テレワーク・デイにぴったり。PDF のセキュリティ対策と業務効率化に Adobe Acrobat のガイド付きアクション
こんにちは、桑名です。もうすぐ気になる日がやってきます。7 月 24 日の「テレワーク・デイ」、ご存じでしたか? 働き方改革の一環として定められたこの日は、満員電車のストレスから解放されて、自宅やお気に入りの場所で働ける、まさに理想的な 1 日です。
とはいっても、油断は禁物です。その快適さの裏には、情報漏えいや作業効率の低下といったリスクもあります。
そこで今回は、セキュリティ対策と業務効率化の両方に対応できる、Acrobat の「ガイド付きアクション」について紹介します。
■テレワーク環境で意識したい「安全性」と「作業効率」
オフィス外で仕事をするテレワーク環境では、機密情報を第三者に漏らさないための意識がより一層重要になります。ハッキングやサイバー攻撃のような大きなリスクはそう頻繁に起こりませんが、操作ミスによる情報漏えいは、誰にでも起こりうる身近なリスクです。
たとえば、
・社外秘の資料を取引先に共有してしまった
・メールの宛先を間違えて、意図しない相手にファイルを送ってしまった
・子どもがパソコンを触って、送信ボタンを押してしまった
こうした一度のミスでも、信頼関係に悪影響を与える可能性があります。だからこそ、文書の安全性を高める対策が欠かせません。
また、自宅で家族と一緒に過ごしながら仕事をするテレワークでは、「オンライン会議中に生活音が気になる」「子どもが話しかけてきて集中できない」といった場面も多く、仕事とプライベートの切り替えが難しいと感じるケースもあります。
その結果、短時間で終わる作業に倍以上の時間がかかってしまうこともあり、作業効率の低下が大きな問題になります。この状況を改善するためにも、ムダを省き、スムーズに業務を進める仕組みや工夫が必要です。
■セキュリティ対策の基本はパスワード保護
PDF のセキュリティ対策として、まず取り入れたいのが「パスワード保護」です。Acrobat には、パスワード設定を手軽に行える便利な機能がそろっています。
設定方法は複数ありますが、最も手軽なのは「すべてのツール」から「PDF を保護」を選び、「パスワードで保護」で設定する方法です。他にも「パスワードによる暗号化」を選択した場合は、印刷やコピーを制限するか否かの詳細設定ができます。
▲「すべてのツール」→「PDF を保護」からパスワードを設定できる
Acrobat で設定できるパスワードには、閲覧パスワードと権限パスワードの 2 種類があります。
- 閲覧パスワード(PDF を開くときに使用)
閲覧パスワードを設定しておけば、パスワードを知らない人は PDF を開けないため、第三者による閲覧を防げます。たとえば、社外秘の資料をうっかり外部に送ってしまったとしても、パスワードが設定されていれば中身を見られる心配はありません。
▲PDF を開くときのパスワードを設定する
- 権限パスワード(編集や印刷などを制限する際に使用)
権限パスワードは、PDF の内容を編集、印刷、コピーなどができないように制限するためのものです。パスワードを知っている人しか編集できないため、第三者による内容の変更や複製を防ぐことができます。たとえば、印刷が制限された PDF を受け取って、どうしても印刷したい場合は、その制限を解除するためにパスワードが必要になります。
▲PDF を編集、印刷するときのパスワードを設定する
■ガイド付きアクションとは
パスワードによる保護はセキュリティ対策として効果的ですが、その都度手動で設定しなくてはなりません。
そこでおすすめなのが、Acrobat の「ガイド付きアクション」です。パスワードの設定やファイル保存などの処理をまとめて自動で実行できるので、作業を効率化しながらセキュリティ対策もしっかり行えます。プログラミングなどの専門知識は不要です。わかりやすい画面で操作できるので、初心者でも安心して使えます。
ガイド付きアクションを使うには、「すべてのツール」で「さらに表示」をクリックし、「ガイド付きアクションを使用」をクリックします。
▲「すべてのツール」→「さらに表示」→「ガイド付きアクションを使用」をクリック
「アクション」をクリックして、「新規アクション」から使用するコマンドを追加して作成してもよいのですが、はじめから用意されている「重要情報を配布」のアクションを使えば、「重要箇所の墨消し」「パスワード設定」「ファイルサイズの縮小」「ファイルの保存」までの一連の操作をすぐに使うことができます。
▲デフォルトのアクションが用意されている
■デフォルトのアクションを活用してさらに効率的に
はじめから用意されているアクション「重要情報を配布」をそのまま使用するのも 1 つの方法ですが、その場合は毎回パスワードの設定画面が表示されてしまいます。そこで、アクションをコピーしてアレンジして使うのがおすすめです。
「重要情報を配布」にカーソルをあわせて「三点リーダー」ボタンから「コピー」を選択します。
▲「重要情報を配布」の「三点リーダー」ボタン→「コピー」をクリック
アクション名を入力して(ここでは「テレワーク」)、「保存」をクリックします。
作成されたアクションにカーソルをあわせて、「三点リーダー」ボタンを選択してから「編集」をクリックします。
アクションの編集画面が表示され、右側に実行するコマンドが表示されます。今回は「墨消しと削除」は使わないので、「墨消しと削除」を選択して、右端にある「ゴミ箱」をクリックして取り除きます。
▲「墨消しと削除」を選択して、「ゴミ箱」をクリック
次に、パスワードを設定するために「パスワード保護」項目の「暗号化」を選択して「設定を指定」をクリックします。
パスワードの詳細設定画面が表示されるので、「文書を開くときにパスワードが必要」にチェックを付けてパスワードを入力します。権限パスワードも設定する場合は、「文書の印刷および編集を制限。これらの権限設定を変更するにはパスワードが必要」にチェックを付けて、「権限パスワードの変更」ボックスにパスワードを入力します。
この 2 つは同じパスワードにできないため、別々のパスワードを入力してください。設定したら「OK」をクリックします。
▲パスワードを入力して「OK」をクリック
「アクションを編集」ダイアログに戻ったら、「ユーザーに確認」のチェックを外します。そうすることで、アクションの実行中にパスワードの設定画面が非表示になり、設定済みのパスワードが毎回自動で適用されるようになります。
▲「ユーザーに確認」のチェックを外す
ここからは「ファイルサイズを縮小」の設定を追加する方法を紹介します。
PDF のファイルサイズが大きいと、共有する際にメールに添付できなかったり、相手がダウンロードに時間がかかったりなど、不便が生じる場合があります。そのため、ファイルサイズを縮小することも必要です。
まずは、「ファイルサイズ縮小」をクリックしましょう。こちらも自動適用するために「ユーザーに確認」のチェックを外します。
▲「ユーザーに確認」のチェックを外す
パスワード保護とファイルサイズの縮小を行った後に、名前を付けて保存ができます。設定したら「保存」をクリックします。
▲「保存」をクリック
これで、パスワードの設定、ファイルサイズの縮小、保存をセットにしたアクションを作成しました。
画面左のパネルに戻り、作成したアクションを選択して「開始」ボタンをクリックすると、一気に保存まで進めます。
▲「開始」をクリック
■アクションをツールバーに登録してワンクリックで実行
作成したアクションは、ツールバーに登録しておくことで、ワンクリックで簡単に実行できます。毎回メニューの中から探さなくて済むので、時間短縮ができて非常に便利です。
登録するには、ツールバーの「三点リーダー」ボタンをクリックします。「ツールバーをカスタマイズ」を選択し、「ガイド付きアクションを使用」から作成したアクションを選んで、「+」ボタンから追加できます。
▲作成したアクション(ここでは「テレワーク」)を選択し、「+」をクリックした後に「保存」
このように、「ガイド付きアクション」を使って作業を自動化すれば、セキュリティ対策と業務効率化を同時に実現できます。特にテレワークが多い方にとっては、積極的に活用したい機能の 1 つです。安心して快適に働くために Acrobat の機能を活かして、業務をより効率的に進めていきましょう。