sashimi「最強の再現度でデッサン練習にも最適!Adobe Frescoの鉛筆ブラシ」Adobe Fresco Creative Relay 41

アドビでは毎月、Twitter上でAdobe Frescoを使ったイラストコンテストを実施しています。
2023年8月は、株式会社CyberZがプロデュースする「色」をコンセプトにしたコレクティブNFTプロジェクト・IROIROとコラボレーションし、「カラフル」をテーマにした作品を募集中。IROIROのキャラクターをもとにした二次創作作品も受け付けています(作品内にIROIROのキャラクターを使用する際はアートライセンスを参照)。
応募は簡単、Twitter(X)で アドビ公式アカウント と IROIRO公式アカウント をフォローして、ハッシュタグ #Frescoイラコン #IROIRO #カラフル をつけて、Twitter(X)で作品を投稿するだけです。
そして、この企画に連動したAdobe Frescoクリエイターのインタビュー「Adobe Fresco Creative Relay」、第41回はイラストレーター・sashimiさんに登場いただきました。


世界を“カラフル”に変えていく
「IROIROは、『万国共通で楽しめる“色”というコンセプトを元に、NFTを通じて日本のイラスト文化、クリエイターの世界進出を目指す』というプロジェクトで、10の色(赤・桃・蜜柑・黄色・緑・水色・青・紫・白・黒)と、各色に合わせて作られたイラストパーツの組み合わせによって生成された作品をNFTアートとして展開しています。
今回はIROIROとのコラボレーションということもあり、10色のメインキャラクターのうち、白のキャラクターをベースに“カラフル”な絵にしようと思って描いたのがこの作品です。ほかの色の子はそれぞれに決まった色がありますが、白の子なら色を描き加えやすいというのも、選んだ理由のひとつです。
手に持っているApple Pencilで周りをカラフルに染めていく……そんなイメージの女の子が描けたと思います」
IROIROで展開されているメインキャラクター。選ばれるパーツによりイラストは変化するため、各色ごとに作られたパーツの代表的な組み合わせ例とも言える
NFTをきっかけにイラストレーターの道へ
魅力的なキャラクターを彩り豊かに描くsashimiさん。イラストレーターとしての活動暦こそまだ短いものの、描き出される絵からは確かな経験を感じることができます。幼少期から積み重ねた修練はどのようにいまへとつながっていくのでしょうか。お話を伺いました。
「小さな頃から絵を描くのは好きで、小学生くらいのときにはすでに“イラストレーターになりたい”と思っていました。その頃は週刊少年ジャンプの『家庭教師ヒットマンREBORN』という作品がすごく好きで……その作品の模写ばかりしていました。いま思えば、イラストレーターになりたかったというより、漫画家になりたかったのかもしれませんね(笑)」
左:『家庭教師ヒットマンREBORN』グッズ/右:影響を受けた漫画家のひとり・ウダノゾミさんから届いたファンレターの返信。東日本大震災のときには宮城に住むsashimiさんを気遣い、手描きイラストも添えられた手紙が届き、勇気づけられるとともに絵を描き続けたいと思うきっかけにもなったという
しかし、中学、高校と進むにつれて、sashimiさんのなかで“絵を仕事にしたい”という気持ちは失われてしまいます。
「理由はいくつかあるのですが、ひとつは“オリジナルキャラクターを描くことがそれほど好きじゃない”ということでした。好きな作品の二次創作をするのは好き、でも自分で作ったキャラクターはあまりかわいくないし、愛せない気がして。それなら、絵はあくまで趣味として、描いたものをpixivにアップしたりするほうがいいなと、変に悟ってしまったんです。これが中学生のときです」
左:はじめてペンタブレットで描いた作品(中学一年生頃)/右:2019年の作品
「もうひとつは“絵に対して、そこまで本気になれない”と思ってしまったこと。
絵を描くことは好きだったので、高校は美術系のコースがある学校を選んだのですが、入ってみるとみんな真剣に、自分が描きたいものを描いている。それに対して、自分はゼロから何かを生み出したい、描かずにはいられないという衝動もなければ、情熱を持つこともできなかったんです。
授業では絵を描いていましたし、周りの友だちは変わらずに接してくれましたが、いつもどこか引け目を感じていて。自分が表現したいものを持っている人がまぶしく見えましたね」
趣味のドール。写真はsashimiさんがメイクを施したもの
自分だけの表現、スタイルを見つけることは、絵を仕事にするうえで乗り越えるべき壁のひとつ。当時のsashimiさんは自分の表現へとつながる情熱の火種を見つけられずにいました。
しかし、絵自体を諦めることなく、家で描き続けていた努力と才能は、のちに思わぬかたちで花開くことになります。
「高校を卒業するとき、わたしは“絵を仕事にしないのなら、いっそ全然違う方向に行こう”と思って、仏壇屋さんに就職しました。職場は毎日、6時半には帰れたので、ごはんを食べたあとはひたすら二次創作をする……そんな生活を送っていたのですが、2021年の夏に環境を変えようと思って、仕事を辞めたんですね。
“次はどうしようか”と考えていたとき、パートナーに提案されたのがNFTアートでした」
2021年10月、NFTアーティストとして活動を開始するにあたり、自らにつけた名前は「sashimi」。イラストレーターとしてのsashimiさんが誕生した瞬間でした。
左:Cute Girl(2021)/右:Japanese Schoolgirl(2021)
「当時はまだ、NFTのことがよくわかっていなかったのですが、NFTのプラットフォーム・OpenSeaで『Cute Girl』『Japanese Schoolgirl』という作品を公開したところ、購入いただくことができました。それまでは絵でお金をいただくという経験がなかったので、“間違えて買っちゃったのかな?”と思ったくらいびっくりしました(笑)。
それからはプラットフォームごとに反応のいい絵を研究しながら、少しずつNFT作品を作るようになりました。
いまはOpenSeaではプロフィール画像に使えるような顔のアップをメインに、もうひとつのNFTプラットフォーム・FOUNDATIONでは背景も細かく描き込んだ一枚絵を中心に出しています」
左:OpenSea https://opensea.io/collection/osashimichan /右:FOUNDATION https://foundation.app/@sashimi_a_u
OpenSeaで展開中の作品 左:Girl in distress Haku-chan(2022)/右:reflection(2023)
FOUNDATAIONで展開中の作品 左:LIFE IS BEAUTIFUL(2022)/右:KOI KOI(2023)
二次創作も続けながら、オリジナルを描いたときはNFTで販売する……NFTに入れ込みすぎず、適度な距離を置きながら、sashimiさんは徐々にオリジナルイラストに力を入れていきました。
自分の作品を買ってくれる人、評価してくれる人がいる。そのことはsashimiさんのモチベーションにも大きな影響を及ぼしました。
「ほかの作家さんもどんどん作品を出していくので、“負けていられないな”という気持ちもあります。
中高時代、自分から表現したいものがないからと絵の道から目を背けていましたが、いま思えば、土俵に立つ前から諦めていたんですよね。NFTに出会って、自分にも表現をしたいという気持ち、情熱があったんだということに気づけたと思っています」
SODApop-in feat.べべりんこ - YASUHIRO(康寛) MVイラスト
NFTを通じた活躍はTwitter(X)などのSNSでも注目を集めるようになり、イラストレーターとしての仕事へとつながっていきます。
2022年12月には、CyberZが展開するコレクティブNFTプロジェクト・IROIROにイラストレーターとして参加。これが実現したのは、幼少期から絵を描き続けることで培った画力、NFTとの親和性、ふたつの要素があってこそ。これまでの経験はひとつとして失われることなく、確実な成果として結実していきました。
i-COLグッズイラスト
リアルで驚いたAdobe Frescoの鉛筆ブラシ
今回、すべての工程をAdobe Frescoで描いたsashimiさん。
Adobe Frescoの感触はどのようなものだったのでしょうか。
「Adobe Frescoは落書き程度に触れたことはあったのですが、下書きから仕上げまでAdobe Frescoで描くのはこれがはじめての経験でした。
あらためて使ってみると、ブラシがとにかくリアル。特に鉛筆ツールは“やばい!”と思って。ペンを寝かせると線が広がり、立たせるとカリカリに描ける。普段のデッサン練習のとき、ペーパーライクフィルムを貼ったiPadにAdobe Frescoの鉛筆ブラシを使ったら最強ですよね、そこにめちゃくちゃ感動しました。
UIもシンプルでわかりやすく、いい意味ですっきりしていますよね、感覚的に、直感的に使えるツールだと思います」
ドットパターンのブラシや水彩・油彩のライブブラシでテクスチャをプラス
今回のイラストではAdobe Frescoの多種多様なブラシから、6〜7種類を選んで描いたそう。使用するブラシはどのように選んでいったのでしょうか。
「今回のイラストを描く前に、Adobe Frescoに入っているブラシをひと通り試しましたが、マルチカラーのブラシや星のようなテクスチャが描けるブラシなど、本当にたくさんのブラシがあって。いつもはフラットな、いわゆるバケツ塗りをすることが多いのですが、せっかくこんなにブラシがあるので、普段とは違った質感のブラシで描き進めてみました。
イラストが仕上がったとき、知り合いにこの絵を見せたら、“いつもよりかわいいね”って言ってもらえたんです。線のやわらかさや、水彩・油彩のアナログタッチなテクスチャ感があるからでしょうね」
sashimiさんの制作環境
道具を変えることで、表現にも変化が生まれる……sashimiさんとAdobe Frescoとの出会いは、その一例と言えるでしょう。
NFTを通じて自らのスタイルを見出し、イラストレーターとしても飛躍しようとするいま、sashimiさんが目指すものは何なのでしょうか。
「先日、アイドルユニット・i-COLさんのアー写のデザインをさせていただいたのですが、それが本当に楽しくて。アイドル関係のお仕事はウェルカムです! 絵を描くだけではなく、デザインの仕事もしたいと思っていますし、NFTも変わらず続けていくつもりです。
あとは宮城に関係したお仕事もしてみたいですね。イラストレーターとして、地元に貢献できたらいいなと思っています」
sashimi
Twitter| https://twitter.com/ssm_a_u
web|https://sashimic.localinfo.jp/
FOUNDATION|https://foundation.app/@sashimi_a_u
OpenSea|https://opensea.io/collection/osashimichan
IROIRO
Twitter|https://twitter.com/IROIRO_NFT
web|https://iroiro.world/