リズ「Adobe Frescoなら“おいしそう”な色と質感をかんたんに描き出せる」Adobe Fresco Creative Relay 42

リズ|メインビジュアル|Fresco画面

アドビでは毎月、X(Twitter)上でAdobe Frescoを使ったイラストコンテストを実施しています。応募は簡単、X(Twitter)で アドビ公式アカウント をフォローして、 #Frescoイラコン をつけてポストするだけです。
9月のテーマは「食欲の秋」。暑い夏も終わり、食べものが一層おいしく感じられるこの季節にピッタリなフード、スイーツ、フルーツたちをAdobe Frescoで描き、#Frescoイラコン をつけて投稿しましょう。
そして、この企画に連動したAdobe Frescoクリエイターのインタビュー「Adobe Fresco Creative Relay」、第42回はかわいくデフォルメされたキャラクターから食欲をそそる食べものイラストまで、多彩に描き分けるイラストレーター・リズさんに登場いただきました。

背景パターン 自動的に生成された説明
リズ|Frescoイラスト

食欲をそそる、おいしそうなフード&スイーツ

「ふだんから食べものを描くときは、自分が食べたいと思うものをモチーフにすることが多いので、今回も気になる食べものを思い浮かべながら、ひとつひとつ描き進めていきました。ハンバーガー、パンケーキ、サンドイッチと描いていくなかで、秋の要素も入れないと!と思って描き加えたのが、栗を使ったモンブランとどらやき、ヤキイモですね。
こうしたイラストはまず色を面で描いて、徐々に描き込みをしていくのですが、寄りで見るだけでなく、引きで見てもきれいに見えるかどうかをチェックしながら描いています。個別で描いたイラストを今回のように並べたあと、黄色や茶色、オレンジ系の色で統一感が出るように全体を調整して仕上げました」

ゲームグラフィックの世界からイラストレーターへ

今回のイラストを見て、はじめてリズさんを知る人は、リズさんのことを“アイコンのようなかわいいイラストをアナログタッチで描くイラストレーターさん”と思うかもしれません。しかし、それは数あるリズさんの画風のひとつにすぎません。
仕事で描く絵は、コンパクトに凝縮されたかわいらしさは共通するものの、タッチはまったく別のもの。主線なしのフラットな塗りで描き出されるキュートなキャラクターは、唯一無二の魅力を放っています。

ホロライブ1期生・3周年記念ライブ「hololive 1st Generation 3rd Anniversary LIVE「from 1st」」グッズイラスト Ⓒ 2016 COVER Corp./web: https://from1st.hololive.tv/

多彩な画風を使い分け、デフォルメ・イラストレーターとして活躍を続けるリズさんは、どのようにしてイラストレーターへの道を進むことになったのでしょうか。その経緯を聞きました。

「物心つく前から絵を描いていたので、何をきっかけに、何を描いていたのか、まったく覚えていなくて。思い出せるのは、“本当に絵を描くのが好きだった”ということくらい。モチーフも構図も気にすることもなく、とにかく自由に描いていて、“うまく描こう”とすら考えていなかったと思います」

幼少期の頃から今に至るまで、ゲームが好きなリズさんは次第にゲームキャラクターを描くようになります。

「小学校の頃はよく、ファイナルファンタジーに出てくるキャラクターを描いていました。
高学年くらいになると、当時、流行っていたお絵かき掲示板にも顔を出すようになって。うまい人たちが描く絵に触発されて、わたしもよく参加していました。ただ、この頃はパソコンはあったものの、ペンタブレットのようなものは持っていなかったので、マウスで描いていたんですよね」

その後、中学、高校と進むなかでも、変わらず絵を描くことが好きだったリズさんは、家族の後押しもあり、美術大学へと進学します。

「学科はグラフィックデザイン系でしたが、アナログで絵を描くことも多いコースでした。デジタルツールを使うことといえば、アナログで描いた絵をデータにしたあと、色を調整したり、文字を入れてポスターとして印刷をしたりするときくらいで、PhotoshopやIllustratorを使っていても、それで絵を描くということはありませんでした」

「風真いろは誕生日記念2023」グッズイラスト Ⓒ 2016 COVER Corp./hololive production OFFICIAL SHOP: https://shop.hololivepro.com/products/kazamairoha_bd2023

リズさんが現在のようなデフォルメイラストを描くようになったのは、大学卒業を控えた頃から。さまざまな出会いと経験が、リズさんの興味を駆り立てていきました。

「大学3〜4年の頃に、漫画のプロダクションや映像制作会社にインターンに行く機会があったのですが、そこでデフォルメの効いた絵を描くデザイナーの方がいらっしゃって。そうした仕事に触れるうちに、もともと好きだったデフォルメイラストに自分でも取り組んでみようと思うようになりました。
卒業間近になってからは、その意欲に一層火がついて、3ヶ月の間にアバターゲームの衣装を大量に描く短期バイトをしてみたり。でも、ゲームは好きだったものの、見るばかりで自分で描くということはありませんでしたし、それまで描いていた絵は、いまのようにデフォルメされた絵ではありませんでしたから……とにかく大変だったことだけはよく覚えています(笑)」

こののち、リズさんはゲーム会社に就職。
ゲームグラフィックデザイナーとしてアバターやアイテム等を描き続けた経験は、デフォルメイラストのスキルをさらに高めることになりました。

「デフォルメでは何を引いて、何を足すか、そのバランスがとても重要です。
キャラクターの特徴的な部分をきちんと際立たせてあげれれば、たとえ絵柄がまったく違うイラストをデフォルメしたとしても、ちゃんとそのキャラクターらしく見える。特徴的なパーツだからといって描き込みすぎてしまうと浮いてしまうこともあるので、色合いや質感、密度のバランスには気をつけるようにしています」

「SNOW MIKU 2020」サブビジュアル/雪ミク2020 © CFM/web: https://snowmiku.com/2020/

仕事でアバターや食べものを描きながら、帰宅後も趣味としての絵を描き続けていたリズさんは、2018年7月、フリーランスのイラストレーターとして独立。デフォルメイラストを強みに、X(当時はTwitter)やpixivにアップするなかで、少しずつ仕事につながっていきました。

「最初の頃は自分の名前も出ない、実績としても公開できないお仕事もありましたが、オリジナルの絵を投稿しているうちに、少しずつ実績公開可能なお仕事もいただけるようになりました。
振り返ってみて、一番のターニングポイントになったと思うのは、『雪ミク2020』のサブビジュアルの仕事ですね。このときに名前を出して紹介いただいたおかげで、YouTubeで活躍をされている方や配信者さんからイラストの依頼をいただくことが増えるようになりました」

仕事は仕事を呼び、リズさんの知名度は急速に知れ渡り、いまやX(Twitter)のフォロワーは25.7万人に到達(2023年9月現在)。デフォルメイラストレーターの第一人者として、その活躍は続いています。

Illustratorで面を重ねて描く

モチーフの特徴を的確に捉えたキュートなイラストを描き上げるリズさんですが、その描き込みに対してメインのツールはなんとIllustrator。すべてがパスで描かれています。

「Illustratorで描いているというと驚かれます(笑)。
でも、最初はパスを扱うのが本当に苦手だったんですよ。Illustrator自体は大学で触っていましたが、点と点をつなげて線を曲げていくという感覚がなかなか身につかなくて。
いまはペンタブレット+鉛筆ツールを使って、フリーハンドで面を重ねていくという描きかたをしているのですが、かたちのカッチリしたものやアンカーポイントを少なくしておきたいときはペンツールで調整を加えていくこともあります」

Photoshopのようなラスター系アプリケーションとは異なり、陰影や階調によって質感を出すことが難しいIllustratorを使いながらも、風合いのあるタッチで描けるのは、色の変化を面として捉える、高い解像度の目があってこそ。デフォルメの技術にも通じる、卓越した表現力が表れています。

リズ|Illustrator

リズ|Illustrator アウトライン

2021年に描かれたリズさんの作品とそのアウトライン。その精度は言われてもなお、Illustratorで描いているとは信じられないほど

リズ|Illustratorで描いた絵、初期

Illustratorで描かれた2016年の作品(左)と2018年の作品(右)。時の経過とともに徐々に描き込みが細かくなっていく

リズ|Illustratorで描いた絵

2021年の作品。これもIllustratorで描かれている

何を描くにも使いやすいAdobe Fresco

旬を取り入れながら、シズル感たっぷりの食べものを描いてくれた一枚のイラストからは、リズさんの画力のみならず、食べものに注ぐ愛情までもが伝わってきます。リズさんは普段、Adobe Frescoをどのように使っているのでしょうか。使い始めたきっかけから聞きました。

「どこでも絵を描けたらと思って、2020年にiPadを買ったんです。その頃からAdobe Frescoには興味を持っていて、仕事ではなくリラックスして絵を描きたいときに使っていました。
それまでも食べものの絵をIllustratorで描くことはあったのですが、試しにAdobe Frescoで描いてみたら、思っていた以上に描きやすくて。“おいしそうに描きたい”という欲望を、色や質感で再現しやすかったんです。それからは、Adobe Frescoで描いた趣味絵や、今回、描いたような食べものイラストもSNSにもアップするようになりました」

リズ|Frescoで描いた絵

2021年(左)と2022年(右)にAdobe Frescoで描いた作品

これまで使うなかで使うブラシも絞られていき、「粗い鉛筆」や「チョーク」など、およそ10種類のピクセルブラシが“お気に入り”として登録されています。

「Illustratorで描くときはぱっきりしたラインから徐々に崩して手描き風にしていくということが多いのですが、Adobe Frescoで描くときは最初から手描きのように描けるので、つい描き込みが増えてしまって。今回の絵にもそれが反映されていると思います」

リズ|お気に入りブラシ

Adobe Frescoにアニメーション機能が搭載されてからは、アニメーションにも挑戦。ふだんのゆるい趣味絵を動かすだけでなく、LINEスタンプ作成にも活用されています。

「ちょうどイラストを動かせたらと思っていたとき、ちょうどAdobe Frescoにもこの機能が追加されたんです。実際にやってみると操作も直感的でやりやすかったので、それからは定期的に絵を動かすようになりました」

リズ|Frescoでアニメーション

2023年8月にリリースされたLINEスタンプ「リズねこ2」はすべてAdobe Frescoのアニメーション機能で作られている https://store.line.me/stickershop/product/24037546/ja

クライアントワークだけでなく、オリジナルイラスト・キャラクターによるグッズ展開まで、幅広く展開するリズさんが今後、目指す場所はどこなのでしょうか。

「お仕事で描かせていただくデフォルメイラストはもちろんのこと、オリジナルイラスト・キャラクターによるグッズ展開も今後もさらに発展していきたいと考えています。出版にも興味があるので、画集も出してみたいですね」

リズ|制作環境

リズさんの制作環境。右端の「シマぱんBIGぬいぐるみ」はゲームの景品(プライズ)として作られたもの

オリジナルイラスト

「シマぱん」(左)と動物モチーフのイラスト(右)

オリジナルグッズ

SUZURIではオリジナルイラストを使ったグッズを販売中。アクリルキーホルダーから缶バッチ、スマホケース、バッグ、Tシャツ等、バリエーションもさまざま

リズ

Lit.Link|https://lit.link/rizunm
X(Twitter)|https://twitter.com/rizuNM
Threads|https://www.threads.net/@rizunm0206
Instagram|https://www.instagram.com/rizunm0206/
pixiv|https://www.pixiv.net/users/2870982
SUZURI|https://suzuri.jp/rizuNM