Photoshop「画像を生成」の「コンポジション」機能で欲しい素材を生成する:現場で役立つ Adobe Firefly 第 10 回

本連載では、デザインの現場ですぐに役立つ Adobe Firefly の活用術をお届けします。第 10 回は、Adobe Photoshop のコンポジション機能により「構図を指定して、合成に使う素材を生成する」方法のご紹介です。

※ この記事の内容は、5 月 21 日(水)に配信された「Adobe Firefly の達人に学ぼう!実践的な生成 AI の活用方法 - May 2025」で、タマケンが紹介した内容に基づいています。当日の動画は以下からご覧になれます。(24分15秒あたりから)

動画内で使用しているサンプル(ZIP: 20.6MB)はこちらからダウンロードできます。(個人学習以外の目的での利用はご遠慮ください)

Photoshop「画像を生成」の「コンポジション」機能とは

Adobe Photoshop の「画像を生成」を使うと、Photoshop を離れることなく、テキストから画像を生成できます。さらに、「コンポジション」機能を利用すれば、欲しい構図の画像を生成できます。

たとえば、下の例のように、木のシルエットの画像を参照画像として読み込んで、その構図のままの風景を生成できます。

合成する素材を生成する手順

今回欲しい素材は、ソフトクリームを渦状に囲む溶けたチョコレートです。

そこで、下の画像の左側のラフ画像を構図の指定に使用して、右側の溶けたチョコレートの素材を生成します。

  1. 背景の上に、切り抜いたソフトクリームの画像が置かれている状態から始めます。

  1. ソフトクリームと背景レイヤーの間に、新規レイヤーを作成します。
  2. ブラシツールの硬さを 100% にしてラフを描きます。ここではチョコレートを想像しやすいように茶色を使用していますが、分かりやすい色であれば何でも構いません。

  1. ソフトクリームを非表示にして、描いたラフを Jpeg ファイルとして書き出します。
  2. ラフのレイヤーを非表示にします。
  3. ツールバーの右下のアイコンをクリックして、「画像を生成」の画面を開きます。

  1. プロンプトに「溶けたチョコレートのスプラッシュ、螺旋、白い背景」を入力し、コンテンツの種類に「写真」を選択します。
  2. 「コンポジション」のボタンを押して、4 で保存した画像をアップロードします。
  3. 「強さ」のスライダーを真ん中にします。強くするほど参照画像の形に近いものが生成されます。

  1. この状態で「生成 」のボタンを押します。
  2. 生成された出力が、新規レイヤーに表示されます。3 つの生成画像から選べます。

溶けたチョコレートの素材は Adobe Stock で探すこともできますが、使いたい形の素材を探すのは時間がかかりがちですし、そもそも、イメージしている素材が見つからない可能性もあります。ここまで紹介してきたように、「コンポジション」を利用すれば、欲しい構図の素材を手軽に入手できます。

生成した素材をデザインに活用する

それではいよいよ、生成したチョコレートの素材を、最初に用意しておいたソフトクリームの画像と合成します。

  1. まず、生成された状態を残しておくために、生成画像のレイヤーを複製して、片方を非表示にします。
  2. もう片方のレイヤーは、「レイヤーをラスタライズ」を使用してデータを軽くします。
  3. この状態で、コンテキストタスクバーから「背景を削除」を使用して、チョコレートを切り抜きます。
  4. オブジェクト選択ツール等を使用して、ソフトクリームの手前に表示したい領域を、チョコレートから選択します。

  1. 選択した範囲を新規レイヤーに複製します。(Mac: Cmd+J、Win: Ctrl+J)
  2. ソフトクリームを表示します。
  3. 複製したレイヤーを、ソフトクリームのレイヤーの上に移動します。

以上で、動きのある溶けたチョコレートを、ソフトクリームの周りに演出できました。ここから、背景の色を変えたり、テキストを足したりして、デザインに落とし込むことができます。

動画生成素材としての活用

Firefly の動画生成機能は、2 枚の画像からアニメーションを生成できます。片方の画像は動画の最初のフレーム、もう片方は動画の最後のフレームになります。

たとえば、ソフトクリームだけの画像と、生成したチョコレートを合成した画像を使用して、チョコレートが徐々に登場するアニメーションを生成できます。

生成は、Firefly web アプリで行います。上の 2 枚の画像を指定して、プロンプトに「ソフトクリームの周りで飛び散る溶けたチョコレート」と入力し、生成ボタンをクリックします。

これで、2 枚の画像をつなぐアニメーションが生成されます。動画ツールに慣れていない人でも、画像編集のスキルさえあれば、簡単なアニメーションを作成できます。

※ 動画生成はプレミアム機能です。利用するには、Firefly プランの購入が必要です。

頂いた質問への回答

Q. 他にどんな素材が生成できますか?
A. 液体、煙、炎など、形に自由度のある素材は得意です。今回のような抽象的・流動的な形状の素材(液体・煙・炎・光など)は、AI 生成との相性が良く、自然な仕上がりになります。一方で、文字を含む工業製品やコインのような精密で構造が複雑なものは、細部が崩れやすく、意図通りに生成されにくい傾向があります。

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