ライターが検証!Adobe Acrobat の AI アシスタントは企画書作りの相棒になりうるのか!?
皆さんこんにちは、ライターのヤマダユウス型です。
近頃は様々な業種で AI が話題ですが、 Adobe Acrobat にも「 AI アシスタント」が搭載されているのはご存知でしたか?
この機能を使えば、 Acrobat で開いている文書ファイルの内容を要約してくれたり、文書の内容についてチャット形式で質問ができたりと、文字通りアシスタントのように利用できるんです。例えば「この文書はどういう内容なの?」と質問すれば「はい、この文書の内容は◯◯に関するもので…」というように、自分の代わりに文書を確認してくれるわけです。
こうした機能を活かせば、資料の理解や情報整理がぐっとスムーズになるので、実は 企画書の作成 にも大いに役立ちます。テーマが少し専門的だったり、情報量が多かったりするときはもちろん、企画内容について誰かに相談したい、いわば“壁打ち相手”がほしいときにも、 AI アシスタントはとても心強い存在になります。
そこで今回は、試しにこの AI アシスタントを使って「 SDGs に関する企画書」を作成してみようと思います。僕は SDGs の専門家ではありませんが、こんなときこそ AI アシスタントの出番。要約や質問を駆使して、立派な企画書を作り上げていきましょう!
複数の文書ファイルを、 AI アシスタントで要約
企画書作成にあたって、最初にするべきことは資料集め。 SDGs に関する参考資料を集めたいところですが、正直、かなり膨大な数の資料が必要です。 SDGs は複雑な概念ですからね。
従来であれば企画書作成者が膨大な資料を読み込んで、重要そうな部分を自分なりにまとめていく必要がありました。この工程を、今回は AI アシスタントにお願いしてみようと思います。
AI アシスタント機能は、ツールバー右上の「 AI アシスタント」から起動できます。起動すると解析がスタート。
解析後は右側のチャット欄から要約の依頼や、質問などが可能です。ちなみに、 AI アシスタントが読み込んだデータは暗号化され、最大12時間で自動的にキャッシュは削除されるようなので、セキュリティ面が心配な方も安心して使えますね。
AI アシスタント機能の画面上部にある「+」をクリックすると、さらに別のファイルを追加して解析させることもできます。
今回は、多面的な視点から企画を検討できるよう、SDGs に関連する6つの PDF 文書を AI アシスタントに読み込ませ、横断的に情報を解析させてみたいと思います。複数の資料から情報を蓄積できるのは、 AI アシスタントの大きな強みのひとつです。
また、 AI アシスタントはあくまで Acrobat にアップロードされた文書内の情報のみを参照し、外部の Web サイトやメール、その他のソースは参照しないようになっているそうです。なので、ハルシネーション(事実と異なる生成)が起きにくいという特徴もありますね。
数分して、すべての文書の解析が終了しました。うち1つは解析できなかったみたいですが、 PDF が画像化されていたりするとうまく解析できないこともあるみたいです。また執筆時点ではグラフや図などの情報を理解することはできないとのこと。これからの学習に期待ですね。
解析後は「これらの文書の結論や所見を要約してください」など、チャット欄に複数の質問が提案されるので、この中から「まとめると、これらの文書の最も重要なポイントは何ですか?」を選んでみました。さて、どんな答えが返ってくるでしょうか?
回答をみると、「SDGsの概要と理念」「日本のSDGsへの取り組み」といった要点を箇条書きでまとめてくれた上、「SDGs未来都市」といった重要そうなキーワードもしっかり拾ってくれていました。
AI アシスタントのおかげで僕もSDGs への理解が深まったので、ここからは具体的な企画作成にシフトしていきます。さきほどの未来都市という概念は地方創生といった具体例とも紐づけやすそうですし、「 SDGs 未来都市に関する企画を提案して」と質問してみました。
すると、早速SDGs 未来都市をテーマとした企画内容を提案してくれました。1つの文書からではなく、しっかり複数の文書を横断した回答になっていますね! さっそくこの内容を Word でまとめて、企画書らしい体裁に整えていきましょう。ちなみに Word へは簡単に該当箇所をコピー&ペーストで移行できますよ。
完成した企画書の壁打ちにも AI アシスタントは活用できる!
実際に Word で作成した企画書がこちら。 AI アシスタントの返答をベースに加筆修正をしましたが、この企画書の内容をこれからさらにブラッシュアップしていきましょう。もちろん、 AI アシスタントを使って!
さきほどの企画書を Acrobat にアップロードし、「この企画書のブラッシュアップをしたいと考えています。どのような部分を修正するべきですか?」と質問。すると、目的の具体化、企画内容の詳細化などを改善点として挙げてくれました。なるほど、確かに現状の内容では具体性に欠けているかも。
AI アシスタントは誤字・脱字などの表面的なチェックだけではなく、文章全体の流れや論理の組み立て方といった、より深い構造的な視点からのフィードバックも行ってくれるようですね。
そこで、「本企画の目的」に具体的な目標や達成期限などを追記した企画書を、再び AI アシスタントに読み込ませて同様の質問をしてみました。「課題例を詳細に記載することで企画の焦点が明確になります」と言われましたが、企画書が長くなってしまうのも避けたいので、この指摘はスルーで。
それよりも、現状で伝わりにくい部分や意味が重なっている部分がないか、そちらの方が気になったので再度「企画書内で、冗長な部分や伝わりにくい部分はないか?」と質問をしてみました。
「目的の記述の簡潔化」や「進捗管理方法の曖昧さ」を指摘されましたが、その中でも特に一部の言い回しを修正すると読みやすさを向上させられそうですね。もちろん AI アシスタントなら、完成した企画書の言い回しチェックや誤字・脱字の最終確認にも使えます。こうした壁打ちを繰り返せば、最初よりも深みのある企画書が作成できそうです!
頼もしい相棒と一緒なら、業務がもっとはかどるかも!?
今回は「企画書の作成」という、どうしても抽象的になりがちなテーマで AI アシスタントを活用したこともあり、 AI アシスタントからは「具体性に欠けますよ!」と繰り返し言われてしまいました。でも、指摘されることで「ここはフワッとしすぎていたかも」など、自分でも見直すきっかけになりました。
また、対話形式でやり取りができるため、「理論的な説明をしたい」だったり、「難解な言い回しは減らしたい」「数字で明示したい」など、作成者の意図した方向にもっていけるのも本機能の強みだと感じました。使いこなすには質問の仕方=“問う力”が試されるところもありますが、それも本機能の面白さとも言えるでしょう。
もしどう質問していいか困ったときは、Adobe Acrobat の AI 活用ガイドページが参考になります。様々な場面で使える質問・コマンド集が紹介されているので、 AI アシスタントからすばやく適切な回答を得るのに役立ちますよ!
ただし、つい「 AI =なんでもやってくれる万能の存在」と思いがちですが、本機能はあくまで私たちの“アシスタント”。文書作成や理解のプロセスをサポートし、考えを深めたり整理したりする土台をつくってくれる存在です。
つまり、主役はあくまで私たち人間。 AI をどう使い、どんな問いを立てるかによって、その力を最大限に引き出すことができるかが決まるでしょう。
その一歩として、まずは気軽に Acrobat の AI アシスタントに質問してみてはいかがでしょうか。あなたの問いかけが、きっと新たなアイデアや業務の効率化につながるはずですよ。