「大量の写真データ、容量重すぎ!」 写真確認時のお悩みやミスを救う、お役立ちTipsをカメラマンが伝授!

画像データをPDF化させたAcrobat画面

写真データにまつわる「地味に大変」と感じる作業、ありますか?

例えば、会社のホームページやパンフレット、カタログなどの制作で発生する、写真データのオンライン上でのやり取りや確認作業。あるいはプライベートでも、写真館で撮影した際に大量の写真の中から、お気に入りの一枚を選定した思い出が浮んだ方もいるかもしれません。

なぜなら商用や記念撮影といった本格的な撮影の場合、やりとりや管理をしなければいけない写真データは100枚や200枚、あるいは1,000枚以上にもなり、やり取りのたびに膨大なデータサイズを抱えることになってしまいます。

さらに、クオリティの高い写真に仕上げるため、工程の大半が編集やチェック作業になります。しかし、データを受け取った後「どの写真が必要か、どの部分を修正するか」などの細かな指示を、相手にオンライン上で的確に伝えるのはかなり労力のかかる作業ではないでしょうか。

実は、こうした写真ベースのやり取りこそ、Adobe Acrobat Pro(以後、Acrobat)を使うことで作業を効率化できるんです。「Acrobatって電子署名や、PDF文書を閲覧するためのアプリじゃないの?」と思われるかもしれませんが、ビジュアルのやり取りにももちろん使えます。

そこで今回は、カメラマンも兼業するライターのヤマダユウス型(やまだゆうすけ)の実体験を踏まえ、Acrobatを活用した「写真選定、管理、データのやり取り」のTipsをみなさんにご紹介。プロのカメラマンでなくとも、カメラが趣味の方にも役立つアイデアが目白押しですよ。

容量を軽くして、サクっとやりとり・データの管理ができる

写真データのやりとりをする方が一度は経験をしていること、それは「データファイルが重たくてアップロード/ダウンロードに時間がかかる」ではないでしょうか。僕も仕事柄、大量の写真データをやり取りしますが、その際ネックになるのがデータサイズです。

例えばミラーレス一眼カメラで撮影したjpg画像は、たった1枚で10MBを超えます。もし300枚のjpg画像を送付しようと思ったら、それだけで3GB……。やり取りするには億劫なデータサイズですし、相手にも負担がかかります。

そんな時に活躍するのが「PDF」なのです。

画像のPDF化は、たった2つの動作だけ

そもそも「写真のPDF化ってどうやるの?」と思う人もいるはず。実はすごく簡単なので先にやり方をご紹介しますね。

Acrobatで「ファイルを単一のPDFに統合」する場面 Acrobatを開き、「ファイル」→「作成」→「ファイルを単一のPDFに統合」に進む。

画像データをPDF化させたAcrobat画面 選択した画像ファイルが1つのPDFにまとめられる。

上記の写真の通り、たった2つの動作で、jpg画像を1つのPDF文書としてまとめることができました。ほら、PDFってこんな簡単に作れちゃうんです。

他にも、空白ページを先に作成し、後からページサムネールパネルに画像を足していくといった方法も。一括で画像をPDF化できてしまう大胆なやり方が先にご紹介した方法だとしたら、こちらは1枚ずつじっくり吟味して画像を選びたい方向けです。

Acrobatで新しく「空白ページ」を作成する場面 Acrobatを開き、「ファイル」→「作成」→「空白ページ」に進む。

Acrobatで空のPDFに選択した画像をドラッグしている場面 真っ白な空(カラ)のPDFが作成される。あとはページサムネールパネル内にファイルや画像をドラッグで放り込めばOK。

どの方法でPDFを作成したとしても、上記の要領で画像をドラッグすれば簡単にページサムネールパネルへ写真を追加できるので、もし「あと2枚足したい」となっても簡単に編集できますよ。

また、1つの画像を1ページ扱いにするのではなく、コラージュのように1ページあたりに複数の画像をまとめたい時は、「PDFを編集」タブの「画像を追加」が便利。修正箇所の比較やイメージの指示出しにも使える機能です。

AcrobatでPDF1枚に複数の画像を挿入した画像 「PDFを編集」タブにある「画像を追加」をクリックし、ファイルから画像を選べばOK。画像サイズも好きなように編集できる。また、「表示」→「表示切り替え」→「定規とグリッド」からグリッドや定規を表示することも。

ファイルを圧縮するとどれくらい小さくなる?

PDFにしてしまえば、データサイズの悩みはもう解決したようなもの。なぜって、Acrobatですごいのは圧縮機能なのです。こちらもやり方はいたって簡単。

Acrobatで「ファイルサイズを縮小」している場面 容量を小さくしたいPDFを開いている状態で、「ファイル」→「ファイルサイズを縮小」に進む。

AcrobatのPDF保存画面 保存先を聞かれるので、お好みの場所に保存して完了。

どうですかこれ、簡単すぎませんか? 簡単すぎて本当に圧縮できたのか疑わしいですよね。では、果たして本当にファイルサイズは小さくなったのか確認してみましょう。

今回は検証用として、1枚約1MBのjpg画像を20枚用意しました(解像度は72dpi、1920×1280)。何もせずにPDF化した場合と、ファイルサイズを縮小した場合とで、果たして容量に違いはあるのでしょうか。結果は……。

PDF圧縮前後のファイルサイズ比較 圧縮前のPDFが26.6MB(赤枠内:上)、圧縮後のPDFが4.4MB(赤枠内:下)

見てください、圧倒的なサイズダウンに成功していました! 念のためPDF化せず20枚のjpg画像をそのままZIP形式に圧縮した際のサイズも確認したところ、25.4MBだったので、その差は歴然です。

はたまた「画像サイズを縮小したら一緒に画質も悪くなっちゃうんでしょう?」といった声も聞こえてきそうですね。たしかに、画像チェックができなくなるほど画質が荒くなってしまっては本末転倒です。

PhotoshopでPDF圧縮前後の画質比較 圧縮後のPDFデータ(左)と圧縮前のPDFデータ(右)

そこで、PDF化した画像をPhotoshopで開き画質を見比べてみましたが、拡大しても大きな違いは見られませんでした。横幅1,920ピクセルの写真が、20枚でわずか4.4MB。メールへの添付も可能なレベルです。大量の画像資料などもPDF圧縮を利用すれば、分割せず一度に送れます。

似た機能としてよく利用されるZIPファイルのように、メールに添付した際にセキュリティの観点で受信拒否されてしまう可能性もなく、データサイズが小さければその分ダウンロード時間も少なくて済むので、作業効率の面で効果的ですよ。

Acrobat「PDFの最適化」設定画面 Acrobat「PDFの最適化」設定画面

また、やや上級編ですが圧縮時の設定をカスタムすることも可能。「ファイルサイズを縮小」で保存時、フォーマットを「Adobe PDFファイル(最適化)」に選択すると、どんなルールで圧縮するかを決めることができます。ちょっと専門的な単語が多くなりますが、Adobeのヘルプが参考になります。

データサイズは軽ければ軽いほどストレスフリー。受け取る側のPCに与える負荷も小さくて済むので、スマートな印象を与えることもできますね。PDFの圧縮をうまく使って、データのダイエットを狙っていきましょう!

ビジュアルベースのやり取りも、PDFなら直感的

今までご紹介したTipsによって、データサイズのスリム化は実現できました。しかし、オンライン上のやり取りとなるとまだ残っている悩みの種が「画像確認」。なぜならこの工程って、写真を送る側も確認する側もケアレスミスやミスコミュニケーションを招きやすいんですよね。

例えば、“50枚の写真データを先方に送り、プロジェクトで使いたい写真を3枚選んでもらう”といった場面。「伝える数字の番号を間違えていた」「レタッチ指摘をテキスト(メールなど)で行ったところ、思った通りに指摘箇所を反映してもらえなかった」は結構あるあるな失敗談ではないでしょうか?

Acrobatで作成したPDFにチェックをつけている場面 Acrobatで作成したPDFにチェックをつけている場面

こうした場面で使ってほしいのが「コメント」機能。写真に直接チェックマークや赤丸を入れてもらえば、選び間違いも起こりにくくなります。サムネール画像でもパっとビジュアルがわかるので、作業する側も確認しやすいですね。

Acrobatのコメント機能や描画ツールのイメージ画面 Acrobatのコメント機能や描画ツールのイメージ画面

また、コメント機能はレタッチ箇所を細かく指示する際にも便利。例えば上記の写真で「プールの青い部分だけをもっと青く」とテキストで指示があったとします。しかしそれでは、プールの水の部分のみか、壁も含めたプール全体かなど、どの部分の修正指示なのかテキストのやり取りだけでは読み取りにくいですよね。

Acrobatなら上記の写真のように、コメント機能で細かく修正箇所を指示できます。また、描画ツールでレタッチしたい箇所を丸で囲んでもらえば明確に指示を出せるので、言葉の行き違いを防ぐこともできます。

「しおり」機能を使えば管理や操作の面でもさらにスピーディーに。しおりは指定したページに瞬時にジャンプできる機能です。例えば「屋外撮影」「人物撮影」「食べ物」などと区切っておけば、何百枚の写真をスクロールする必要なく素早く画像同士を行き来できます。この方法はカメラを趣味にしている人の写真管理にも有効なTipsですよ。

Acrobatのしおり機能のイメージ画面 しおり機能を使ったAcrobatの画面。デフォルト設定では、しおりを作成した時に表示していたページや選択していた箇所がしおりの位置となる。

面倒さよりもメリットの方が大きいPDFでの写真管理、ぜひお試しあれ

まとめると、写真をPDFでやり取りするメリットは「ファイルサイズの削減」「画像指定や修正指示のスムーズさ」「大量の写真でも管理しやすい」といった所。個人的には、ページサムネールパネルによる一覧性の高さも使いやすいポイントかなと思っています。たった一手間でこんなにメリットを得られるなら、一度やってみる価値はありそうじゃないですか?

ちなみに無料版の「Adobe Acrobat Reader」でもコメント機能は利用可能です(PDFの作成としおり機能はAdobe Acrobat Pro機能)。さらに今回ご紹介したTipsで利用している、PDFの作成やファイルの圧縮はAcrobatのオンライン(ブラウザー上)でもお試しいただけます。写真データのPDF管理、ぜひ試してみてください。

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