Adobe Express のデザインもPDFフォームに!?Acrobatで入力可能な応募フォームを作成しよう!

こんにちは!桑名です。もうすぐ新年度ですね。この時期は、新しいスタッフや社員を募集する企業やお店が多いと思います。

募集といえば、氏名や住所などを入力するために「フォーム」がよく使われますが、皆さんはフォーム形式のPDFを活用していますか?

フォームを設定していないPDFの場合、入力した後に文字サイズや位置の調整が必要なので少々手間がかかりますよね。フォーム形式のPDFなら指定されたボックスに入力すればよいので、入力作業が格段に楽になります。

とはいえ、「フォーム形式のPDFを作るのは難しい」と思っている人もいるでしょう。

実はAcrobatがあれば簡単に作れるんです!

「役所の申請書のようなものでしょ」と思う人もいるでしょうが、どんな文書でもかまいません。元のファイルをExcelやWordで自由に作成してもよいですし、最近流行のデザインツールで作ったものでもいいんです!

そこで今回は、Adobe Expressアンバサダーのセッジさんにご協力をいただいて、Adobe ExpressでデザインしたものをPDFフォームにする方法を紹介します。

Adobe ExpressでPDFフォームの元になるファイルを作成する

──セッジさん、はじめまして。まずは自己紹介をお願いします。

セッジさん:もともとデザイン専門学校でグラフィックデザインを専攻していました。卒業後は、映像制作会社や編集デザイン会社で実務経験を積み、その後フリーランスへと転身。イラスト、デザイン、DTP、ライティング、CGアニメーションなど、さまざまな業務に関わりました。現在はクリエイティブ系の仕事と並行して専門学校の講師も務めています。

▲セッジさんのWebサイト『セッジデザイン』

──ということは、アドビのソフトは昔から使っていたのですね。

セッジさん:はい。はじめて使ったアプリはIllustratorで、長年に渡るアドビのユーザーでありファンです。Adobe Expressアンバサダーの他、Adobe Community ExpertとAdobe Japan Prerelease Advisorとしても活動しております。

──今回作っていただいたデザインも素敵です!どんなところを意識して作られたのでしょうか?

セッジさん:娘が保育士なので、Adobe Expressを使って保育園の応募フォームを作成しました。保育士になる人は子ども好きな人が多いので、優しいイメージを出したかったんです。春のイメージも必要なので、「春」「桜」「青空」で素材を検索して追加しました。



▲セッジさんにAdobe Expressで作っていただいたデザイン

──フォントにもこだわりましたか?

セッジさん:柔らかさを出すために丸ゴシック(FOT-UD丸ゴ_ラージ)を選びました。Adobe Fontsの豊富な書体が使えるので、イメージに合うものを選ぶとよいですね。

セッジさんが教えてくれたAdobe Expressの魅力

──Adobe Expressを知らない人もいると思うので、ここで特徴やメリットを教えてください。

セッジさん:Adobe Expressにキャッチコピーを付けるとしたら「すべてをつなぐ簡単デザインアプリ」です!通常、デザインの制作はIllustratorやPhotoshopを使いますが、初心者には少し難しいですよね。その点、Adobe Expressは誰にでもできて、15分くらい使っていれば何かしら完成しますので。

──確かにそうですね、初心者にも使いやすいと思います。

セッジさん: クリエイティブ系の仕事がしたい人で、Illustratorが難しいと感じるのなら、まずはAdobe Expressを覚えてからIllustratorなどに入るのがおすすめです。グループやレイヤーなど、結構似ている機能があるので、その方がスムーズに覚えられますよ。

グラフィカル ユーザー インターフェイス 自動的に生成された説明

▲アドビのデザインツール「Adobe Express」

──Adobe Expressには素材がたくさんありますし、どれも高品質ですよね。

セッジさん: Adobe Stockの写真やイラストが入っていますからね。Adobe Stockの最安プランは月10点までですが、Adobe Expressなら無料で使える素材もありますし、プレミアムプランなら無制限で使えます!

それと、AIによる画像生成はAdobe FireflyによってAdobe Stockの画像を利用するため、安心して使えますよ。

──最近は他のサービスにも使われているようですが……

セッジさん:noteやWix、LINE Creative Labなど、Adobe Expressを取り入れているサービスが増えてきましたね。たとえばnoteでアイキャッチを作りたいとき、noteの中でAdobe Expressが使えます。

あるいは、IllustratorやPhotoshopで作ったものをクラウドに保存して、note内のAdobe Expressで読み込むこともできますよ。

──今後もいろいろなサービスと連携しそうですね。

セッジさん: Adobe Expressはアドビ製品の橋渡しであり、外部サービスとのやり取りもできるので「クリエイティブハブ」のような仲介役になっていますからね。

──PDFとの相性もよさそうですね。セッジさんは、PDFを使う機会は多いんですか?

セッジさん:制作物を確認してもらうとき、全員がIllustratorを持っているとは限らないのでPDFにしています。PDFをAdobe Expressで読み込んで編集することもありますよ。後からイラストを付け加えたり…

──Adobe Express でPDFを開いて編集できるんですか!まさに「すべてをつなぐ簡単デザインアプリ」ですね!!

セッジさん:はい。デザイン完成後は、Adobe Expressの画面右上にある「ダウンロード」をクリックして、「ファイル形式」を「PDF」にすればPDFファイルになりますよ。

グラフィカル ユーザー インターフェイス 自動的に生成された説明 ▲画面右上の「ダウンロード」をクリックし、「ファイル形式」の「v」をクリックして「PDF」を選択し、「ダウンロード」をクリック

Acrobatがあれば簡単にフォーム形式のPDFにできる!

──それでは、作成していただいたデザインをAcrobatでフォーム形式にしてみましょう。

先ほどダウンロードしたPDFファイルをAcrobatで開き、メニューの「フォームを準備」をクリックして「フォームを作成」をクリックします。すると、枠線を付けた部分に自動的にフィールドが設定されます。フィールドとは、入力用のボックスのことです。

セッジさん:自動でフィールドが追加されるのは便利ですよね。デザインを作るとき、やさしいイメージを出すために角が丸い枠線にしたのですが、自動的にフィールドとして認識されませんでした。なので、丸みを付けずに長方形の枠線で囲むのがポイントです。

▲枠線を付けたので、自動的にフィールドが追加された

──フィールドが設定されなかった箇所は、画面左端からフィールドを選んで追加しましょう。

セッジさん:生年月日は「日付フィールド」ですね。

──はい。そして性別の箇所は「ラジオボタン」です。「チェックボックス」フィールドは複数選択するときに使うので、男性か女性のどちらかを選択する場合はラジオボタンを使います。

グラフィカル ユーザー インターフェイス 自動的に生成された説明

▲画面左側の一覧からフィールドを追加できる

ちなみに、ExcelやGoogleスプレッドシートで元ファイルを作成する場合は、1つのセルを1つのフィールドとします。その場合も枠線を付けると自動的にフィールドが追加されます。

フィールドに表示形式や文字サイズを設定して入力しやすくする

──自動で追加されたフィールドをそのまま使うのではなく、フィールドのプロパティ画面で、表示形式や文字サイズを設定して入力しやすいフォームにしましょう。

プロパティ画面は、フィールドを右クリックして「プロパティ」を選択するか、フィールドをダブルクリックです。

たとえば日付の表示形式にするには、プロパティ画面の「フォーマット」タブで、「フォーマット分類を選択」を「日付」にして表示タイプを選択します。「年/月/日」のような一覧にない形式は、「カスタム」を選択して「yyyy/mm/dd」と入力しましょう。

▲プロパティ画面で日付の表示形式を設定する

セッジさん:フィールド名も変更した方がよいですかね。

──そうですよね。プロパティ画面の「一般」タブで設定してもよいですし、画面右側の「フィールド」パネルでも設定できます。

「お名前」は1行にしたいので、プロパティ画面の「オプション」タブで「複数行」をオフ。「表示方法」タブでは文字サイズを設定することもできますよ。

▲入力文字のサイズも設定できる

メールアプリの起動は不要!Acrobat上から応募フォームを送信可能

──メールで送信する際は、フォーム作成画面にある「送信」をクリックして、「電子メール」→「Adobe Acrobatを使用して送信」をクリックです。

セッジさん:送り先もその場で指定できるのですね。

──そうです。送信先のメールアドレスを入力して、Microsoft OutlookやGmailのアカウントを連携させれば送信可能です。相手にはメールが届くのでダウンロードして入力、送信してもらいます。

▲「送信」をクリックし、画面の指示に従って進むと送信可能

送信後に表示される「トラッカー」画面では、送り先を追加したり、回答の集計を表示したりも可能です。

▲「トラッカー」画面で送信先の追加や集計を表示できる

Acrobatオンラインツールなら電子サインのフォームも作れる!

─いま紹介したフォームの他にも、AcrobatオンラインツールにWebフォームを作成する機能があるのですがご存じでした?

セッジさん:ブラウザで操作する機能なんですね。

──そうなんです。電子サイン用のフォームで、こちらも枠線で囲んでおけば簡単にフィールドが追加されます。

▲Acrobatオンラインツールの「Webフォームを作成」を選択

▲枠線で囲んだ部分にフィールドが追加される。必要であればフィールドを追加し「作成」をクリック

▲URLを伝えるか、Webサイトにコードを貼り付ける

この場合は、入力した人に確認メールが届き、承認してから送信されます。オリジナルの電子契約書や申請書などを作る際に便利です。

──セッジさん、最後にひとことお願いします。

セッジ:最近自分の回りでも、依頼書や契約書などをPDFで渡されるコトが増えてきました。ただ、下手すると「プリントアウトして手書きで記入してスキャンしてメールで返信…」というデジタルなのかアナログなのか良くわからない使い方もあったので、こうして簡単にフォーム化できるなら、ぜひ多くの方に使ってほしいですね!

──ご協力ありがとうございました。

今回はスタッフ募集のフォームで説明しましたが、申請書やチェックリストを作りたいときにもフォーム機能が役立ちます。紙の文書をデジタル化し、さらに入力可能なPDFにすることで作業がより効率的になることは間違いありません。これまで「フォーム形式のPDFを作成するのは難しい」と思っていた方も、ぜひこの機会にチャレンジしてみてください。

■取材協力セッジさん

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