続報❸|Illustratorパブリックベータ版で文字組みが進化!|新搭載「文字組み更新」パネルの使いかた(サンプルデータあり)
アドビでは現在、Adobe Illustratorをはじめとしたデザインアプリケーションの文字組み品質向上のために、テキストエンジンの刷新に取り組んでおり、Adobe Blogでも三度にわたって情報を公開してきました。
- 予告|Illustratorの文字組み機能・テキストエンジンが進化|いまから備えよう!Illustrator 2023(27.7)以降で再保存のお願い
- 続報❶|Illustratorの文字組み機能・テキストエンジンが進化|事前準備とプレリリース参加のお願い
- 続報❷|Illustratorパブリックベータ版で文字組みが進化!|バージョンアップに伴う文字位置の確認に対応する新機能も登場
この記事では公開中のIllustrator・パブリックベータ版にあらたに搭載された「文字組み更新」機能についてお伝えします。
- 「文字組み更新」機能とパネルの使いかた
- サンプルファイルをダウンロードして「文字組み更新」機能を体験する
- ファイル保存についての重要なお知らせとフィードバックのお願い
「文字組み更新」パネルを使うには
「文字組み更新」パネルを使うと、強化されたテキストエンジンによって文字組みがどのように変わるのか、プレビューすることができるようになります。
この機能は2024年9月現在、Illustrator・パブリックベータ版にのみ搭載されています。インストール方法は、続報❷ の記事を参照ください。
「文字組み更新」機能を使うには
「文字組み更新」パネルを使って文字組みの変更点を確認するには、開くaiファイルが、この機能に対応している必要があります。
対応ファイルの条件は 「aiファイルがIllustrator 2023・27.7以降、またはIllustrator 2024・28.0以降のバージョンで保存されていること」 です。それ以前のIllustratorで保存されたファイルの場合、2023・27.7以降で再保存する必要があります。
重要なお知らせ
2024年9月10日現在、アドビではデータの保存条件を満たしたファイルであっても「文字組み更新」機能が正常に機能しないファイルの事例を確認しており、この問題を解決するプラグインを開発中です。
このプラグインを使用することで、従来のaiファイルを「文字組み更新」機能に対応したファイルとして再保存できるだけでなく、複数のaiファイルの一括再保存処理も可能になります。プラグインの公開は 2024年9月下旬 を予定しています。
[鋭意開発中、もう少しお待ちください]
「文字組み更新」手順・1|ファイルを開く
実際に「文字組み更新」機能を使ってみましょう。
Illustrator・パブリックベータ版でaiファイルを開くと、テキストに変更が生じる場合に限り、以下のようなダイアログが表示されます。このダイアログが表示されない場合、文字組みは変更されません。
*記事中のダイアログは変更される可能性があります
ダイアログに現れる選択肢の結果は以下のようになります。
- 「更新」…変更点を確認せずにすべてのテキストを更新する
- 「変更を再確認」…従来の文字組みを維持し、あとで変更点を確認する
- 「キャンセル」…ファイルを開かずに閉じる
「文字組み更新」機能を使うには、「変更を再確認」 を選択します。
「文字組み更新」機能に対応していないaiファイルを開いた場合には、以下のダイアログが表示されます。「OK」をクリックすると、すべてのテキストが更新されます。
「文字組み更新」手順・2|パネルを表示して変更点を確認
手順・1で「変更を再確認」を選んでファイルを開いた場合、最初に表示されるレイアウトは、これまでのテキストエンジンでの文字組み(=更新前のテキスト)になります。
このサンプルデータは、このブログ下のリンクよりダウンロードができます
この状態から、テキストの更新結果をプレビューするには、「文字組み更新」パネルを使います。「文字組み更新」パネルは「ウィンドウ」メニューの「書式」に用意されています。
「ウィンドウ」メニュー下部の「書式」から「文字組み更新」のチェックを入れます
「文字組み更新」パネル
「文字組み更新」パネルでは、変更されるテキストオブジェクトをハイライト表示することができます。「影響を受けるテキストオブジェクトをマーク」にチェックを入れると、対象となるテキストにフレームとマークが表示されます。
テキストの変更点を確認するには、「テキストレイアウトの変更を確認」をオンにします。以下の3パターンで表示するテキストを切り替えることができるほか、変更前/後それぞれのテキストに色を割り当てて重ねることで、テキストの変更点を確認することができます。
左から、更新前のテキスト/更新後のテキスト/更新前と後を重ねて表示にしたもの
「ハイライト表示」の項目では、以下の表示を追加することができます。
- 折り返し位置(改行位置)が変わる箇所を[ ]でマークする
- 字送りが変わる箇所を赤のマーカー表示にする
- 行送りの位置が変わる箇所を緑のラインで表示する
更新前のテキストを表示した状態で、「折り返し位置の変更」「字送りの変更」にチェックを入れた場合の表示例
「文字組み更新」手順・3|テキストを更新する
テキストを更新するには、テキストオブジェクトをダブルクリックします。表示されるダイアログで「続行」を選ぶとテキストが更新され、編集できる状態になります。
テキストの更新は「文字組み更新」パネルから行なうこともできます。
パネル右下の 「すべて更新」 を押すと、ドキュメント上のすべてのテキストが更新されます。
一部の文字組みを維持したい場合など、テキストを個別に更新するときは「選択対象」を 「選択したテキスト」 にした状態で、更新するテキストオブジェクトを選択し、パネル左下の 「選択テキストを更新」 を押します。
文字組み変更が生じやすいところ、生じにくいところ
「文字組み更新」パネルは、ごくわずかな文字位置の変更も検出します。そのため、目視では確認が難しい箇所でも、変更点としてマークされることがあります。
テキストエンジンの刷新による影響の大きさは、文字組みの設定によって異なります。以下のケースでは、大幅な文字位置の変更は生じにくい傾向にあります。
- ポイント文字
- 「文字」パネルの「カーニング」設定がユーザー指定の値または「和文等幅」「メトリクス」に設定されたテキスト
一方、以下の組み合わせでは折り返し位置(改行位置)に変更が生じることがあります。
- エリア内文字
- 行揃え:均等配置(最終行左揃え)
- カーニング:オプティカルカーニング
このほか、ペアカーニングの調整量が大きいフォントでは、行末の文字が次行に追い出されることがあります。
エリア内文字/均等配置(最終行左揃え)/オプティカルカーニングの組み合わせで作られたテキスト例
「文字組み更新」機能に対するフィードバックのお願い
この「文字組み更新」機能を体験いただくためのサンプルデータをページ下部に用意しています。メインで使用しているフォントおよびカーニング設定により、2つのデータがあります。
- 源ノゴシック/メトリクスカーニング版
- ZEN角ゴシック/オプティカルカーニング版
使用にあたっては以下のご準備をお願いいたします。
- Illustrator・パブリックベータ版のインストール
- ドキュメントに使用されているフォントのインストール
ドキュメントにはAdobe Fontsのフォントが使われています。ファイルを開く際にアクティベートすることもできますが、アクティベート直後はテキストが正しく表示されないことがあります。この場合、使用フォントのアクティベートを確認後、ファイルを開き直してください。
フィードバックのお願い
サンプルファイルやお手持ちのデータで、Illustratorの強化されたテキストエンジンと「文字組み更新」機能をぜひお試しください。
開発チームでは、日本のみなさまのフィードバックをお待ちしております。
アドビではみなさまからのご意見、ご要望をもとに、さらなる機能改善、機能強化を続けてまいります。
みなさまのご協力、何卒よろしくお願いいたします。
フィードバックは「文字組み更新」パネルから行なうことができます
サンプルデータのダウンロードはこちらから。
Illustratorをもう一度お試しになりたい方や初めてご利用される方は、以下のボタンからお入りください。