情報共有の課題を解決する「Notify」を運営するディスカバリーズがAcrobat Services API を活用 ~シームレスなドキュメント体験を実現~
近年、多くの企業で業務のデジタル化が進む一方、社内での情報共有やドキュメント閲覧の不便さを感じる場面はまだまだ多くあります。特に、「ファイル形式がバラバラで閲覧に手間がかかる」「重要なドキュメントをスムーズに共有できない」「共有したにも関わらずきちんと確認してもらえない」などの課題を抱えている組織は少なくありません。
そんな課題を解決するのが、ディスカバリーズ株式会社が提供する情報共有アプリ「Notify」です。この記事では、「Notify」がAdobe Acrobat Services APIをどのように活用して、エンドユーザーと開発者双方に優れた体験を提供しているのか、その具体的な事例をご紹介します。
「Notify」とは?
「Notify」は、組織内での情報共有を効率化するための情報共有アプリです。チームやプロジェクト単位での情報共有をスムーズにし、必要なドキュメントを適切なメンバーに届けることができます。特に、業務で頻繁に使用されるPDFやその他のドキュメントをスムーズに閲覧できる機能が重要視されています。
「Notify」の開発背景とAdobe Acrobat Services APIの導入経緯
情報共有のプラットフォームを開発する上で特に注目したのが、OSやブラウザに依存しない互換性を持つPDFでした。あらゆるファイルを統一フォーマットであるPDFに変換し、共有・閲覧をスムーズに行える環境を構築するために、「Notify」の開発チームは自由自在にファイルをPDF化することと、そのPDFをスムーズに閲覧できる技術を検討し始めました。
そんな折、メンバーの一人が知人から紹介されたのがAdobe Acrobat Services APIです。実装のしやすさやエンドユーザーが直感的に操作できるインターフェース、そしてAI学習にも適したデータ形式を提供できることなど、多機能性と拡張性の高さを高く評価し、ベストな選択肢だという結論に至りました。
実際の導入作業はわずか2週間ほどで完了したとのことです。これにはエンジニアのスキルはもちろん、アドビが提供する実装を支援する開発者向けドキュメントのわかりやすさが大きく寄与しました。ドキュメントが非常に明快で、エンジニアだけでなく非技術者にも簡単に説明できたことが、プロジェクト全体のスムーズな進行につながったとしています。
Adobe Acrobat Services API の活用
「Notify」では、Adobe Acrobat Services API のうち、PDF Embed API とPDF Services API を活用し、エンドユーザーに対してシームレスなドキュメント閲覧体験を提供しています。
1. PDF Embed API によるドキュメント表示
ユーザーが「Notify」で共有されたドキュメントを開く際には、アドビのPDF Embed APIを利用することで、ブラウザ内でスムーズにPDFが表示されます。アドビの高品質なビューアを活用するため、拡大縮小や検索、ページ移動などの操作が直感的に行えるのが特徴です。これによりユーザーは他のアプリケーションを立ち上げることなく、ストレスフリーで業務に集中できます。
2. PDF Services API によるファイル変換
エンドユーザーは「Notify」上で、PDF以外のドキュメント形式(例:Word、Excel、PowerPoint など)を共有することもあります。この場合、PDF Services API を利用して「Notify」上で自動的にあらゆるファイルがPDFに変換し、その後、PDF Embed API で表示する仕組みが導入されています。
これにより、エンドユーザーはファイル形式を気にすることなく、統一されたインターフェースでドキュメントを閲覧できます。つまり、異なる形式のドキュメントを個別のアプリケーションで開く必要がなくなり、よりスムーズな情報共有が可能になります。また、情報共有者側も、ファイル形式を気にせず情報共有をすることが可能になります。また、情報共有者が編集可能なファイルを誤って共有してしまい、ファイルが改変されるリスクを防ぎ、安全な情報の一貫性を維持することが可能になりました。
Acrobat Services APIのソリューション群の中にある「PDF Services API」と「PDF Embed API」
「Notify」の導入によるメリット
アドビのAPI の導入により、「Notify」は以下のようなメリットを実現しました。
エンドユーザーにとってのメリット
- シームレスなドキュメント閲覧
- PDF・非PDF問わず、サービス内でスムーズにドキュメントを開ける。
- 高品質なビューアにより、直感的で快適な閲覧体験を実現。
- UI/UX の向上
- 別のアプリを開く手間がなく、業務の効率化につながる。
- 一貫したデザインのビューアで、操作の学習コストを削減。
開発者にとってのメリット
- 開発工数の削減
- PDF Embed API を活用することで、高機能なビューアを簡単に無料で実装可能。
- PDF変換機能をPDF Services API に任せることで、独自の変換ロジックを開発する必要がない。
- 工数の軽減
- ドキュメント処理に関する技術的負担や実装工数が軽減。
- 被技術者にも理解してもらえるようなドキュメントが豊富なため、開発の進行がスムーズに。
導入効果
昨年5月頃から無料範囲での試験運用を開始しました。効果測定をアドビのAPIだけで完全に分離して実施したわけではありませんが、API導入後は情報がエンドユーザーに到達する速度や確実性、業務効率が大幅に向上したと評価しています。
さらに、Adobe Acrobat Services APIの活用により、AI学習に適したナレッジデータ基盤が整備されました。情報の一貫性が維持されることで、AIモデルの学習精度が向上し、ディスカバリーズ株式会社が推進するAIサービスの開発にも大きく貢献しています。
今後のサービス拡充における、APIの利用展望
今後は、AIを活用した新たなプロダクトや、既存の「Notify」の機能拡張において、アドビのAPIのさらなる活用が検討されています。特に、AI学習用データの効率的な管理や、他のプラットフォームとの連携を強化するためのコネクターとしての利用が期待されています。
Adobe VIP Marketplace(MP)による導入のしやすさ
今回Acrobat Services APIが新しいプログラム(VIP Market Place)で提供が開始されたことで、必要な数量分を随時購入できるようになったため、投資対効果を勘案しながら手軽に利用できるようになりました。
まとめ
「Notify」はAdobe Acrobat Services APIの力を最大限に活用し、エンドユーザーの操作性向上と開発者側の負担軽減を同時に実現しました。
ディスカバリーズ株式会社では今後も、AIや他の技術との連携を通じて、さらなるサービス拡充が期待されます。なお、Notifyは2025年5月26日に正式発表されました。AI学習を利用したバーチャルスタッフは2025年4月23日に発表されています。
各ソリューションについて、詳細はこちら。
Notify:https://discoveries.co.jp/products/notify/
バーチャルスタッフ:https://discoveries.co.jp/products/virtualstaff/
Adobe Acrobat Services APIの導入方法や詳細な情報については、アドビ公式サイトでも詳しくご確認いただけます。
アドビ公式サイトのAPI関連リソース:
- Adobe Acrobat Service API 開発者向けページ:
https://developer.adobe.com/document-services/homepage
- Adobe PDF Services APIチュートリアル:
- Adobe Acrobat Services お役立ちリソース
https://experienceleague.adobe.com/ja/browse/document-cloud/acrobat-services