PDFあるある-みんなの「困った」をピックアップ

こんにちは、桑名です。6月15日の「PDFの日」に合わせて、X(旧Twitter)では「#PDFあるある」をテーマにしたイベントが開催されました。PDFは日々の業務や学習の中で身近な存在であることから、親しみやすく、反響の大きいテーマとなったようです。
そこで今回は、みなさんの「あるある投稿」の中から、特によくあるPDFのトラブルとその解決法を紹介します。
#PDFあるあるその1:開いたら文字化け
数ある投稿の中で目立ったのが、文字化けに関する投稿です。「文字化けで怪文書になっている」「たまに文字化けする」「謎の文字化け」などがありました。
文字化けの原因には、作成時と閲覧時のOSの違いや、使用アプリのバージョンの違いなどがあります。特に多いのはPDF作成時に使用フォントが埋め込まれていないケースです。この場合、閲覧時に代替フォントに置き換えられ、文字が正しく表示されずに文字化けが生じるリスクがあります。
また、使用するPDF閲覧アプリによっても異なります。代替フォントが自動で適用されても、元のフォントが日本語に対応していなければ、文字が「□」や「?」に置き換わったり、意味不明な文字列として表示されたりします。
このような文字化けを防ぐには、適切なPDF変換ツールを使用し、PDFに使用フォントを埋め込むことです。
例えばWindowsパソコンでは、WordやExcelなどのOfficeソフト上の「印刷」画面から「Microsoft Print to PDF」を選んでPDFを作成する方法があります。この機能はWindowsに標準搭載されている仮想プリンタードライバーで、使用フォントの一部を「サブセット」として埋め込む仕様です。基本のフォントのみになるため、この方法では代替フォントが使われる確率が高くなってしまいます。
▲「Microsoft Print to PDF」を使用すると基本的なフォントのみのPDFになる
WordやExcelでPDFを作成する際は、「ファイル」メニューの「エクスポート」→「PDF / XPSドキュメントの作成」→「PDF / XPSの作成」を使用するのが推奨されています。この方法ならフォントを埋め込むことが可能です。ただし、Adobe Fontsや一部のライセンス制限があるフォントは埋め込めない場合があります。
▲「エクスポート」機能を使うとPDFにフォントを埋め込めるが、ライセンスフォントは埋め込めない
有償版のAdobe Acrobatを使用している場合は、Adobe Fontsも正しく埋め込まれます。試しに、今年2月にAdobe Fontsに追加された「百千鳥(Momochidori)」というフォントを使って、Word文書を作成してみました。Wordのエクスポート機能では該当フォントを埋め込めませんでしたが、Acrobatを使用した場合は埋め込むことができ、PDF閲覧時に正しく表示されました。
▲Acrobatで変換すると最新のAdobe Fontsも埋め込める
文字化けを防ぐには、使用するPDF変換ツールの選択が重要といえます。WordやExcelの場合は、印刷画面からのPDF変換ではなく、「エクスポート」機能を使ってPDFを作成するのが適切です。さらに、有償版のAcrobatをお使いであれば、Acrobatによる変換を活用することでフォント処理の精度が高まり、文字化けのリスクを大幅に軽減できます。
#PDFあるあるその2:レイアウト崩れ問題
「文字化けする」と並んで多かった「#あるある」が、「レイアウトが崩れる」の投稿です。「完璧って思ったのにレイアウト崩れてる」「せっかくのレイアウトがPDF化で崩れてしまった」「レイアウトが崩壊」などの声がありました。
以前、アドビブログに「PDFの構造化」についての記事がありましたが、PDFが構造化されていないと、レイアウトに影響が出る場合があります。構造化とは、PDF内のテキストや画像、見出し、段落などに論理的な構造を持たせ、文書の内容や読み順を正しく伝える仕組みです。読み上げが可能になるだけでなく、閲覧環境によっては表示順序や整列の乱れを防ぐ効果があります。
構造化に加えて、フォントが正しく埋め込まれていないことも、レイアウト崩れの原因のひとつです。PDFに使用フォントが埋め込まれていないと、別のフォントに置き換えられ、文字幅が変わってレイアウトが崩れることがあります。特に図や表を含む文書では、文字が指定されたスペースに収まらず、行や列のズレが目立ちやすくなります。
実際に、画像を含むWord文書を無料のPDF変換ツールで変換してみたところ、レイアウトが崩れてしまいました。一方、Acrobatで変換すると、正常に表示されました。
▲レイアウトが崩れやすいPDF変換ツールもある
「PDFに余白ができてしまった」「最後に空白ページが入っていた」といった現象も、使用しているPDF変換ツールの影響が考えられます。
最近では無料のツールが多用されていますが、レイアウトの崩れに加え、セキュリティ面でのリスクも見過ごせません。特にビジネス用途では、データの取り扱いに十分な注意が求められるため、信頼性と互換性に優れたAcrobatの利用をおすすめします。Acrobatは業界標準のPDFソリューションとして広く採用されており、企業や官公庁でも導入されている信頼性の高いツールです。そのため、セキュリティや互換性の面で安心して利用できます。
#PDFあるあるその3:PDFの保存先がわからない
「PDFの保存先がわからなくなる」「ダウンロードしたファイルの名前がわからない」という投稿も見られました。これは単に「保存場所がわからない」といった話ではなく、自動保存によってファイル名を自分で設定できず、元の名前のまま保存されてしまうのが原因です。その結果、あとから見返したときに、どのファイルなのか判別しづらくなります。
例えば、クラウド上のPDFをダウンロードする際、Microsoft EdgeやGoogle Chromeの初期設定では自動的にPDFが「ダウンロード」フォルダに保存されます。
▲ダウンロードのボタンをクリックすると「ダウンロード」フォルダに自動保存される
ブラウザーの設定を変更すれば、保存先を自分で指定でき、ファイル名も自由に入力できるようになります。
Microsoft EdgeやGoogle Chromeの画面右上の三点リーダーボタンから「設定」→「ダウンロード」を選択し、「ダウンロードする前に各ファイルの保存先を確認する」(Google Chromeの場合は「ダウンロード前に各ファイルの保存場所を確認する」)をオンにすれば、ダウンロードのたびに保存先を指定できます。
ダウンロード時に確認メッセージを表示する設定にしておけば「同じPDFを何度もダウンロードしてしまう」「気づかないうちにファイルが保存されていた」といった「あるあるミス」も防げるでしょう。
▲ファイル名を指定して保存できる
また、ブラウザーのAcrobat拡張機能を使えば、表示しているPDFをAdobeクラウドストレージ上に直接保存できます。他のファイルとは分けて、PDFだけをクラウドでまとめて管理できるため便利です。
▲ブラウザーの拡張機能を使うとAdobeクラウドストレージに直接保存ができる
パソコンよりもさらに保存場所がわかりづらいのがスマホです。
スマホの場合も、ブラウザーの設定画面でダウンロードする場所を設定できます。例えば、Safariの場合は「設定」アプリで「Safari」を選択し、「ダウンロード」で保存場所を指定可能です。
あわせて、PDFの閲覧時に「共有」ボタンから「Adobe Acrobat」を選択してAcrobatアプリに送るのもおすすめです。そうすることで、AcrobatにPDFを集約し、管理しやすくなります。そのままAdobeクラウドストレージにアップロードすれば、パソコンからも簡単にアクセスできるため便利です。
▲スマホでPDFを開いている場合は、「共有」ボタンをクリック
▲「Acrobat」を選択してAcrobatに送る
#PDFあるあるその4:PDFのページ数を知りたい
「開けてみると思った以上にページ数があってびっくり」「開いたら200ページの地獄」という投稿もありました。資料やマニュアルなどのPDFは、開くまで全体のボリュームがわかりづらいことも多く、戸惑う人も少なくありません。
Windowsの場合、エクスプローラー上でPDFをプレビューでき、右下にページ数が表示されているので、何ページあるかを把握できます。事前にページ数を確認しておけば、大量ページに驚くことも避けられるでしょう。
また、「↑」「↓」ボタンをクリックして、PDFを開かずに内容を読むことも可能です。PDFのファイルサイズやパソコンのスペックによっては表示できない場合もありますが、一時的に内容を確認したいときに役立ちます。
▲Windowsエクスプローラーのプレビューでページ数がわかる
もしプレビューが表示されない場合は、Acrobatのメニューから「環境設定」をクリックし、「一般」にある「Windows ExplorerでPDFサムネイルのプレビューを有効にする」にチェックを入れて、最下部の「OK」をクリックしてください。
#PDFあるあるその5:必要なページを削除してしまう
最後に、「必要なページを削除してしまう」という投稿への対処法を紹介しましょう。PDFを扱っていると、不要なページを削除したい場面や、必要なページだけを送信したいケースが意外と多くあります。
そこで便利なのが、Acrobatのサムネイル表示機能です。サムネイルは各ページの内容を小さな画像で視覚的に把握できるため、必要なページを削除してしまうミスを減らせます。
サムネイルは、Acrobatの画面右端にあるボタンから表示可能です。削除したいページを選択して「Delete」キーを押すだけで、簡単に削除できます。
ただし、似たようなページが続いていると、間違えて別のページを削除しがちです。そのような場合は、本文とパネルの境界線を左方向にドラッグして、パネルの部分を広くします。さらに、上部のスライダーを右方向にドラッグするとページを拡大できるので、内容をよく見て「Delete」キーを押すとよいでしょう。
▲サムネイルを大きく表示させて操作すると便利
今回は、Xに投稿された「#PDFあるある」の中から抜粋して紹介しました。PDF作成時の文字化けやレイアウト崩れを防ぐには、Acrobatでの変換が最も確実な方法です。Acrobatは、PDFを開発したアドビが提供する公式ツールであり、他の変換アプリに比べて環境依存のトラブルが少なく、高い互換性を備えています。正確で信頼性の高いPDFを作成・共有するためにも、Acrobatを積極的に活用しましょう。