタマーをデータで捉え、サービス利用を促していく」取り組みの一つとして、カスタマー一人一人がどの様な行動をしているかを理解するための情報もWiki化し展開しています。

こちらは、Adobe Analytics上でユーザー単位がどのように計測されるのか、そして人単位でデータを計測するにはどうすればいいのか、といった情報をまとめた例です。

そしてこちらは、Adobe Analyticsのログデータの構造や、そのデータをどの様に使うのかというサンプルを表にまとめたものになっています。この他にも、DHW/DMを活用したダッシュボードやアドホックな分析ケースをまとめて展開し、GUIだけではないデータ活用も進めています。

実装に関する知見もWiki

サイトの計測実装においては、タグマネージャーやJSライブラリなどが実際にどのように動いているのか、といったサイト実装の基本挙動・仕様に関する知見が、企画側にも開発側にも必要となってきます。そこで、そういった実装に関する知見についてもWiki化・展開することで、外部の支援会社に依存しきるのではなく、徐々に内製での実装理解が深まるように努めています。

Adobe Experience Cloudの製品活用事例:『要件・実装サポート(Adobe Analytics)』

続いてご紹介するのは、データ計測要件定義に関する知見サポート実施の事例になります。サイトやアプリのUI/UXディレクター・プランナーによる企画立案の後、案件を進行させていく中で、評価設計や要件定義をするにあたって「正しく評価分析を行う為のデータ計測要件定義」が必要となります。

その際、企画・開発側で齟齬なく要件定義 〜 実装を行う為にも、データ計測要件を各ポイント(計測のタイミング、計測の方法など)でドキュメンテーションするなど、製品仕様・データ構造・実装仕様を踏まえた計測要件定義の知見サポートを行っています。

Adobe Experience Cloudの製品活用事例:『Adobe Target: ツールベースのABテスト』

最後に、Adobe Targetに関する取り組みを二つご紹介します。Adobe Targetで実施するABテストには、大きく分けて「ツールベースでのABテスト」と「内製基盤でのABテスト」の二つがありますが、まず一つ目の事例としてご紹介するのは「ツールベースでのABテスト」におけるケースになります。

ツールベースの場合、基本的にAdobe Targetで捕捉できるユーザー(=Cookie /ユニークユーザーID単位) を対象としたテストの実施となります。もちろん、なるべくプロファイルの拡充によるユーザーセグメントの精緻化に努めますが、実際にサイトに訪問してきた「人間」が今現在どのようなステータスなのか、というように人間単位でみていく必要のあるケースでない限りは、基本的にAdobe AnalyticsとAdobe Target、そして両製品の連携機能であるA4T(Analytics for Target)を活用して評価分析を行います。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション 自動的に生成された説明

例えば、ある特定の集客チャネルからアクセスしてきた、ある特定のカテゴリーに合致したユーザーの、ある特定の導線に改善の余地があるということをまずAdobe Analyticsを活用して分析します(分析の際、DWH/DMから独自カテゴリ・スコア値を生成し、それらを分類インポーターを使ってAdobe Analyticsに連携)。そしてそこから、改善に向けた施策をAdobe Targetで実施し、その施策の振り返りをA4Tで行っていく、という様な流れになります。

Adobe Experience Cloudの製品活用事例:『Adobe Target: 内製基盤でのABテスト』

続いて、Adobe Targetが使いづらい・使えない場合に実施する「内製基盤でのABテスト」のケースをご紹介します。具体的には、DBでのユーザステータスなどを元にした、会員機能に対してのABテストのケースになりますが、このようなケースでは、ツールベースのユーザー単位だと「評価対象の機能実現が正確に行えない 」「DBデータとの乖離による機能障害が発生する」などのリスクがあります。そのため、内製での開発をベースとし、フロント側で機能露出を行うカスタムコードをAdobe Targetに仕込む方式をとっています。

Appendix:組織内各所のデータ活用に関わる取り組みを振り返って

1.データの資産化の重要性

DBのデータだけでなく、行動ログのデータ等もファクトとして捉え、いかに精度の高いデータを鮮度の高い状態で持ってこられるかが重要なポイントになってきます。

2.レポーティングは目的ではなく手段

あくまでゴールは課題の解決であり、そのためにどの様な手段で、どんなファクトを捉えていけばよいかを考えることが大事です。

3. 外部支援会社への依存体質は 「 非常に危険 !」 

あまりにも外部支援会社へ依存しきってしまうと、各ツールが何をしているのか、どんなデータが使えるのかといった情報すらも社内になくなってしまいます。それらのことを自分たちでしっかり理解しておくためにも、できる範囲で知見をまとめ、内製化することが重要です。

≪Adobe Analyticsユーザーグループについて≫

Adobe Analyticsユーザーグループは、日本国内のAdobe Analytics、Adobe Target及びData Insightsに関連する製品のユーザーコミュニティです。 ユーザー同士のベストプラクティスの共有、問題解決、ネットワークの構築を行うことで、製品の知識や活用を高めましょう。各回では業界のリーダーであるユーザーの方々にお越しいただき、様々なトピックを取り上げ、専門知識を共有いただきます。

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