続報❶|Illustratorの文字組み機能・テキストエンジンが進化|事前準備とプレリリース参加のお願い
アドビでは現在、Illustratorをはじめとしたデザインアプリケーションの文字組み品質向上のために、テキストエンジンの刷新に取り組んでいます。
2024年5月に公開された記事「予告|Illustratorの文字組み機能・テキストエンジンが進化|いまから備えよう!Illustrator 2023(27.7)以降で再保存のお願い」の続編として、この記事ではテキストエンジンが変わることでユーザーにどのようなメリットがあるのか、そしていま、どのような準備をすべきなのかについて紹介します。
記事の最後には、事前に新しいバージョンのテキストエンジンをテストいただける「プレリリースプログラム」についてのご案内も記載しています。 ぜひ、最後までご一読ください。
ビギナーでも安心!よりきれいな文字組みをスムーズに実現
テキストエンジンが新しくなることで、ユーザーにどのようなメリットがあるのでしょうか。それは「デフォルト(標準設定)での文字組み品質が向上する」ことです。つまり、新しいバージョンのテキストエンジンは、従来のテキストエンジンに比べて、複雑な調整をしなくても、よりきれいな文字組みを実現できるようになっています。
初心者デザイナーやIllustratorビギナーのなかには、「文字組み=難しい」と感じている人がいるかもしれません。今回のアップデートはそうしたユーザーにこそおすすめしたい、大幅な機能強化となります。
プロのデザインワークをより効率的に
テキストエンジンの進化は、初心者やビギナーばかりに恩恵があるものではありません。もちろん、クリエイティブプロフェッショナルの現場にとっても、大きなメリットのあるものになっています。
Illustratorでテキストを扱うとき、これまでであれば、テキストに細かな調整を加え、文字組みをブラッシュアップしていくという工程が必要でした。
新しいバージョンのテキストエンジンの開発にあたっては、こうした日々のデザインワークに使われるアプリケーションの機能や挙動をあらためて検証。イメージ通りの文字組みを、スムーズに実現するための調整が多岐にわたって行なわれています。このチューニングによって、Illustratorでこれまで以上に効率的に、短い時間で高品質な文字組みを追求できるようになります。
テキストエンジンの更新による文字組みの違いは、ひと目でわかるものではないかもしれません。しかし、Illustratorでテキストを扱うなかで、確実にその効果を実感いただけるはずです。
重要!過去データの再保存のお願い
新しいバージョンのテキストエンジン登場に備え、みなさんにひとつお願いがあります。それは「お持ちのIllustratorファイル(.ai)を現在、リリースされているバージョンのIllustratorで再保存すること」です。
すべてのファイルを再保存する必要はありません。以下のチャートを参考に、該当するデータのみ再保存をしておくと安心です。
過去にIllustratorを使用していた方、現在はIllustratorを使用していない方も、再度、契約をいただき、過去のデータを27.7以降のバージョンで.ai形式で保存をしておくことで、「文字組みの更新」機能によって過去のレイアウトを安全に保管することができます。クラウド上に保存したデータも、キャンセルから6ヶ月以内であれば引き続き利用することが可能です。
過去データも安心して使える変更点検出機能
「文字組みがきれいになる、ラクになるのはうれしい」
「でも、テキストの位置が勝手に変更されるのは困る」
デザインや出力の現場で働くプロフェッショナルにとって、意図しないデータの変更はもっとも避けたい事態です。
アドビではいま、こうした状況でも安全かつ安心してデータを取り扱えるように、このテキストエンジンの強化にあわせて、文字組みの変更点を確認できる「文字組みの更新」機能を開発しています(前述の記事 参照)。
この機能によって、従来のテキストエンジンによる文字組みと、新しいバージョンのテキストエンジンによる文字組みの違いを確認しながら、 編集作業をすることができます。
修正するテキストは更新することで編集可能になりますが、影響を受けるのは対象のテキストに限られます。修正する必要のないテキスト=更新しなかったテキストに変更が加わることはありません。
この機能は、従来のテキストエンジンと新しいテキストエンジンの差を検出するだけでなく、今後、テキスト機能強化によって発生しうるテキスト位置の変更にも対応することができます。将来にわたりテキストの互換性を担保する、重要な役割をもった機能と言えるでしょう。
「文字組みの更新」機能を使うには
この「文字組みの更新」機能を最大限活用するためには条件があります。それは「aiファイルがIllustrator 2023・27.7以降、またはIllustrator 2024・28.0以降のバージョンで保存されていること」です。前述のチャートに該当する過去データを、現在のIllustratorで保存しなおすのは、この機能を利用できるようにするためです。
再保存しなかった過去データはどうなるの?
過去につくられたaiファイルを再保存せずに、新しいバージョンで開いた場合、ファイル内のすべてのテキストは新しいテキストエンジンによって更新されます。また、「文字組みの更新」機能についても利用することができません。
ただし、再保存をしなかったからといって、ファイルが開けなくなる/強制的にアウトライン化される/画像化されるということはありません。 テキストは新しいテキストエンジンを使用して、引き続き編集することができます。
新機能をいまから試せる、プレリリースプログラム
テキストエンジンが変わると、文字組みはどう変わるのか。
「文字組みの更新」機能の使い勝手はどうなのか。
日常的にIllustratorを扱う現場では、不安に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうした不安、懸念を少しでも払拭していただけるように、アドビではリリースに先駆けて、今後、搭載される機能をテストすることができる「プレリリースプログラム」を実施しています。
Illustratorのプレリリースプログラムでは、現在、新しいテキストエンジンとその変更点を確認できる「文字組みの更新」機能を搭載したβバージョンを提供中です。
みなさまのご意見、フィードバックをもとに、アドビでは、過去も未来も安心してIllustratorをご利用いただける環境を構築していきます。
開発中の機能を、より現場の業務に即したかたちでリリースするためにも、ぜひ、このプログラムへの参加をお願いいたします。
Illustrator プレリリースプログラムへの参加はこちらから
Illustratorに搭載予定の「文字組みの更新」パネル(開発中)
Illustratorをもう一度お試しになりたい方や初めてご利用される方は、以下のボタンからお入りください。