WebサイトのPDF大丈夫?公開前に注意すべきポイントをチェック!
こんにちは!桑名です。ビジネスでもプライベートでも、Webサイトを作成する人が増えてきましたね。PDFファイルは、HTMLファイルと同様にサーバーにアップロードするだけでネットに公開できるのでとても便利です。
ただ、公開するのが簡単な分、個人情報が入っていたり、文章が読みづらかったり…というのもあるんです。
そこで今回は、PDFをWebサイトに掲載する際のポイントや注意点を紹介します。
個人情報を削除してから掲載する
WebサイトにPDFを掲載した直後に、「○○さんの本名って、△△△△さんなんですね」のようなDMが来たとしたらどうしますか?
「まさかそんなことあるわけないでしょ」と思う人もいるでしょうが、実は十分ありえる話です。
たとえば、Wordで作成した文書をPDFに変換した場合、Acrobatの「文書のプロパティ」画面にWordに設定している作成者名が表示されることがあるのです。そのままPDFをサーバーにアップロードしてしまうと、インターネット上に本名が公開されてしまいます。
▲Acrobatのメニューから「文書のプロパティ」→「概要」タブを見れば作成者名がわかる
意図せずに本名が公開されるなんて怖いですよね。そうならないように、公開前には必ず確認して、伏せたい場合は削除しましょう。Acrobatの場合、簡単に削除できます。メニューの「文書のプロパティ」をクリックして「概要」タブにある「作成者名」を「Del」キーで削除して「OK」ボタンをクリックし、ファイルを保存するだけです。
▲作成者名を「Del」キーで削除し、「OK」をクリック
念のため、本文や注釈に個人情報が含まれていないかも確認しておきましょう。Acrobatの「編集」タブにある「PDFを墨消し」→「非表示情報をすべて削除」→「選択的に削除」をクリックします。「すべてを削除」をクリックすると、必要な情報も削除されてしまうので注意してください。
右端のサイドパネルに非表示情報が表示されるので、各項目にある「プレビューを表示」をクリックして確認できます。
▲「編集」タブの「「PDFを墨消し」→「非表示情報をすべて削除」をクリック
▲「選択的に削除」をクリック
▲表示されたパネルで、各項目の「プレビューを表示」をクリックして確認する
企業サイトの場合は信頼性を示すために、あえて作成者名を入れる場合もありますが、本名を公開していない個人サイトへの掲載や、複数人で作成したPDFを公開する際は注意が必要ですね。
OCRを利用して検索可能なPDFにする
チラシやパンフレットのPDFもネット上でよく見かけますが、PDF内のキーワード検索ができないときがありませんか?
実は、検索可能なPDFとそうでないPDFがあるんです。画像を変換したPDFやスキャンしたPDFは、使用するソフトによっては検索可能なPDFにならない場合があります。
そのような場合は、OCR機能を利用しましょう。OCR(Optical Character Recognition)は、画像内にある文字をテキストに変換する技術です。OCRを利用して文字認識をおこなうと、PDF内の文字検索が可能になります。
▲検索ができないPDFもある
AcrobatでOCRを施すには、「変換」タブの「スキャンとOCR」→「このファイル」→「テキストを認識」をクリックします。その際、画像が劣化して色味が変わってしまう場合があります。そのようなときは「オプション」ボタンをクリックして「検索可能な画像(非圧縮)」の設定をしてからおこなってください。
▲「変換」タブの「スキャンとOCR」→「このファイル」→「テキストを認識」をクリック
▲「オプション」ボタンをクリックし、「出力」を「検索可能な画像(非圧縮)」にして「OK」をクリック
うまくいかない場合は、「スキャンされたファイルを補正」も試してみましょう。ただし、鮮明でない文字や読みにくい手書き文字は認識されない場合があります。
▲「スキャンされたファイルを補正」で「テキストを認識」にチェックを付けて「補正」をクリック
とりわけ文章量の多いPDFは、検索できるようにするのがベストです。また、検索できないPDFは音声読み上げができないので、それもまた不便ですよね。なので、なるべく検索可能なPDFで公開することをおすすめします。
長文のPDFに「しおり」を作成して読みやすくする
企業や大学のWebサイトに、マニュアルや論文などのPDFが掲載されている場合があります。そのような文書は長文なので、探している情報がどのページにあるのか見つけにくいときがありますよね。また、特定のページをすぐに見たいときに、1ページずつめくって探すのは結構手間がかかります。
そこで、章や節ごとにしおりを設定しましょう。必要な情報が記載された部分にすぐにジャンプでき、効率的に読めるようになります。
Acrobatでしおりを追加する方法は簡単です。しおりを作成したいページの上で右クリックし、「しおりを追加」をクリックします。特定の部分を指定する場合はドラッグで選択し、選択した上で右クリックして「しおりを追加」をクリックしましょう。
▲右クリックして「しおりを追加」をクリック
▲サイドパネルにしおりが表示されるので、しおりの名前を入力
Word文書をPDFにする場合は、Acrobatを使用して変換すると、自動的に「見出し」スタイルの部分がしおりになります。Acrobatがインストールされていれば、Word上で変換できますからね。WordのPDF変換機能を使ってもよいですが、その場合はオプションの設定が必要なので、Acrobatを使った方が速いです。
▲Acrobatをインストールすると、Wordに「Acrobat」タブが追加される。AcrobatでPDF変換すれば簡単にしおりを作成できる
しおりの名前を見出しとは異なるものにしたいときは、Acrobat上で変更すればよいですね!
すべてのユーザーが読めるようにアクセシビリティをチェック
Webサイトの作成で重要なのは、視覚障害を持つ方を含め、すべての人が平等に情報を得られるようにすることです。これを「アクセシビリティ」と言います。PDFを掲載する場合も同様なので、アップロード前にアクセシビリティを確認しましょう。
Acrobatにはアクセシビリティチェック機能があり、「すべてのツール」の「さらに表示」→「アクセシビリティを設定」→「アクセシビリティをチェック」で、複数の項目を一度にチェックすることが可能です。
▲「すべてのツール」の「さらに表示」→「アクセシビリティを設定」をクリックし、「アクセシビリティをチェック」をクリック
たとえば、テキストと背景のコトンラスト(明暗差)がないと、色覚異常のある人や視力が低下している人にとって見づらいページになります。アクセシビリティチェックで、「文書の色のコントラストが適切である」をオンにしてコントラストが十分であるかを確認しましょう。
また、「文書が画像のみのPDFではない」と「大きい文書にしおりが存在する」をオンで、先ほど説明した検索可能なPDFとしおりの設定を確認することが可能です。
▲画像のみのPDFやコントラストの項目がある。「チェックを開始」をクリック
チェックの結果は右端のサイドパネルに表示されます。
▲アクセシビリティチェックの結果がサイドパネルに表示される
文章を読み上げてくれる音声読み上げ機能は、視覚が不自由な方だけでなく、文章を読むのが苦手な方にも役立ちます。レイアウトによっては正しい順序で読み上げてくれない場合がありますが、「読み上げ順序を修正」→「順序パネルを表示」をクリックすると、音声読み上げる順序を入れ替えることが可能です。
▲「読み上げ順序を修正」→「順序パネルを表示」をクリックし、サイドパネルで項目をドラッグして入れ替える
PDF内にある図が、何の図であるかを音声で読み上げてもらうには、代替テキストの設定が必要です。チェックの結果、代替テキストに問題があると表示された場合は、左側の「代替テキストを追加」をクリックしてそれぞれの図にテキストを設定しましょう。
▲「代替テキストを追加」をクリックし、図に代替テキストを設定する
Acrobatでの音声読み上げは、Acrobatの「メニュー」→「表示」→「読み上げ」→「読み上げを起動」をクリック。続けて「メニュー」→「表示」→「読み上げ」→「このページを読み上げる」で開始できます。
検索結果の上位に表示させるためのSEO対策も必要ですが、すべての人が平等にアクセスできるようにアクセシビリティを意識することはとても重要です。Acrobatはこの点を重視しているので、アクセシビリティチェックを活用しながら、多くのユーザーが利用しやすいPDFを作成しましょう。
金額や日付を修正できないように編集不可の設定をする
商品のカタログやサービスのプレスリリースにもPDFがよく使われます。そのようなPDFには金額や日付が記載されていますが、Acrobatを使えば簡単に編集できてしまうのです。
また、公的機関の申請書も編集可能な状態で公開されていることがありますが、Acrobatの「編集」タブをクリックすると文字が移動できるため、レイアウトがくずれてしまう可能性があります。記載されている文字をうっかり削除してしまうかもしれません。
▲Acrobatで「編集」タブをクリックすると、文字を移動できてしまう
悪用されることはめったにないでしょうが、変更されたくないPDFには編集不可の設定をしておいた方が安心です。
Acrobatで編集不可の設定をするには、「すべてのツール」→「PDFを保護」→「パスワードで保護」をクリックし、「編集」を選択してパスワードを設定します。そうすれば、パスワードを知っている人しか編集できなくなります。
▲「すべてのツール」→「PDFを保護」→「パスワードで保護」をクリック
▲「編集」を選択してパスワードを設定して「適用」をクリック
重要なPDFであればあるほど改ざんを防ぐ必要があるので、編集不可の設定をおこなって、安心できる状態で公開しましょう。
ファイルサイズを小さくしてアップロードする
Web上のファイルをダウンロードしようとしているが、なかなか終わらない…といった経験はありませんか?ファイルサイズが大きいと、どうしても時間がかかってしまいます。急いでいるときは本当にもどかしいですよね。
そのような状況を避けるためにも、ファイルサイズの大きいPDFは、サイズを小さくしてからアップロードしましょう。PDFのファイルサイズを小さくするツールはたくさんありますが、Acrobatなら画質の劣化を抑えて縮小できるのでおすすめです。
Acrobatの「変換」タブにある「PDFを圧縮」をクリックし、「単一ファイル」をクリックして保存します。
▲「変換」タブの「PDFを圧縮」→「単一ファイル」をクリックして保存する
「高度な最適化」をクリックすると、画質やフォントをどうするかなど、細かく設定することも可能です。
▲「高度な最適化」では細かく設定して圧縮できる
スムーズにダウンロードできれば、ストレスなく使用できるので、ユーザーからのクレームを避けられますね。特に何ページにもわたる資料のPDFや画像がたくさん含まれているPDFはファイルサイズが大きくなりやすいので、アップロードする前に縮小しておきましょう。
今回は、WebサイトにPDFを掲載する際のポイントについて紹介しました。すでに掲載済みのPDFについても、個人情報の表示や編集不可の設定を一度確認してみてください。
また、アクセシビリティを意識し、すべての人が平等に閲覧できるようにすることで、Webサイトの雰囲気も良くなります。Acrobatの機能を活用して、Webサイト上に最適なPDFを公開しましょう。
※画像作成にはAdobe Expressを利用しています。