動画による教材制作において長い歴史と実績を誇るアテイン株式会社。昨今のeラーニングの隆盛に伴い、より多くのライブ配信や、オンデマンド配信用の動画編集をアウトプットできる制作プロセスが求められてきました。
そうした中、同社が活用を始めたのがAdobe Premiere ProとFrame.io、Atomos社のNinjaを組み合わせたクラウドベースのワークフローです。この仕組みを活用することで、ウェビナーの配信と同時に撮影素材が共有されるため、すぐに編集作業にとりかかることができます。しかも、その作業をリモートで行うことも可能になりました。
同社の福嶌副社長と石田ディレクターに、経緯と実践的な活用方法をお聞きします。
アテイン株式会社のeラーニングビジネスと映像制作
1992年創業のアテイン株式会社は、マルチメディアと呼ばれたCD-ROMコンテンツ制作に始まり、大ヒットしたIT系トレーニングビデオ「誰でもわかるシリーズ」の企画開発、オンライン学習への展開と、教育系動画コンテンツ制作の草分けとも言える存在です。同社に2000年に新卒で入社された福嶌さんは、その多くに関わることでIT業界の「学び」に寄与されてきました。
「初期はエデュテイメントと言われていたジャンルで、オーサリングソフトAdobe Directorを使って社会や算数のCD-ROMを作っていました。その後、PCの普及とともにアプリケーションの使い方を説明する映像への需要が高まり、当初VHS、後にDVDとなるパッケージを企画開発します。近年はオンラインのストリーミングに移行し、コロナ禍による配信ニーズの高まりとともに自社コンテンツおよび委託の受注が増えました。本社の移転に伴い、自社スタジオを拡充させて需要増に対応しています。」(福嶌さん)
一方、ディレクターとして制作をリード、編集も手がける石田ディレクターは、自らの講師経験が現場に生きていると語ります。
「もともと民間の教育機関の講師として、通信衛星を使った遠隔授業を行っていました。本格的な設備を整えた環境で、リモートカメラや放送用スイッチャーを備えたスタジオでの収録です。この経験があるので、出演者の気持ちを汲みとったディレクションができると思っています。」(石田さん)
アドビ クリエイティブカレッジのプロジェクト
今回の取材は、実際に「アドビことはじめクリエイティブカレッジ」の収録が行われている同社の第2スタジオをお尋ねしました。これは、アドビがクリエイティブクラウド有償メンバー向けに特典として提供しているオンラインスクールプログラムで、初心者からスキルアップしたいという方を対象とした短期完結型の講座です。Adobe Illustrator、Adobe Photoshop、Premiere Proを学べる全4コースがあり、毎週2回、約3ヶ月の講座の中で、基礎から応⽤までを学ぶことができます。取材時(2024年7月)は第6期が開講中で、これまで5万人以上が受講している大人気のプログラムです。そうした大人数がアクセスする重要なライブ配信と収録・編集業務を、同社が担っているのです。
ライブ配信とオンデマンド配信
講義自体はアーカイブからのオンデマンド配信ですが、入校式やQ&Aセッション時にはライブ配信とのハイブリッドとなります。オンデマンド配信用のコンテンツは不要部分のカットや調整を行う必要があるため、可能な限りタイムラグなしに作業を始められるワークフローが求められます。
クラウドベースのワークフロー
そこで石田さんを中心に構築したのが、Frame.ioのCamera to Cloud機能とAtomos社Ninjaを活用したクラウドベースのワークフローです。まずは機材の構成を教えていただきました。
「カメラやPCからの映像と音声は、スイッチャーからHDMIを通してAtomos Ninjaに送られます。Ninjaはリアルタイムにハードウェアエンコードを行い、Atomos ConnectおよびAtomos Cloud Studioを通してFrame.ioのCamera to Cloudにアップロードされ、編集用素材となります。その素材をPremire ProのFrame.ioでダウンロードして編集を行い、クライアントのレビューが済んだら、オンデマンド配信サーバーに送り込むという流れです。最初にセッティングさえしっかり行えば、安定した状態で固定運用できるのでとても手軽で安心です。もちろん、クライアントレビューもFrame.ioで行います。」