アドビ、「Acrobat AIアシスタント」の契約インテリジェンスを強化し、契約書理解をより簡単に~契約書類などの取り扱いに関する調査結果も発表、半数以上が複雑な文書の理解に課題~
アドビ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:中井陽子、以下 アドビ)はAdobe Acrobatの生成AI機能「Acrobat AIアシスタント」の契約インテリジェンスを強化したことを発表します。これによりユーザーは、より簡単に契約書などの複雑な文書の内容を理解したり、複数文書の比較などを行うことができます。Acrobat AIアシスタントの主な特徴は以下の通りです。
- 契約インテリジェンスの強化: Acrobat AIアシスタントが、スキャンされた文書も含め、自動的に契約書を認識したうえで契約の概要を生成します。さらに、ワンクリックで重要な条項を抽出し、複雑な文書に特化した質問を推奨します。
- 回答の引用元を表示: Acrobat AIアシスタントが生成する要約や回答には引用元が表示されるため、回答の正確性を確認しながら安心して利用いただけます。
- 文書の比較や照合: 最大10件の契約書などの文書(スキャン文書も含む)を比較し、バージョン間の違いを迅速に確認したり、内容の整合性を把握し、相違点を見つけることができます。
契約書類などの取り扱いに関する調査結果について
またアドビは、一般消費者1,007人および、中小企業経営者250人を対象に、「契約や税務関連書類の取り扱いに関する調査」を実施しました。本調査は、ビジネスの場や日常生活において頻繁に取り交わされている契約や合意書、および税務関連の複雑な文書の取り扱いにおける課題を探るために実施されたものです。
今回の調査で明らかになった主な結果は以下の通りです。
- 消費者の 半数以上(52%)は契約書の内容を正確に理解せずに、契約を結んだ経験 がある
- 消費者の 約7割(69%)が、 契約書を十分に読まずに署名する理由として 「契約書が長すぎる」 と回答
- 消費者の 半数以上(55%)が契約書に署名した後で、その内容に驚いた経験がある と回答
- 消費者の 約8割(82%)が、契約の際にAIの支援を受けることで契約内容の理解に自信が持てる と回答
- 中小企業経営者の 約半数が税の申告準備における「複雑な税法や規則の理解」、「紙の書類の整理」が非常に困難 と感じている
- 中小企業経営者の わずか6%が「税の申告準備にAIを活用したことがある」 と回答
- 中小企業経営者の 半数以上が 税の申告準備に AIを使用する際、「データの正確性やセキュリティ」を懸念
AIを活用して複雑な文書を理解する未来
本調査の結果、一般消費者の半数以上が契約書の長さや複雑さが障壁となって、内容を十分に理解しないまま契約を結んでいることが明らかになりました。さらに、契約後に予期せぬ内容に驚いた経験があると半数以上が回答する一方で、消費者の約8割が「AIのサポートが契約理解に役立つ」と期待していることが分かりました。また、中小企業経営者においては、税務準備が大きな負担となり、複雑なルールの理解や情報整理に苦労している実態が浮き彫りになりました。「税の申告準備にAIを活用したことがある」との回答はわずか6%に留まり、AI活用における「データの正確性やセキュリティ」に対する懸念が導入の障壁として挙げられました。
契約インテリジェンスにより強化された生成AI機能「Acrobat AIアシスタント」を活用することで、ユーザーは契約書などの複雑な文書の中から必要な情報を迅速に把握できるようになります。文書から抽出された情報は、クリック可能な引用元とともに提示されるため、回答の情報ソースを確認しながら検証して利用することができます。またこれらの機能は、アドビのAI倫理プロセスに準拠して開発されており、安心して利用できるようガードレールを設けています。
AIの力を活用することで、複雑な文書を処理するプロセスが簡潔で透明性の高いものとなり、一般消費者や企業は従来のストレスの要因であった契約や経理業務における課題を解消し、新たな価値を創出する機会へと変えることができます。
一般消費者、中小企業経営者に対して実施した調査結果の詳細は以下の通りです。
一般消費者に対する調査結果:
一般消費者の半数以上(52%)は、「契約書の内容を正確に理解することなく、契約を結んだ経験がある」と回答
契約書の内容を正確に理解せずに、契約書や合意書に署名・同意したことがあるか聞いたところ、全体の52%が「はい」と回答し、約半数が契約の詳細を把握せず、契約を締結した経験があることが分かりました。
一般消費者の約7割(69%)が、契約書を十分に読まずに署名する理由として「契約書が長すぎる」と回答
契約書を十分に読まずに署名する主な理由を聞いたところ、「長すぎる(69%)」が最も多く、次いで「複雑すぎる(26%)」、「読みたくない(4%)」、「リスクを気にしない(1%)」という理由が挙げられました。
一般消費者の半数以上(55%)が「契約書に署名した後で、その内容に驚いた経験がある」と回答
契約書に署名した後、その内容に驚いたことがあるか聞いたところ、半数以上が「はい(55%)」と回答するなど、契約の内容を十分に理解せずに署名したことで、予期せぬ結果を招くといったリスクが潜んでいることが明らかになりました。
一般消費者の約8割(82%)が、契約の際に「AIの支援を受けることで契約内容の理解に自信が持てる」と回答
AIアシスタントが文書の理解、要約、比較、対比、安全な確認を支援することで、契約内容の理解に自信が持てるようになるか聞いたところ、全体の8割以上が「はい(82%)」と回答しました。
中小企業経営者に対する調査結果:
調査の結果、中小企業経営者が過去1年間に最も頻繁に署名した文書は税務関連の書類であることが明らかになりました。主な調査結果の詳細は以下の通りです。
中小企業経営者の約半数が、税の申告準備における「複雑な税法や規則の理解」、「紙の書類の整理」を困難と回答
確定申告などの税の申告準備で最も困難な点を聞いたところ、「複雑な税法や規則の理解(55%)」が最も多く、次いで「大量の紙の書類の整理(48%)」、「専門家への税務関連書類のまとめ(36%)」が続きました。
中小企業経営者のわずか6%が「税の申告準備にAIを活用したことがある」と回答
確定申告などの税の申告準備にAIを使用したことがあるか聞いたところ、「はい」と回答したのはわずか6%に留まることが分かりました。
中小企業経営者の半数以上が、確定申告などの税の申告準備にAIを使用する際に「データの正確性やセキュリティ」を懸念
税の申告準備のためにAIを使用することに関して、どのような懸念があるか聞いたところ、最も多く挙げられたのが「正確性と信頼性(62%)」、次いで「データのセキュリティとプライバシー(50%)」、「AIの正しい使い方がわからない(29%)」という結果になりました。
「契約や税務関連書類の取り扱いに関する調査」 概要
調査方法:インターネット調査
実施対象: 1,257人(一般消費者1,007人および、中小企業経営者250人)
調査期間:2025年1月6日~2025年1月12日