デスクトップ版Acrobatだけなんてもったいない!!ブラウザーも併用してPDFの作業効率をアップ!

こんにちは、ライターの桑名です。デジタル化が急速に進む中で、PDFはますます業務に欠かせなくなっていますね。PDFの閲覧・編集ソフトと言うと、デスクトップ版のAcrobatを思い浮かべる人が多いと思いますが、実はAcrobatにはブラウザー上で利用できる機能がたくさんあるんです。

そこで今回は、デスクトップ版Acrobatとブラウザーで使える機能を併用することで、どのような作業が可能になるのか、どんなメリットがあるのかを、使用例を交えながら紹介します。

1.自宅から修正可能!会社でのPDFのミスを即座に解決

明日の重要な会議に向けて、会社で完璧に仕上げたプレゼン資料。しかし、家に帰ってから「あっ、あれを修正したい!」と思ったことはありませんか?会議資料に限らず、似たような経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

そのような場合、自宅のパソコンからAcrobatオンラインにアクセスして修正できます。Acrobatオンラインはブラウザー上でPDFの編集や管理を行えるサービスで、言わばAcrobatのWeb版です。デスクトップ版と同様に文字の修正やPDFへの変換、電子サインなどの機能をブラウザー上で操作できます。無料ユーザーが使えるのは月に2回まで、有料ユーザーは回数制限がありません。

Acrobatオンラインツール
▲ブラウザー上で操作できるAcrobatオンライン

会社で作成したPDFを自宅で編集するには、クラウドに保存しておく必要があります。クラウドとは、インターネットを介してデータセンター内のサーバーにファイルを保存できるサービスです。

Acrobatでもアドビのクラウドを使用でき、無料のAcrobat Readerは2GBまで、Acrobat Proでは100GBまで使えるので積極的に活用するとよいでしょう。

クラウドへの保存はとても簡単で、デスクトップ版Acrobatの画面右上にある「雲」のアイコンをクリックするだけです。

デスクトップ版Acrobat画面でクラウドに保存 ▲デスクトップ版Acrobat画面で、右上の「雲」をクリックしてクラウドに保存

クラウドに保存すれば、どの端末でもどこからでもファイルにアクセスできるようになります。もちろん社外でのAcrobatの利用を禁止されている場合は使えませんが、許可されているのなら、出張や旅行の際にも「確認や修正が必要かもしれない」というファイルがあれば、クラウドに保存しておくと安心ですね。

2.リアルタイムでコメントしながらPDFを校正

リアルタイムでやり取りしながら校正

プレゼン資料やプロジェクト計画書を作成する際に、チーム全員で何度も校正することがありますよね。「この部分、もう一度チェックしてもらえますか?」とお互いに確認しながら、資料を完璧に仕上げていると思います。また、研究報告書や法律文書などは、さらに一歩進んで専門家によるチェックが必要な場合もあるでしょう。

PDFを複数人で共有する際にもクラウドを利用します。デスクトップ版Acrobatの画面右上にある「共有」ボタンからユーザーを招待でき、同時にPDFがクラウドにアップロードされます。

招待されたユーザーはメールのリンクをクリックすると、クラウドに保存されたPDFがブラウザー上に表示される仕組みです。Acrobatを持っていない場合でもコメントできるので、依頼先に「Acrobatを使用していますか?」と尋ねる必要はありません。

Acrobatの画面右上の「共有」をクリック ▲ Acrobatの画面右上の「共有」ボタンをクリックして送信する

Acrobatでの共有のメリットは、リアルタイムでのやり取りが可能な点です。お互いのコメントが即座に表示されるため、コミュニケーションの誤解や重複作業が減少します。従来の「メールでファイルを送り、コメントを書き込んで返信してもらう」という方法と比べると、作業効率が向上するのは明らかですね。

ブラウザ上でリアルタイムのやり取り

▲ブラウザー上でリアルタイムのやり取りが可能

Acrobatオンラインにない機能もあるので、ブラウザーからデスクトップ版Acrobatに切り替えたいときがあるかもしれません。たとえば「この部分を墨消ししたい」というとき。
ブラウザーでもAdobeアカウントにログインして利用していれば、簡単にデスクトップ版への切り替えができます。PDFをダウンロードする必要はありません。クラウドに保存されているので、デスクトップ版のホーム画面左端にある「Adobeクラウドストレージ」の「他のユーザーが共有」から開けます。

デスクトップ版の「Adobeクラウドストレージ」の「他のユーザーが共有」から開く
▲デスクトップ版のホーム画面で、左端の「Adobeクラウドストレージ」の「他のユーザーが共有」から共有ファイルを開ける

もちろん作成者もAcrobatオンラインにアクセスして、ブラウザー上でコメントを付けることが可能です。共有しているファイルは、Acrobatオンラインの「ホーム」にある「共有」タブをクリックした画面にあります。

Acrobartオンラインの「共有」タブで共有ファイルを開ける
▲Acrobatオンラインのホーム画面で、「共有」タブから共有ファイルを開ける

デスクトップ版AcrobatとAcrobatオンラインのツール画面が似ているので、同時に使用していると「今、どっちを使ってるんだ?」と混乱するかもしれません。そのようなときは、ウィンドウの上部で確認してください。URLが表示されているアドレスバーがあればブラウザーのAcrobatオンラインです。

なお、共有したPDFはスマホやタブレットのAcrobat Readerのモバイルアプリでも利用できるため、どこにいても校正できて便利ですね。

3.大人数の署名もスムーズに!ブラウザーから一括送信

複数人の署名が必要な文書を一括送信

大規模プロジェクトの承認書や集団の意見書を作成して、全員の署名を集めるときがあるかもしれません。以前は文書を紙に印刷して配布したり、メールに添付して一斉送信したりする方法を使っていましたが、今はそのような手間は不要です。

そういう時に役立つのが、ブラウザー上で署名ができる電子サイン機能の一括送信です。

デスクトップ版Acrobatで文書を作成した後、「電子サイン」タブをクリックし、「その他の電子サインオプション」→「一括送信」をクリックします。するとブラウザーに画面が表示され、メールアプリを起動せずに一括送信が可能です。

「電子サイン」→「その他の電子サインオプション」→「一括送信」をクリック
▲「電子サイン」→「その他の電子サインオプション」→「一括送信」をクリックすると、ブラウザーに移動する

複数のメールアドレスを入力して一括送信
▲複数のメールアドレスを入力して送信する

最大50件の送信先を指定できるので、大人数の署名に対応できます。学校のクラスやサークル、PTAなどでも使う機会があるかもしれませんね。

4.ブラウザーの拡張機能を使ってもっと便利に!

ブラウザの拡張機能を使ってさらに便利に!

公的機関のWebサイトにある申請書PDFに、文字や署名を入力するときはどのようにしていますか?ほとんどの人が、PDFをダウンロードして、デスクトップ版のAcrobatで書き込んでいるでしょう。あるいは、印刷して手書きしている人もいるかもしれません。

その場合は、Microsoft EdgeまたはGoogle Chromeの拡張機能がおすすめです。Acrobatの拡張機能をブラウザーにインストールすると、文字入力や署名のアイコンが追加され、編集作業がぐっと楽になります。Acrobat Proを使っていれば、左のメニューからWordへの変換やページの並べ替えなども可能です。

ブラウザの拡張機能でPDFの編集が楽になる
▲ブラウザーにAcrobat用の拡張機能をインストールすると、PDFの文字入れや署名、Wordへの変換などができる

入力の途中で中断したい場合は、「三点リーダー」のボタンをクリックし、「ファイルをAdobeクラウドストレージに保存」をクリックします。クラウドに保存され、次回はブラウザーとデスクトップ版Acrobat、どちらでも再開が可能です。
クラウドではなく、直接パソコンに保存したい場合は、「ダウンロード」ボタンをクリックしてダウンロードしましょう。

クラウドに保存とダウンロード
▲クラウドに保存するには「三点リーダー」ボタンをクリックし、「ファイルをAdobeクラウドストレージに保存」をクリック。ダウンロードする場合は「ダウンロード」ボタンをクリック

この拡張機能は本当におすすめなので、使用したことがない方はインストールしてお試しください。

※Acrobat用の拡張機能インストールページ

Microsoft EdgeのAcrobat拡張機能

Google ChromeのAcrobat拡張機能

5.他社クラウドにあるPDFもAcrobatで編集できる!?

メールで送られてきたPDFもブラウザで編集可能

「Gmailで送られてきたPDFを編集したい」というときは、どのように操作しますか?Googleドキュメントで編集が可能ですが、ページの入れ替えはやりづらいですし、うまく変換できないこともあります。そのため、PDFをダウンロードしてデスクトップ版Acrobatを使用しているのではないでしょうか? 少し面倒ですよね。

そこでおすすめなのが、GoogleとAcrobatを連携させて使える拡張機能です。拡張機能をインストールすれば、GoogleドライブのPDFやGmailに添付のPDFを編集できるようになります。

Google Workspace MarketPlaceにあるAcrobat用の拡張機能

拡張機能がインストールされていると、Gmailで送られてきたPDFを開く際に、使用するアプリとして「Adobe Acrobat」を選択できるようになります。クリックするとPDFの編集画面が表示されます。

「アプリで開く」をクリックして「Adobe Acrobat」を選択する
▲Gmailに添付されたPDFをクリックし、上部の「アプリで開く」をクリックして「Adobe Acrobat」を選択

PDFの編集画面が表示される
▲PDFの編集画面が表示される

また、Acrobat オンラインにGoogle ドライブを連携させると、Googleドライブのファイルにアクセスしやすくなります。Acrobatオンラインの上部にあるナビゲーションバーで、「文書」タブをクリックし、左側にある「アカウントを追加」をクリックした画面でGoogleアカウントを連携できます。

AcrobatとGoogleの連携するためにアカウントを追加する
▲Acrobatオンラインの「文書」をクリックし、「アカウントを追加」→「Googleでログイン」をクリックしてGoogleアカウントと連携させる

GoogleとAcrobatを組み合わせれば、ブラウザーだけでほとんどの作業が完結しそうですが、Acrobatのすべての機能が利用できるわけではありません。フォーム形式のPDF作成や墨消しツールの使用にはデスクトップ版が必要となります。ブラウザーとデスクトップ版の両方を利用することで、機能性が最大限に発揮されるのです。

今回紹介したように、デスクトップ版と一緒にブラウザー上の機能を併用することで、PDFを効率的に利用できるようになります。ブラウザーの機能はインターネット環境がない場所では使えませんが、普段使っているパソコンが手元にないときや、Web上のPDFを編集したいときに、その利便性を実感できるはずです。本記事を参考にしながら、ぜひ活用してください。

※画像作成にはAdobe Expressを利用しています。