Premiere Proで魔法をかけた、ディズニーの『マペットのホーンテッドマンション』を巡る冒険
Image source: Disney+.
ディズニーパークの象徴的なアトラクションからインスピレーションを得たテレビ映画『マペットのホーンテッドマンション』は、世界に知られた命知らずのパフォーマンスアーティスト、グレート・ゴンゾの人生最大のチャレンジを描いています。それはこの世で最も恐ろしい場所、ホーンテッドマンションで一夜を過ごすというもの。この怖くも愉快なマペットシリーズ初のハロウィーン特別番組には、3 つのオリジナルソング、マペット指折りのスターたち、有名人のカメオ出演がフィーチャーされています。
この映画の編集者である、アレクサンドラ・アミック氏にお話を伺いました。彼女がAdobe Premiere Proの映像と音声のエフェクトを使って、どのようにしてマペットの世界を生き生きとさせたか、またお気に入りのシーンやキャラクターについても教えていただきました。
どこでどのように編集を学んだのですか?
最初に編集を学んだのは、高校の放送の授業でした。芸術の勉強をしている少人数の生徒を、熱心なデゾテル先生が指導していました。芸術教育にあまり力を入れていない学区だったので、先生は助成金申請を書きながら編集ソフトウェアの使い方を教えてくれました。生徒たちは、脚本を書き、監督、撮影、編集まで行います。コンピューターを使いこなすのがどれだけ楽しかったかを思うと、のちに編集者になることは必然でしたね。
編集開始時にどんな準備を行いますか?
いつも脚本を何度も読み返すことから始まります。それと、仕事場には必ず猫のベッドを置きます。ある時自宅での作業中に、うちの猫たちが編集作業に参加したがっていることに気づきました。モニターやハードドライブの間に猫用ベッドのスペースを確保しておけば、不機嫌な鳴き声で邪魔されることもありません。
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お気に入りのシーンと、なぜそれが特別なのか教えてください
ストレッチングルームのシーンは、すごく気に入っています。子供の頃、ホーンテッドマンションのアトラクションで上っていく天井を見上げた楽しくも怖かった思い出があるので、夢中で取り組みました。そして、これはとてもうまくいったシーンとなったのです。ビル・バレッタ(ペペ)、デイブ・ゴールズ(ゴンゾー)、ウィル・アーネットは、愉快なアドリブを挟みながらお互いをうまく引き立てあっていて、他のキャラクターたちを含め素晴らしい演技をしました。AR/LEDウォール(訳註:バーチャルプロダクション)で撮影したため、未見のフルCG素材を統合するという課題もありましたが、全てがうまくかみ合いました。マペットとホーンテッドマンションのファンは本当に楽しんでくれると思います。
ポストプロダクションで直面した具体的な課題はありましたか?どうやって解決したのでしょう
想像力の限界に挑みました。90パーセントのキャラクターは幽霊なので、個別にグリーンバックで撮影してフルCGの世界に合成します。表現の自由度はとても高いのですが、同時に想像力をフルに発揮して、ショットがどのように見えるか、カメラが空間をどのように移動するか、幽霊がどのように現れたり消えたりするか、どのテイクとアングルを使うかを掌握する必要があります。唯一の解決策はモックアップを作成し、いろいろ試し、新たなビジュアルエフェクトのスキルを学んで何が機能するかわかるまで試行錯誤することでした。
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どのアドビ製品を使用しましたか? どうしてそれが最良の選択だったのでしょう
これまでもPremiere Proを使っていたし、変える必要もありませんでした。必要な作業を行うには、エフェクト、Lumetriカラー、エッセンシャルサウンドがあれば、他のソフトウェアを使う必要がありません。おかげでギュッと詰まったタイムラインとなってもプロジェクトファイルが軽量なので、ポストプロダクションチーム間のやりとも簡単でした。
Premiere Proや他のツールの気に入っているところは?
Premiere Proの直感的な使いやすさが気に入っています。特に、ビジュアルエフェクトツールは使いやすくて便利です。シーンの多くはグリーンバックで撮影されていたため、ラフカットの段階で仮の合成作業をたくさん行わなければなりませんでした。私にとっては未知の領域だったのですが、Premiere Proの直感的なツールのおかげで短時間に新たなスキルを身につけられたので、他のアプリケーションを使わずに済みました。
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Premiere Pro活用のヒントを何かひとつ教えてくれますか?
Premiere Proのプロジェクトマネージャー機能が大好きです。この作品のポストプロダクションは、それぞれの自宅オフィスからリモートで行いました。カットやプロジェクトを行き来させるのは面倒で、すぐに混乱してしまう可能性がありました。しかしこの機能を使えば、選択したシーケンスに使われているメディアだけを含む、簡略化されたプロジェクトを送ることができます。すべてのメディアを含むプロジェクト全体を共有したり、EDLやXMLで共有するためにシーケンスを準備するよりもはるかに整理されていて、簡単かつ迅速でした。
あなたにとって、クリエイティブな刺激を与えてくれる人は誰ですか?
夫や友達が私のインスピレーションの源です。私は本当に素晴らしい仲間たちと出会いました。彼らは成長し、学び、自分の芸術を追求するための情熱を持っています。彼らの奮闘と成功は、私が目標に向かって努力し続け、より優れたクリエイターになるよう刺激を与えてくれます。
これまでのキャリアで直面した最も困難なことを、どうやって乗り越えましたか? 意欲的な映画製作者やコンテンツクリエイターにアドバイスをお願いします
燃え尽き症候群ですね。アシスタントから編集者への転身、男性が多い業界で女性として働くこと、キャリアで直面した数え切れないほどの困難なことが全てが重なって、燃え尽き症候群に至りました。家族や友人との個人的な時間を優先すること、クライアントとの間に厳格な境界線を設けること、ストレスのはけ口となる映画業界以外の趣味を見つけることの重要性を学びました。皆さんには、同じことをしてほしいとアドバイスします。燃え尽きそうになる中で、人気があるとか売れると思うものではなく、自分が好きなもの、作る必要があるものを作りましょう。
あなたの仕事場の写真を掲載します。一番気に入っているところはどこですか?
私の仕事場は自宅にあります。在宅勤務には、ロジスティックやクリエイティブな面で多くの課題がありますが、その課題よりもメリットの方が大きいことに気づきました。好きな色で壁を塗り、ときめくもので飾りつけた仕事場のスタンディングデスクで働いています。
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『マペットのホーンテッドマンション』はDisney+で配信中です。
この記事は2021年12月7日(米国時間)に公開された”Journey through Disney’s The Haunted Mansion with the Muppets”の抄訳です。