「合理的配慮の提供」が義務化! 障害者差別解消法とPDF文書への配慮を考える
「すべての人に」「みんなに」「平等」「公正」─。これらはSDGs(持続可能な開発目標: Sustainable Development Goals」において17の目標を表現する際に含まれている言葉たちです。多様性を認め、誰もが公正に暮らせる環境を実現することは、現在の社会の大きなテーマの1つです。
実現ための取り組みは多岐にわたりますが、国が法律を通じてリードしているものもあります。障害者差別解消法の改正も、その1つです。内閣府が配布しているリーフレットによると「障害者差別解消法が変わります!」「令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されます!」とあります。
では、私たちは具体的にどのような配慮をしなければならないのでしょうか。アドビはオンラインセミナー「障害者差別解消法における『合理的配慮』 PDF文書のウェブアクセシビリティ」を通じて、アドビからの提案を紹介しています。
多くの企業に求められるウェブアクセシビリティ
まず障害者差別解消法とは、行政機関や事業者に対して、障害のある人への障害を理由とする「不当な差別的扱い」を禁止するものです。同時に障害のある人から申出があった場合には「合理的配慮の提供」を求めるとあります。教育、医療、福祉、公共交通など、日常生活及び社会生活全般に係る分野が広く対象となっており、例えば、障害で車椅子に乗っている人が飲食店に来店した場合、保護者や介助者がいないからと一律に入店を断ることは不当な差別的扱いとなります。同時に申出があれば、飲食店側は、机に備え付けの椅子を片付けて、車椅子のまま着席できるスペースを確保するなどの合理的配慮が求められます。ただし、食事介助を求められた場合に、飲食店は食事介助を事業の一環として行っていなければ、介助を断っても合理的配慮の提供義務には反しないと考えられます。
障害者差別解消法を理解するために飲食店の例を取り上げましたが、より多くの事業者に求められる合理的配慮があります。それが「ウェブアクセシビリティ」です。
「アクセシビリティ」とは「Access」「Ability」からできている言葉で、製品やサービスを利用できることといった意味合いを持ちます。よって、ウェブアクセシビリティは、利用者の障害などの有無や年齢や利用環境にかかわらず、あらゆる人々がウェブで提供されている情報やサービスを利用できることという意味になります。現在の社会においてウェブは重要な社会インフラ。ウェブを通じて、教育、医療、福祉、公共交通など、日常生活及び社会生活全般に係る分野の情報やサービスを提供する場合は、それがすべての人に平等に届くようにしなければなりません。
自動チェックで問題点を抽出して修正
ウェブアクセシビリティを確保するために、最も配慮しなければならないのが視覚に障害がある人への配慮です。書かれている内容が音声で読み上げられる、拡大できる、カラー表示を調整できるなど、晴眼者ではない人でもアクセスし、内容を理解できるようにしたりする必要があります。
多くの企業が、ウェブでの情報提供にPDFを利用しています。そこでアドビは「Adobe Acrobat Pro」を通じてアクセシブルなPDF文書の作成を支援しています。
具体的には、「Adobe Acrobat Pro」には「アクセシビリティを設定」というツールがあります。このツールを使えば、部・章、見出し、引用、箇条書き、表など、文書の構造を指定するタグが付与されているかなど、対象となるPDF文書のアクセシビリティを自動的にチェックしたり、問題点を解決したりしていくことが可能。例えば、紙の文書をスキャニングしたPDF文書は、全てが画像となっており、読み上げなどに対応できない、いわば最もアクセシビリティに乏しい文書といえますが、このような文書もテキスト化した上で、タグ付けなどを行っていけます。
チェックして問題点を抽出し、修正する──。ツールは、一連の作業をスムーズに行えるように工夫されており、とても簡単にアクセシビリティの設定を行えます。オンラインセミナー「障害者差別解消法における『合理的配慮』 PDF文書のウェブアクセシビリティ」では、その実際の操作をデモで紹介しています。ぜひ確認してみてください。
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