アドビ認定教員による小中高の先生向けイベント「ACE Innovator Festival 2024」を開催

人, 屋内, テーブル, 民衆 が含まれている画像 自動的に生成された説明

アドビの認定制教員コミュニティAdobe Creative Educator(ACE) Innovator主催による小中高の先生を対象としたイベント「ACE Innovator Festival 2024」が、2024年9月8日(日)にアドビ東京オフィスで開催されました。これはACE Innovatorのメンバー有志が企画・準備をしてきたもので、ワークショップ、事例発表など盛りだくさんのイベントとなりました。

教育現場で安心安全に使えるAdobe Expressの生成AI

はじめにアドビ 教育事業本部 執行役員 本部長の小池晴子が小中高校向けのAdobe Expressについて紹介しました。アドビの生成AIモデル「Adobe Firefly」は日々進化してさまざまなアドビ製品に機能として追加されていますが、Adobe Expressにも搭載されています。学校現場においては特にその安全性がツール選択の重要なポイントとなります。

FireflyのAIモデルのトレーニングに使用されているのはAdobe Stock、オープンライセンスコンテンツ、パブリックドメインコンテンツのみで、商用利用にも安全なように権利設計されているので、子ども達が学校外で発表する成果物に使用しても問題ありません。また、ユーザーが生成した画像をAIモデルの学習データに使うことはないという点も安心です。他にも、画像生成時に著作権を侵害するようなプロンプトを入力できないようになっていたり、生成画像に有害なステレオタイプが反映されにくいように継続的にテストが行われていたりと、ユーザーの安全を保つ対策がなされています。

画像生成AIの登場で、偽情報への対策にも関心が集まっていますが、アドビは世界的なコンソーシアムであるコンテンツ認証イニシアブ(CAI:Content Authenticity Initiative)の一員としてオンラインコンテンツの信頼性と透明性を高めることに取り組んでいます。具体的にはAdobe Fireflyで生成したコンテンツには「来歴」と呼ばれる出所情報が埋め込まれるようになっていて、コンテンツの信頼性を判断するひとつの手がかりにすることができます。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション 自動的に生成された説明

コンテンツの来歴情報を付与することでコンテンツの信頼性を保つ

小池は安心安全なポイントをわかりやすく伝えた上で、「Adobe Expressは子どもたちが一番初めに出会うデジタルツールとして、自信を持っておすすめできるアプリケーションです」と結びました。

Adobe Expressのイチオシ機能をACE Innovatorが紹介!

次はACE InnovatorによるAdobe Expressのおすすめポイントの紹介です。7名のACE Innovatorがリレー式で「私のイチオシ!機能」を現場感のある語り口で次々に紹介していきました。生成塗りつぶしで写真の一部をあっという間に加工したり、動画の字幕を自動で生成したりという便利なAI機能に、会場には驚きが広がります。

鏡に映った姿を撮影している女性 中程度の精度で自動的に生成された説明

済美平成中等教育学校 濱田和幸先生(上)、Canadian Academy 茂田可愛先生(下)

また、ベータ版として搭載されているロゴを自動生成するロゴメーカーや、教育機関向けで使えるブラシツールの機能は初めて知ったという人が多く、参加者の興味を引きつけました。

テレビを見ている人たち 中程度の精度で自動的に生成された説明

瀬戸SOLAN小学校 反田任先生(上)、関西学院千里国際中等部・高等部 西出新也先生(下)

他にも、自分の喋るリズムに合わせて自動で動くキャラクターアニメーションを手軽に作れることや、プレゼンテーション作成の機能が充実してきたこと、PDFの編集、Webページの作成など、便利な機能が次々に紹介されました。

机の上に座っている男性たち 低い精度で自動的に生成された説明

同志社中学校・高等学校 外村拓也先生(上)、東奥義塾高等学校 井上嘉名芽先生(左下)、聖徳学園中学・高等学校 品田 健 先生(右下)

機能と共に現場感あふれる活用アイデアも披露されました。例えば東奥義塾高等学校 井上嘉名芽先生は、修学旅行の際にWebページ作成機能で保護者向けのリアルテイムレポートを制作したことを紹介しました。随時スマートフォンから写真を追加して更新したところ、保護者からは「一緒に行っているような気持ちだった」と大好評だったそうです。

活用アイデアが飛び交う交流タイム

ここでいったんコーヒーブレイクタイムとなり、ACE Innovatorと参加者で交流を深めました。聞いたばかりのAdobe Expressの機能についてとアイデアを交わしたり、それぞれの学校での活用状況やリアルな悩みを話し合ったり話が弾みます。ACE Innovatorも輪に加わって、プレゼンテーションでは伝えられなかったよりリアルな話をしたり、参加者の質問に答えたりしていました。

人, 屋内, 天井, テーブル が含まれている画像 自動的に生成された説明

リラックスして交流する参加者のみなさん。アドビのインターンの大学生もスタッフとして準備・運営に活躍(右下)

参加者は首都圏だけでなく関西エリアからなど遠方からも集まっていて、現場で活躍する教員の皆さんはもちろん、教育委員会からの参加もありました。目的も様々で、Adobe Expressを導入したばかりなので教科での活用ヒントを得ようという参加者もいれば、既に導入されていて他の先生にもっと使ってもらいたいという思いを抱えている参加者もいました。特に生成AIについてはあちこちで話題に上っていて、ACE Innovatorが生成AIを使った授業の様子を写真を見せながら説明する姿も。さまざまなインスピレーションを得られる貴重な時間となりました。

テーブルの周りに集まっている人々 中程度の精度で自動的に生成された説明

会話の中で自然と活用アイデアや悩みの共有も

Adobe Expressハンズオンセッション

交流ができたところでいよいよAdobe Expressのハンズオンセッションです。今回はテンプレートを活用した目をひく自己紹介カードの制作に挑戦しました。参加者はその場で自分の写真を撮って追加し、色調を変えたり、文字を編集したりしてオリジナルの自己紹介を作成していきました。

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ハンズオンセッションを進行する鳥取県ICT情報教育アドバイザー・文部科学省教育DX戦略アドバイザー 竹中章勝先生(左)。自己紹介制作で使用したテンプレート(右)

Adobe Expressを使い始めたばかりの参加者はACE Innovatorのサポートを受けながら一歩ずつ進めていきます。一方、Adobe Expressに慣れている参加者は生成塗りつぶしの機能で写真を加工するなど遊び心も発揮して、それぞれのペースで制作を進めていきました。

ノートパソコンで作業をしている人たち 中程度の精度で自動的に生成された説明

ACE Innovatorが適宜サポートに入る。参加者の作品はそれぞれ個性が出る

後半はグループごとに作品を見せ合う時間が設けられました。同じテンプレートを元にしているとはいえ、Adobe Expressでは自由に編集加工ができるので、出来上がった作品には個性があふれ、お互いのアイデアに刺激を受けている様子でした。

テーブルを囲む人々 中程度の精度で自動的に生成された説明

同じ課題で取り組んだ他の人の作品には学ぶことが多い

米国Adobe Creative Educator Innovator Summit報告

最後に、この7月に米国サンノゼのアドビ本社で行われたAdobe Creative Educator Innovator Summitの報告がありました。このサミットには、日本からも工学院大学附属中学校・高等学校 中川千穂先生と瀬戸SOLAN小学校 反田任先生、和光中学高等学校 小池則行先生が参加しました。さまざまなレクチャーや活発な意見交換が行われた中から、いくつかのトピックスが共有されました。

屋内, 人, 立つ, 女性 が含まれている画像 自動的に生成された説明

現地の様子を伝えるスライドを見せながら報告する工学院大学附属中学校・高等学校 中川千穂先生

中川先生は「創造性と革新的なテクノロジーの利用に積極的な生徒の方が、各種の思考力を発揮して高い学業成果を上げる」という米国内の調査を紹介しました。先生自身も、先映像制作など創造性を発揮する授業に一生懸命取り組んだ学年が高い大学進学実績を上げた経験があったので、この調査結果に強く共感したと言います。

また、AIについては、「AIなどのテクノロジーを教育現場で使う最大の利点は、これまでアウトプットを作る作業自体に時間をかけていた部分を短縮し、その分、アイデアやコンテンツを考える方に時間をかけられるところにある」というプレゼン内容に触れ、「何を作るのかという中身と、何のためにやるのかという目的が重要です」と話し、クリエイティブな活動の授業づくりに大切なポイントを整理して伝えました。

ポーズをとる男女グループ 中程度の精度で自動的に生成された説明

イベント主催側として活躍したACE Innovatorのみなさん

ACE Innovator Festival 2024全体を通して、現場の教員ならではの実感や生きた事例が共有されたのに加え、生成AIなど新しいテクノロジーの捉え方や方向性も示され、とても充実したイベントとなりました。これを機に、クリエイティブな授業の試みがさらに広がっていくことが楽しみです。

(文:狩野さやか)