ヤッホーブルーイングのブランド価値と自由闊達な制作環境を支える企業向けプラン - Adobe Creative Cloud グループ版 Pro エディション
「よなよなエール」など個性的なビールで多くのファンを持つ株式会社ヤッホーブルーイングは、今年で 30 期目の企業ですが、クリエイティブチーム(愛称:図工室)が会社の機能として創設されたのは、2023 年 12 月のことでした。
同社は、プロジェクトチーム制の製品開発や、自主性とフラットなコミュニケーションを重視する社風が成果につながっていると自負する一方で、プロジェクトに選ばれたメンバーのスキルにクリエイティブの質が左右されるなど、自由度が高いが故の課題も感じていました。そこで、プロジェクト間での一貫性の保持や、一定水準のデザインスキルの確保を狙って、デザイン専門の組織が新たに設けられたのです。
成果はすぐに表れて、営業用販促物や SNS 用クリエイティブなど、社内の制作案件は前の期よりも 200% 以上増加しました。昨年夏に販売された試作品「ヘイジー IPA 2024」の缶デザインも、設立一年目の図工室が手がけています。ヘイジー IPA をもっと多くの人に届けようと始まったこのプロジェクトは、試作品へのフィードバックも参考にしながら改良を重ね、昨年末の新製品「有頂天エイリアンズ」発売へと至りました。
ヘイジー IPA 2024(右 )は有頂天エイリアンズのプロトタイプとして図工室がデザイン、有頂天エイリアンズ(左)は外部にてデザイン
クリエイティブチームの守屋弘貴氏と藤田高志氏は、昨年の活動を回顧して、様々なクリエイティブを制作し、期間限定販売の缶デザインなども手掛ける中で、少しずつ社内の信頼を得られたと説明しました。それにより、単純なデザイン制作の依頼が増えただけでなく、企画の上流から携わる案件も来るようになったといいます。
「社内では、プロジェクトが次々に立ち上がって、各種素材へのニーズが生まれます。そうした現場では、つくれるならつくりたかったというケースが元々多かったのではないかと思います。チームとして働き始めたばかりということもあり、とにかく依頼を受けるようにしていたら、結果として案件がかなりの数になったのですが、会社や製品のイメージをちゃんとお客様に伝えるという点において、件数が増えた意義はあると思っています。これほど多くの案件をこなすことができたのは、アドビ製品の操作性もありますが、Adobe Stock の素材を制限なく使える環境も大きかったと思います」
クリエイティブチーム 守屋 弘貴氏(右)、藤田 高志氏(左)
SNS 投稿が後押しした Creative Cloud Pro エディション導入
ヤッホーブルーイングは、2021 年から Adobe Creative Cloud グループ版 Pro エディションを採用しています。Adobe Stock の素材を無制限に使えるプランが登場したと紹介されて、文字通り飛びついたと、自社 EC サイト運営ユニット 並木典子氏は当時を振り返りました。その背景にあったのは、SNS 投稿への取り組みでした。
「その頃に所属していた編集部(消費者向けにオウンドメディアや SNS を運営するユニット)が SNS で発信を始めました。そのために、短期間でたくさん画像を制作しなければならなくなって、一つひとつゆっくり時間をかけてつくれないですし、とにかくストック素材を大量に使うようになったんです。でも、使いたい素材を探したり、権利を確認したり、無料で使える数に上限があったりと、素材を入手するだけで時間も手間もかかっていました。そんな時に Adobe Stock を教えてもらって見てみたら、使いたい素材がいっぱいあって、権利も担保されていて。それが使い放題のプランが出たと聞いて、ぜひ利用したいとお願いしました」
自社 EC サイト運営ユニット 並木 典子氏(右)、情報システムユニット 太田 一馬氏(中)、情報システムユニット 倉持 祥子氏(左)
編集部には、自分の手でつくれるものはつくりたいという人が元々多かったこともあり、Pro エディション導入後は、部内の皆が素材を欲しいだけすぐ入手できるスピード感を享受しつつ、画像をあれこれ使っては、試行錯誤しながら案を練るようになっていたそうです。
導入を担当していた情報システムユニット 倉持祥子氏は、それまで利用していたプランよりも金額が上がったことから、導入効果を検証する必要があると考えて、実際にどのくらい Adobe Stock が使われていたのかプラン更新のタイミングで調査したそうです。「その結果、コストに見合う十分な利用が確認されました。それより、もう業務に無くてはならないものになっていたんです。都度ストック素材を購買するフローだったら、これだけの数のクリエイティブはつくれていなかっただろうなと思いました」
図工室が制作した SNS 用クリエイティブ 提供: ヤッホーブルーイング
使い放題の Adobe Stock でコンプライアンスを守る
社員が働く環境を整備する立場から、情報システムユニット 太田一馬氏は、Adobe Stock 素材を無制限に使えるプランには、コンプライアンス面におけるメリットもあると考えています。
「クリエイティブのニーズがあれば、手を挙げた人がその場で動ける勢いの良さは、弊社の強みだと思います。例えば、営業担当者が得意先のニーズに合わせて現場でポップを制作するといった場合です。その際に通常の購買フローを回していたら、原価がかかるとか、フローの時間が惜しいという理由で、もしかするとネットで検索して見つけた画像をそのまま使うといった事態が起きるかもしれません。出どころがわからないものを会社として出すのは信用に関わります。そう考えると、社員が臨機応変に動けるようにしつつも、コンプライアンス維持のコストを必要最小限にするという観点から、Adobe Stock 素材を制限無く使える今の環境は最適だと思っています」
店頭用に制作された有頂天エイリアンズの販促用紙什器
さらに太田氏は、同社にとって、ブランドイメージが最も価値ある経営資源であると指摘しました。
「営業やマーケティングは、ブランド価値の創造と拡大にとにかく注力して欲しいんです。弊社は資本力で競争しても大手企業には太刀打ちできません。ですから、築き上げたブランドイメージを価値に転換していくことがとても重要になりますし、ブランドイメージの維持も大切な仕事です。足をすくわれないよう権利が整備された環境の中で、自由闊達に仕事をしてもらえるアドビのプランの存在は、やはり安心材料になっています」
図工室が制作したポップ・ポスター等の販促物 提供: ヤッホーブルーイング
Adobe Firefly で足りない素材を補完
同社では、商用利用可能な生成 AI の Adobe Firefly も、素材を入手するための手段として使われ始めています。現時点では、安全性や有用性を検証し、社外のクリエイターの著作物が関連しないユースケースに限定した上で、図工室が実務に使用しています。
最初の例は人物イラストの生成です。手に持つスマートフォンで写真を撮る姿勢のイラスト素材が見つからなかったため生成したもので、ポーズを指定するための写真と Adobe Stock で見つけた線画イラストを、それぞれ Firefly の構成参照とスタイル参照に指定したところ、イメージ通りのものができたそうです。このように、欲しいビジュアルのイメージを具体的に指示できるのは、Firefly の便利な点です。
Firefly で人物イラストを生成 提供: ヤッホーブルーイング
次の例は「有頂天エイリアンズ」発売時のティザーに使われた UFO 画像の生成です。缶パッケージに描かれている UFO に近い雰囲気の画像が見当たらなかったため、Adobe Illustrator で作成した形状を Firefly に参照させて、墜落した UFO の画像を生成しました。故障による煙と、這い出そうとしているエイリアンは、後から Adobe Photoshop で加えたものです。
3D イラストから Firefly で UFO 画像を生成 提供: ヤッホーブルーイング
デザイン案を出すためにも Firefly は使用されています。銀河高原ビールのポスターをつくる仕事が来た時に、時間が限られていたこともあって Firefly に参照画像を与えて生成させてみたところ、良い案がいくつも生成されたそうです。その後 Photoshop で色や細部を調整して、ブラッシュアップが行われました。
Firefly でポスター案を生成 提供: ヤッホーブルーイング
よなよなエールの缶裏デザインがビールについて解説する長文にリニューアルされた際、書き切れない内容は、缶にプリントされた QR コードからリンクされているサイトに展開されました。その中で使われた、液体と泡の理想の比率「9:1」を表現するための、髪を「9:1」に分けた男性の画像も Firefly で生成されました。この髪型はストック素材には見つからなかったそうです。手元のグラスとビールは Photoshop で合成されました。
Firefly で人物画像を生成(男性の画像以外は外部にて制作) 提供: ヤッホーブルーイング
守屋氏は、依頼された案件のためだけでなく、個人的にも Firefly を使って様々な表現の可能性を追求していると話しました。「Firefly が楽しくなってしまって、いろいろと試しています。素材生成以外でも Firefly は便利です。Photoshop で背景画像の足りない部分を拡張するとか、不要なものを消すなど、アドビのデザインツールが提供する Firefly 機能は、図工室に限らず社内の大勢が活用しています」