WPP が Adobe Substance 3D を活用し、革新と多様性を両立した新たなクリエイティブ環境を構築

Perry Nightingale は、コミュニケーションとテクノロジーが交差する領域に常に魅了されてきました。WPP のクリエイティブ AI 担当シニアバイスプレジデントとして、彼は WPP を世界トップクラスのマーケティングおよびクリエイティブ企業のひとつに押し上げた、画期的な研究とイノベーションをサポートしています。

「WPP のアーティストたちは、プロダクトデザインやパッケージデザインから、テレビ広告、そして新しいメディアの探求まで、あらゆることに取り組んでいます」と Nightingale は言います。「クリエイティブな領域についてひとつ言えるのは、それは決して立ち止まらないということです。WPP のクリエイティブな職種の半分は、10 年前には存在しませんでした。ですが、クリエイティブなスキルの教育は、しばしば 40 年前と同じように行われています」

没入型体験、拡張現実、バーチャルプロダクションなど、新たなクリエイティブの需要に WPP として備えるため、同社は自ら人材を育成することを決断しました。WPP は、Creative Technology Apprenticeship プログラムを開発して、16 人のクリエイターを招き、新たに登場したメディアとテクノロジーの限界に挑戦させました。このプログラムは、Nightingale と WPP のインタラクティブデザイン部門シニアディレクターの Kat Sullivan により、 Epic Games Unreal Engine、NVIDIA Omniverse、Adobe Substance 3D などのソリューションを使い、3D 体験の制作プロセスを教育するためにデザインされたカリキュラムです。

「参加者の多くは、すでに Adobe Creative Cloud アプリケーションの幅広い経験を持っていました」と Sullivan は言います。「Adobe Substance 3D Painter は、この慣れ親しんだクリエイティブプロセスを拡張し、2D アートを 3D に迅速かつ効率的に取り込めます。そのため、彼らは、新しいメディアでのイノベーションに集中することができました」

クリエイティブ領域の多様性を受け入れる

WPP は Creative Technology Apprenticeship に誰に参加して欲しいかを検討し、最終的に、さまざまな民族的、文化的、クリエイティブ領域のバックグラウンドを持つ人々を探すことにしました。

「似た背景を持つ人だけを集めれば、同じようなものばかりがつくられるリスクがあります」と Sullivan は説明しました。「ここは、私が今まで入った中で、最も多様性に富んでいる部屋です」

それぞれの参加者は、何もない所から 3D キャラクターを制作しました。3D モデルを扱った経験を持たない人もいましたが、彼らはたった 1 回の短いワークショップを受けただけで、 Adobe Substance 3D Painter を使って、マテリアルやテクスチャを適用し始めました。

イラストレーターの Ning Wei は、中国四川オペラの「変面」に触発された、入り組んだ構造のマスクを被ったウサギを制作しました。これまで 3D で仕事をしたことがなかった Wei は、Substance 3D Painter が、フラットな UV マップで作業するのではなく、刺しゅう、パターン、色を、直接 3D モデルに適用できる点を賞賛しました。また彼女は、Adobe Aero を使って、AR でインタラクティブなアニメーションを加えることも学びました。

Ning Wei によるデザイン

Adele Loye は、さらなる創造的な挑戦が必要だと感じるようになるまで、20 年以上建築業界で働いていました。彼女が制作したキャラクターは、ナイジェリアとジャマイカの伝統、そしてテクノロジーとデザインへの彼女の愛に触発された、アフロ・フューチャリズムを体現しています。彼女は、自分のキャラクターのアフリカンなヘアスタイルに合う三つ編みをマーケットプレイスで見つけるのに苦労したことから、3D アートに多様な声を取り入れることの重要性に気づきました。彼女は、手作業で 3D の髪を編むことになりましたが、アドビのツールのおかげでキャラクターのテクスチャリングはずっと簡単でした。

「このキャラクターの背後にあるアイデアは、皮膚に物語を宿すというものです。そこで、回路基板のように見える肌というビジョンを思いつきました」と Loye は語ります。「Adobe Substance 3D Painter を使うと、回路基板のテクスチャを簡単に適用できるのが気に入りました。アフリカンアートを模倣したブロンズゴールドにするのも簡単でした。肌へのテクスチャの適用と調整にかかった時間は全部で 30 分でした」

Adele Loye によるデザイン

Tilly Cullen は、グラフィックデザイン、コーディング、テクノロジー分野の輝かしい経歴を持っていますが、3D の仕事はしたことがありませんでした。彼女と Jade Pughe と Rocio Rey のチームは、若者に電子機器の使い方を教えるのに役立つキャラクターを制作しました。電気がどのようにキャラクターを流れるかを表現するために、Substance 3D Painter のスタンプツールを使い、プラスやマイナスなどのシンボルを適用しました。また、Substance 3D Designer を使うことで、キャラクターごとの電圧レベルを示す刺繍パッチなど、カスタムのテクスチャを作成できました。

「私たちは、キャラクターを、物理的な要素と組み合わせた AR 体験の一部として想像していました。そこで、物理的なキットのモックアップを作成し、Substance 3D Stager でバーチャルフォトを撮影しました」と Cullen は言います。「Stager のおかげで、人々が私たちのアイデアをリアルなものとして想像することが容易になったのが良かったです」

クリエイティビティの未来を探る

Nightingale は、3D と AI のどちらもが、スピードを上げ、コストを下げ、アーティストが創造に集中するための助けになれる潜在力を持つと確信しています。フォトリアル 3D は、アーティストがビジュアルを素早く効率的につくり上げるのに役立ち、費用と時間のかかる写真撮影を不要にします。アドビのアプリ内の AI を搭載した機能、例えばオブジェクトの選択などは、画像編集に費やす時間を劇的に短縮し、生産性の向上により WPP の出費を百万ドル規模で削減します。

「私は、スケールの可能性という点において、ジェネレーティブ AI にも大きなアップサイドがあると見ています」と Nightingale は言います。「例えば、キャンペーン用に 1 万枚のケーキの画像を作成したいとします。ジェネレーティブ AI は大幅に時間を節約する手段になるでしょう。私が Adobe Firefly のような AI に関して気に入っていることは、生成された画像が、規約に準拠し、合法的で、クリエイティブコミュニティに報いるものだと確信できる点です」

WPP は、人々を驚かせる体験を通じて、より広いターゲットにリーチし続けたいと考えています。それが、WPP が前進するために、イノベーションと多様性の両方が不可欠な理由です。

「私が最も誇りに思っているのは、私たちがクリエイティブなテクノロジーを多様化している点です」と Sullivan は言います。「新しい顔ぶれがアドビ製品を使い、新たなテクノロジーの前線で体験をつくり出すことで、自分の中に自信を見出す姿を見ると大変嬉しく思います」

この記事は WPP designs innovative experiences for emerging media with Substance 3D Collection(著者: Sarosh Elahi)の抄訳です