PDFを活⽤した⽂書業務改⾰〜成功事例と実践ヒントを⼀挙公開!
「生産性を上げたい」けど、「セキュリティとコンプライアンス」も大事にしたい、といったビジネス現場で語られる課題に対して、企業はさまざまな角度から改善に取り組んできました。ただ、ビジネスプロセスの中心にあるドキュメントに目を向けることが、課題解決のきっかけの一つであることはあまり知られていません。
本記事では、ビジネスドキュメントの標準フォーマットであるPDFを中心に、文書業務改革の事例を数多く取り上げ、自社で適用するヒントを紹介します。本記事の内容を詳しく説明しているウェビナーのオンデマンドはこちら。
1,デジタル化による待ったなしの文書業務改革
いまだ手作業が多く残る文書プロセスを自動化させることで生産性を上げられると回答したビジネスリーダーは実に78%にのぼりました。一方で、一般に公開されているPDFの92%は編集可能であるというリスクがあり、20%以上の企業が文書プロセスの結果によりビジネスチャンスを失ったと回答する調査結果もあります。また、ドキュメントに対するアクセシビリティの欠如は訴訟リスクを内包するなど、PDFを取り巻く現状には多くの課題があります。これらはデジタル化によるビジネススピードが増す中、膨大なドキュメントに対しての対応が追い付いていないことも示しています。

2,PDFはいつでもどこでも同じ表示が絶対条件
PDFはデバイス、OS、ソフトウェアのバージョンに関係なく、まったく同じように表示されることを目指したフォーマットです。契約書やキャンペーン条件が書かれたフライヤーなど、間違いが許されない文書や制作物で利用されるのはこのためです。どんな環境下でも全く同じ情報を届けることが絶対条件です。この絶対条件のためには、国際標準規格に準拠したPDFと、それを作成するAcrobat、そのPDFの閲覧を保証するAcrobat Reader、この3つがそろってはじめて環境が整います。
Acrobat以外のツールで作成したPDFも、多くの場合はAcrobat Readerで開いて閲覧できますが、フォントやレイアウトが崩れたり、3Dレイヤーが反映されなかったり、動画が再生できなかったりすることがあります。大切な文書であるほど、ほぼすべてのビジネスマンが使うReaderでの表示が保証されたAcrobatでPDFを作成することが、リスクを低減させる方法です。
ただ、紙を使っている業務が多くて困っているといった声や、一部で紙をデジタル化しているが一部ではデジタル化できていないため、文書業務が煩雑になってしまっているといった声は数多いです。以下で紹介する多くの事例をもとに、自社でどのように活用できるかを考えるヒントにしてみてください。
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3,企業が抱える3つの代表的な課題と解決事例
企業が抱えるドキュメントに関する課題には代表的な3つがあります。1つ目の課題は書類確認プロセスに時間がかかっているケースです。この課題には、コメント機能と共同編集によって状況を変えることができます。2つ目は紙書類の保管コストです。AdobeはPDFの生みの親です。紙の書類を、信頼性の高いエンジンによって変換したPDFにすることで、文書を電子化することが可能です。3つ目は契約手続きの遅延です。Acrobatを使って電子サインで契約手続きをスピードアップすることが可能です。また、さらなる文書業務の改善に取り組んでいる事例もあります。企業が実際にどのように取り組んできたのかを見てみましょう。

カタログやチラシのレビュープロセス改善(モノタロウ)
株式会社MonotaROは、カタログやチラシのレビューを紙からPDFに移行しました。 これにより、共同編集が可能となり、レビューのスピードが向上しました。 また、紙や印刷にかかるコストを削減し、コメントのやり取りが見える化されることで、チーム内のコミュニケーションが活性化しました。詳細はこちら。
保管スペースの削減と承認業務の時短(加賀ソルネット)
コンピュータ・システムの導入及び機器・ソフトウェアの販売をおこなう加賀ソルネット株式会社は、紙の業務フローをデジタル化しました。 これにより、保管スペースの削減とテレワーク対応が可能になり、承認業務の時間も短縮されました。 さらに、PDFの改ざん防止やパスワード設定により、セキュリティレベルも向上しました。詳細はこちら。
紙のレビューやとりまとめの効率化(電通デジタル)
株式会社電通デジタルもまた、PDFを活用して紙のレビューやとりまとめを大幅に効率化しました。同社では異なるステークホルダーがそれぞれのファイル形式で資料をまとめるため、そのとりまとめに時間がかかっていました。さらに紙資料のレビューに対する指摘は、ステークホルダーが増えるほど指摘内容の重複が発生し、電話による確認といったことも発生していたと言います。Acrobatの共有レビュー機能を使うことで、複数のドキュメントを、形式を変えずに自動とりまとめを可能にし、スピードが求められる広告業界における時短を実現しました。また、請求書の電子化と電子サインによるリモートワークの実現も達成しています。詳細はこちら。
制作プロセスのアナログをデジタルに(ハッシュ)
広告代理店としてクリエイティブ制作物の多い株式会社ハッシュでは、制作プロセスのコミュニケーションの障壁を取り除くことに成功しました。編集作業における手書き文字の読みにくさや修正指示漏れなど、アナログな手順に起因する問題を、文書の電子化と、Acrobatを使ったコメント機能・共同編集で解決。特にマルチデバイスでの閲覧といった、外出先での作業を可能にしたことが大きかったといいます。これにより、編集作業時間を40%削減し、業務効率が大幅に向上しました。詳細はこちら。
採用関連の文書の電子化(ウェインズトヨタ神奈川)
文書業務のデジタル化は、オフラインが必須であった採用業務にも改革をもたらしています。ウェインズトヨタ神奈川株式会社では、テレワーク環境でも採用業務が可能になっただけでなく、電子化によって採用に関する書類改修までのリードタイムを10日から4日にまで短縮しています。また、電子化されることで紙ではできない、入力項目の必須化ができるため、記入漏れを減らすことができ、結果的に修正作業コストも低減できました。詳細はこちら。
承認・決裁の電子契約化(オークウッド)
オークウッドは、契約手続きの煩雑化、文書業務遅延の課題を解決しました。なお、活用されているAcrobatの電子契約機能は、日本国内に限らず、各国の法令やセキュリティ基準に準拠した電子サインを活用でき、多言語にも対応している点が評価されました。承認や決済のプロセスを電子化することで、大幅な効率化を実現するだけでなく、顧客の個人情報が含まれる書類のやりとりや保管におけるセキュリティを向上させました。詳細はこちら。
住宅ローン契約のペーパーレス化(ソニー銀行)
ソニー銀行株式会社でも契約業務の大幅な時短を実現しています。同社では住宅ローン契約をペーパーレス化し、2~3週間要していた契約業務が最短1時間程度でできるようになりました。電子化することで紙の契約書では必要であった実印や印鑑証明、印紙税が不要になりました。これによるコスト削減の効果も生まれています。さらに時間短縮によって処理できる契約数が増え、結果的にビジネスチャンスを失うリスクも減るという効果もあります。詳細はこちら。
不動産関連業務における契約書業務の電子化(アットホーム)
不動産業界では、顧客が法人・個人のどちらにおいても必ず契約書業務が発生します。アットホーム株式会社は契約書の90%以上を電子契約にすることで工数削減・リモートワーク対応・柔軟なワークフロー構築を実現しました。同社では電子契約の導入によって契約書の郵送作業は不要となって郵送コストが削減され、同時に保管スペースも削減しています。契約書の電子化は、実は顧客の手間や時間を削減することもできます。たとえば、契約書の入力フォームを指定し、顧客名前を入れるだけで契約書が完成するといった流れも可能で、押印すらも不要となります。詳細はこちら。
販売店との融資契約に電子サインを導入(トヨタファイナンス)
トヨタファイナンス株式会社は販売店との融資契約を電子化しています。同社での融資契約は、紙やFAXでのやり取りが中心でした。この部分を電子化することで、融資契約受付の全工程で毎月33時間の工数削減を実現。電子化で収入印紙や郵送費もカットできています。詳細はこちら。
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4,より高度な文書業務改革
PDFを活用した文書業務変革は、Acrobatの従来型機能や電子サイン機能を使った効率化・工数削減にとどまりません。Acrobat Services APIを使ったドキュメントをさらに活用したケースがあります。
グローバル展開を踏まえた文書業務改革(JX金属)
JX株式会社は、海外とのやり取りを想定し、国際規格に準拠したPDFソフトで取引先が求めるセキュリティ水準に統一するために、Acrobatを活用しています。サプライチェーンリスクを回避しつつ、多言語対応の編集ツールを活用することで、事業のグローバル化を想定した文書プロセスの変革を実施しました。PDF内の文字化けといった、PDFソフトウェアに関する問い合わせがなくなり、安定した運用を続けています。詳細はこちら。
テキストを自動抽出するスピードと精度を向上(三菱UFJ トラスト投資工学研究所)
アドビはAcrobatだけでなく、ワークフローに組み込んで使えるAPIを提供しています。株式会社 三菱UFJトラスト投資工学研究所では、その一つであるPDF Extract APIにより、PDF内のテキストを自動抽出するスピードと精度を向上させました。各社の決算報告書、統合報告書などのPDFを、データの文章構造を保持したままテキストデータに抽出したり、事前のOCRで制度の高い文書を抽出したりと、データ整形に要する時間を大幅に削減したのです。その結果、本来アナリストが重視すべき新しいインサイトの獲得といった創造的な業務に時間を割くことができるようになったといいます。APIの活用にあたっては、ノーコード、ローコードで利用することができ、日々の文書関連のルーティン業務を自動化したら、省人化できるようになります。一つ一つの文書業務の改善はAcrobatで実現しつつ、ワークフローそのものを変革するAPIの活用による企業の文書業務改革は、組織に大きな価値をもたらすものとなるでしょう。詳細はこちら。
行政文書を電子化(官公庁・某地方自治体)
行政機関では、長期間文書を保管しなければなりません。外部に情報発信する際には情報漏洩や改ざん対策も必要です。行政機関がアドビを選ぶ決め手の一つは、PDFの国際規格であるISO3200-1に準拠したPDFを作成できる点です。また、誰でも閲覧できるような配慮として、Acrobatが広く普及しているAcrobat Readerと完全互換性を担保している点も重要です。さらに、地方自治体の総合行政ネットワークであるLGWANで対応や、官公庁のみに提供しているオフラインのライセンスも提供している点もあります。
某自治体の事例においては、3つの用途がありました。
1つ目は、行政文書の開示請求への対応です。開示請求を受けた行政文書を請求者へ提供する際に、機密情報や個人情報を墨消し機能でマスキングする必要があります。ただ、PDF上の文字を黒で塗りつぶしたただけでは、コピー&ペースト等で文字を認識されてしまうため、確実に消したい文字を消すことはできていません。Acrobatの墨消し機能は文書の構造レベルで指定した文字を消去できるため、自治体では安心して墨消し機能を利用しています。
2つ目は、各種申請書類の電子化と編集です。住民や企業から申請される各種申請書類は紙やPDFデータで提供されることが多く、紙のデータのPDF化やPDFデータの編集に活用されています。その結果、住民や企業から申請される書類の手戻りが減り、業務改善につながっています。
3つ目は安全な閲覧への配慮です。外部発信したPDFファイルのデータサイズが時に大きくなるものがあります。Acrobatでファイルサイズを圧縮したり、読みやすいようにしおりをつけたり、アクセシビリティに対応したタグを設定し読み上げに対応したりしています。あわせてメタデータの削除や、編集・コピーの制限をかける等、官公庁が実施すべきセキュリティを考慮した利用がされています。
Acrobat並びにAPIに関する事例はこちらからまとめて検索・閲覧いただけます。

このように、文書業務改革においては、まずはPDFを使ったドキュメントの標準化、そして活用のプラットフォームの統一化を経てプロセスの標準化が達成できます。
Acrobatに新しい生成AIの機能が搭載
さらに、PDFを「開く・活用する」だけでなく、ドキュメント内のデータを抽出して「分析・活用する」ことで、新たな知見の獲得もできるようになりました。情報量の多いPDF、「読むの面倒・・・」と負担に感じてしまうことありませんか?Adobe Acrobatがあれば、AIが重要な情報をパっと要約! 分析や内容に関する質問まで、AcrobatのAIアシスタントが強力にサポートします。
https://www.youtube.com/watch?v=iFseLCxXqpk
2025年2月に日本語版が提供開始されたAcrobat AIアシスタントはこの点で大きな力を発揮します。AIアシスタントについての詳細はこちらからご覧ください。

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