Premiere Pro - LogとiPhone HDR撮影素材を試してみよう(サンプルファイルあり)
エモーショナルなシネマライク映像にしようとカメラのLog撮影機能を使ってみたけれど、思うような色にならない。iPhoneのドルビービジョンで撮影したHDRビデオが白飛びしてしまうなど、多様化するビデオ素材の扱いに苦労した経験はありませんか?
この記事では、Adobe Premiere ProのLumetriカラーパネルの設定タブを使用して、これらの素材を簡単に正しく扱う方法を解説します。お試し用サンプルファイルも用意しましたので、気軽にチャレンジしてみてください。
Lumetriカラーパネルの設定タブ
従来、Log撮影素材を編集する際には、カメラメーカー(または機種)ごとのLUT(Look Up Table)ファイルを入手し、本来の色調を再現するためにガンマ補正を行う必要がありました。また、従来のSDRプロジェクトにHDR素材を使用する際には、トーンマッピングによる変換が求められます。
そこで、これらの操作を自動化し、ひとつの操作パネルに集約したのがLumetriカラーパネルの設定タブです。このため、難解なカラーマネジメントの知識を必要とせず、誰もが気軽にさまざまな素材を扱うことができるようになりました。
*「Logビデオのカラー設定を自動検出」は、SONY S-Log2/3、Panasonic V-Log、Canon Log2/3、Apple Log(ベータ版)に対応しています(2024年3月時点)
Lumetriカラーパネルの設定タブを使ってみる
PanasonicとSONYのミラーレスカメラでLog撮影された素材(Logビデオ)とiPhoneのDolby Visionで撮影したHDR素材で、カラーマネージャーの役割を体験してみましょう。
*Premiere Proを最新の状態にしてください
サンプルファイルをダウンロードする ファイル名横に表示される…をクリックしてダウンロードしてください
手順
- サンプルファイルを読み込んでプロジェクトを作成する
- Lumetri カラーの設定でLogビデオを自動で検出する
- 適切なトーンに自動でマッピングする
サンプルファイルを読み込んでプロジェクトを作成する
- Premiere Proを起動し、ホーム画面から「新規プロジェクト」を選択
- プロジェクトに任意の名前をつけます
- サンプルファイルをダウンロードした場所にアクセス
- 「Panasonic_V-log.MP4」「SONY_S-log.mp4」「iPhone_HDR.mov」を選択
- 「シーケンスを新規作成する」をオン
- 作成ボタンをクリック
Lumetri カラーの設定でLogビデオを自動で検出する
- 編集画面が開いたら、ウインドウメニュー>ワークスペース>カラーにセットする
- シーケンスを再生して現在の状況を確認
- Lumetri カラーパネルの「設定」を開く
- プロジェクトタブの「Logビデオのカラースペースを自動検出」をオンにすると、ソースクリップのメディアカラースペースおよびシーケンスクリップのカラースペース変換に適切なLUTが設定され、鮮やかな色調に変わります
適切なトーンに自動でマッピングする
- 作業カラースペースタブの作業カラースペースがRec.709に設定されているのを確認
- 自動トーンマッピングメディアをオンにすると自動的に適切な色調に補正されます
- Log素材はカメラごとの適切なガンマ補正が行われ、本来のトーンが再現されます
- HDR素材はRec.2100からRec.709用に補正され、白飛びが解消されます
まとめ
この機能は、AIが画像を解析して色補正するのではなく、カメラメーカーが想定したガンマカーブを忠実に再現する仕組みです。色調の補正に関する専門的な知識やLUTファイルの入手が不要で、気軽に表現力豊かなLogビデオやHDR素材の編集が楽しめます。
もちろん、このプロセスでカラーコレクションを行った後、Lumetriカラーパネルの「編集」タブでクリエイティブなカラーグレーディングを行うことができます。
また、従来どおり独自のLUTを用いてマニュアルで調整を追い込むことも可能です。
カラーマネジメントは奥の深い世界ですが、この機能をうまく活用して思い通りの映像を創り出してください。