全150回超!「Acrobatの使い方・Tips紹介」の連載を手掛けてきたITライター・柳谷さんに、Acrobatのイチオシ機能を聞く!

「Acrobatの使い方・Tips紹介」の連載を手掛けているITライター・柳谷さんインタビュー

こんにちは、私ライターのヤマダユウス型(やまだゆうすけ)です!  突然ですが皆さん、普段Adobe Acrobat(以後、Acrobat)ではどんな機能を使っていますか?

本ブログでは今まで、Acrobatの様々な機能を紹介してきました。しかし、非常に多くの機能を有するAcrobatだからこそ、できることが多すぎて、「使いこなしているとは言い難い……」「決まった機能しか使えていない」という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、皆さんにもっとAcrobatの色んな機能に出会っていただくべく、日本でもトップクラスにAcrobatの知識を持つ、柳谷智宣さんにインタビューを行いました!

柳谷智宣さん

柳谷さんといえば、ASCII.jpにて「柳谷智宣がAdobe Acrobatを使い倒してみた」という連載を執筆されており、その連載回数は、2023年11月時点でなんと156回! これほど長期にわたってAcrobatの機能を紹介してきた人は、国内でも類を見ないはず……。

そんな、長年Acrobatを紹介し続け、今やAcrobatに一番詳しい人と言っても過言ではない柳谷さんならではの視点で、便利な機能やAcrobatの使いこなし術を紹介していただきました!

柳谷さんのAcrobatイチオシ機能は「PDFポートフォリオ」「墨消し」「Webフォームの設置」

──まずは、柳谷さんの経歴を簡単に紹介していただけますか?

柳谷さん:1998年にライターデビューして、初めて関わった雑誌が週刊アスキーでした。当時はまだiモードが出始めた頃でしたが、その頃からITやガジェット、Webサービスなどについて執筆していました。

──2000年前後というと、まだまだガラケーの時代ですね。インターネットも一般には普及していない中、柳谷さんはすでに2009年にはPDFファイル活用の書籍も刊行していますが、当時はPDFというと「なにそれ?」という新しい存在だったのでしょうか?

柳谷さん:皆さんもPDFの存在自体は知っていましたが、異なるプラットフォームで文字化けせずに文書を表示できる、という用途に使われているだけでした。私の仕事でいうと、原稿などの資料をPDFでやり取りする業務フローがそもそもなかったので、仕方がないからFAXでやり取りをしてるという感じでした。なので、意外とフローが確立した後の切り替わりは早かったですね。

──早くもPDFに着目(AdobeがPDFを発明したのが1991年)し、現在まで発信を続けている柳谷さんですが、普段の業務においても「Adobe Acrobat」を使われていると伺いました。どんな機能がイチオシでしょうか?

柳谷智宣さんのインタビューカット(1)

柳谷さん:執筆から取引先とのやりとりまで、身近な仕事ツールとしてAcrobatは使っています。

その中で、普段の業務におけるイチオシの機能なら……まず「PDFポートフォリオ」を挙げたいですね。例えばテキストファイル、プレゼンの資料、録音データなど、ひとつの仕事をしていても複数のファイルが出ることって多いじゃないですか。それらを整理するために圧縮やフォルダ管理などを試していたのですが、PDFポートフォリオというのが便利だったんですよ。

──「PDFポートフォリオ」、どのように使っているのですか?

柳谷さん:見た目はPDFファイルなのですが、その中にあらゆるファイルを格納できるんです。さらに 検索もできるから、データベース的なファイル管理もできる。例えば取引先と共有でプロジェクトを進めている場合でも、ポートフォリオ内のファイルを更新すれば常に最新なので「この進行表、バージョン古くない?」といった状況が起きないんです。

AcrobatのPDFポートフォリオ画面

柳谷さんが実際に使われているAcrobat上のPDFポートフォリオ

──ファイル単体でやり取りする場合は「最新データこちらです」など、ファイル管理や時系列が煩雑になりますよね。

柳谷さん:僕は自分の会社の経費に関する書類や領収書もポートフォリオで管理していて、税理士さんにはこのファイルだけ渡せばOKという形にしてあります。ポートフォリオに含まれる元ファイルを編集した場合もちゃんと更新されますからね。

──案件資料がバラバラになりがちな人には、とてもオススメできる機能ですね!

柳谷さん:あと「墨消し」も便利ですよ。最近のニュースで「黒塗りして提出するべき公文書が、ただ黒いハイライトを乗っけているだけだった」というのがあって。これだと完全に情報が消えているわけではないので、第三者がハイライトを外せてしまった場合、情報が丸見えなんですよ。

──PDF内には情報が残ってしまっていますもんね。

柳谷さん:でも、Acrobatの墨消し機能なら完璧に情報を消してくれる んです。この機能はイチオシというより、文書を扱う人なら知っておくべき機能かもしれませんね。ニッチな機能でいうと「Webフォーム」もあまり知られてないけど、ぜひ知っておいてほしいおすすめの機能です。

──ブラウザ版のAcrobatで使える機能ですね。

柳谷さん:例えばイベントの参加フォームを対象者に渡したい場合、単純にPDFを作ってメールで渡すこともできますが、Acrobat上でPDFやWordなどをWebフォーム化してメールで送れば、参加者の管理がさらに捗ります。記入済みフォームは自動で収集されますし、CSV形式でダウンロードすればExcelへのリスト化も容易です。

合計150回以上…! 超ロングラン連載の中で特に好評だった機能とは?

──柳谷さんがASCII.jpで連載されている「柳谷智宣がAdobe Acrobatを使い倒してみた」は、156回を迎える超ロングラン企画です。この連載内で、特に読者の反応が良かった記事や機能を教えてください。

ASCII連載「柳谷智宣がAdobe Acrobatを使い倒してみた」の156回目の記事タイトル画面

柳谷さん:毎回PVが良いのは、「スタンプ」に関する機能紹介です。企業では、PDF請求書などには押印が求められることも日常茶飯事ですよね。実際のハンコでの押印となると、まずPDFを印刷して、押印して、またスキャン……といったフローが発生しますが、Acrobatのスタンプ機能ならAcrobat上で登録済みのスタンプを押すだけでOK! 準備も普段使っている印鑑や認印を「Adobe Scan」を使ってAcrobatに登録しておくだけなので簡単にできます。

──僕も請求書などにポンと押す用の印鑑はAcrobatに登録しています。まさしく「Adobe Scan」で撮影&登録したものを、もう数年ほど使っていますね。

柳谷さん:あとは「電子サイン」の記事も好評です。電子サインと聞くとハードルが高そうに感じるかもしれませんが、新入社員の同意書なども電子サインで締結できるので、まだ使ったことのない企業の方は、取り組みやすい社内間の業務で試してみると良いと思います。

──電子契約という単語の強さに、ちょっとためらう気持ちはわかりますけどね。

柳谷さん:電子サインは認印、先ほど紹介したスタンプはシャチハタ、くらいの感覚で良いんじゃないかな。個人情報同意書とか社員契約とか、認印=電子サインとして使える場面は多いと思いますよ。あとは、無難なところですが セキュリティの設定 のしやすさはAcrobatの良いところですね。

──「セキュリティ」は、PDF 上の機密情報や情報の改変が行われないよう保護したり、PDF が勝手に印刷されないよう保護したりする機能ですよね。

柳谷さん:セキュリティなんていうと大袈裟に聞こえるかもしれないですが、例えばの話、自分が丹精込めて作った企画書のPDF を取引先に渡した後、「やっぱり今回はなかったことに…」なんてことはよくあります。しかし、その資料の内容を勝手に改ざん・流用して活用されては嫌じゃないですか(笑)。でもAcrobatなら閲覧制限やPDF の印刷・コピー・編集の制限など実現したいレベルに合わせてセキュリティを設定できてしまう。企業の機密情報を保護するといった使い方はもちろん、自分の大切な財産を守るためにもPDFにパスワードをかけておく方法は身につけておくと役に立ちますよ。

時代を牽引してきたAcrobatの今までとこれから

──長らくAcrobatを見てきた柳谷さんだからこそ、機能の変遷や、Acrobatに対する世の中の変化など、何か感じ入る部分はありますか?

柳谷智宣さんのインタビューカット(2)

柳谷さん:やっぱり時代の流れを牽引しているなと思います。パッケージソフトからサブスクへの移行もそうですし、近年だとブラウザ版が登場して。ブラウザ版だと自分のPCからでなくてもアクセスできるのがとても便利ですね。あとこれはAdobeのソフト全般に言えることですが、ちょくちょくアップデートで進化していくので、そこもユーザーとしてはありがたい部分かなと。

──便利な機能がどんどん追加されていきますからね。

柳谷さん:Acrobatに対する世の中の変化でいうと、TVCMの効果は大きいんじゃないかな。カズレーザーさんが登場するCMのおかげで明らかに認知度は上がっていると思いますね。編集や比較機能をわかりやすく紹介していて。

──僕もあのCMを見たときは「PDFで編集ができることをわかりやすく伝えていて良いなぁ」と思っていました。

柳谷さん:あとは電子帳簿保存法が改正されて「領収書などを電子データでやりとりした場合は電子データで保存しておかなくてはダメ」となりましたよね。そうなると「数十年先でも使えるファイルである」という信頼が大事で、それこそAdobeなら絶対大丈夫だろうという安心感があります。個人ユーザーであればそこまで気にしなくても良いとは思いますが、ビジネスや企業からすると信頼感は重要です。PDFに関するソフトはいくつかありますが、この信頼感はAdobeが提供するAcrobatの強みの1つだと思いますよ。

──ちなみに、現在のAcrobatに対して柳谷さんから「もっとこうなると嬉しいのにな」といった要望のようなものはあったりしますか?

柳谷さん:要望というほどではないんですが、そうですね……。僕はスタンプを多用するんですが、Acrobatのなかでスタンプはそこまで機能が充実している方ではないんですよ。なので、スタンプに関する機能がもっと使いやすくなってくれると僕は嬉しいですね。

──そこもアップデートで変化する可能性はあるかもしれませんね。

柳谷さん:ぜひ期待しています(笑)。そして、そもそもPDFというファイル形式を生み出したのはAdobeです。そのAdobeが提供しているPDFに関するソフトがAcrobatなので、間違いなく信頼できますし使いたくもなります。仕事柄いろいろなPDFに関するソフトを触っていますが、仕事でもプライベートでもメインで使っているのはAcrobatですから。

「Acrobatってどう使えば…」という人は、ぜひ柳谷さんの連載もご参考に!

柳谷さん:正直、皆さんが知らないであろう機能はまだまだあると思うんですが、挙げ始めるとキリがなくて(笑)。共有まわり、電子サインまわり、契約まわりなどなど。一般業務だとPDFポートフォリオも便利ですし、セキュリティまわりのツールも充実しています。

──何でもできるからこそ、どう使えば良いかで悩むケースも多いと思います。

柳谷さん:なので、もしAcrobatの使い方で迷われた際は一度僕の連載をチェックしてみてください。あらゆる機能を紹介しているので、何かしら業務に活用できる機能があると思いますよ。

ASCII連載「柳谷智宣がAdobe Acrobatを使い倒してみた」の目次画面

──Acrobatは無料体験期間もあるので、気になる機能は実際に試してみることもできますしね。

柳谷さん:でも実際、無料体験のあいだに全機能に触れるのって難しいと思うんです。そこを見越して、「無料体験に営業部門が試しておくべきこと」といった、部門ごとへのおすすめみたいな記事も書いてます。そちらも併せてチェックしておくと、効率的に機能を試せると思いますよ。

⚫️【営業職】の方はこちら
体験版の7日間で営業マンに試してもらいたいAcrobat活用テク

⚫️【マーケティング職】の方はこちら
体験版の7日間でマーケティング職に試してもらいたいAcrobat活用テク

⚫️【総務職】の方はこちら
体験版の7日間で総務職の人に試してもらいたいAcrobat活用テク

使いこなせる機能を増やして、さらなるAcrobat強者に!

柳谷さんへのインタビューを通して、PDFポートフォリオに墨消し、Webフォームの設置など、様々な機能を教えていただきました。これらの機能がすべて必要な業務は少ないと思いますが「そういえばうちの会社だとこの機能は使えるかも」というのがあったりするのが、Acrobatの面白いところです。

ASCII.jpにて連載中の「柳谷智宣がAdobe Acrobatを使い倒してみた」には、もっと多くの機能が紹介されています。「え、こんな機能もあったの!?」なんてものもあるかもしれませんし、Adobe Blogと併せ、ぜひ一度連載記事もチェックしてみてください!