Chromeユーザーなら知っておきたい!Acrobat拡張機能を使った情報整理術
こんにちは、ライターのむらやまあきです。
私たちライターは、取材するテーマや取材先に関わる情報をはじめ、日々のリサーチが欠かせません。しかし、過去の記事や関連する資料をあさっているうちにwebブラウザーが大量のタブで埋めつくされて、欲しかった情報を見失うこともしばしば...。膨大な情報の取捨選択や整理に時間がかかってしまい、頭を悩ませていました。
ライターでなくとも、近しい悩みを抱えている方はきっと多いはず。例えばプレゼン資料を作るために数十ページにわたる資料を複数読み込んでも、数日後には「あの部分を引用したいのに、どこに書いてあるのか忘れてしまった」と、ファイルを探すのに時間がかかったご経験、あるんじゃないでしょうか。
そんなとき、アドビブログ編集部から教えてもらったのが、「Google Chrome向けAdobe Acrobat 拡張機能*(以下、Acrobat拡張機能)」でした。
正直なところ、「拡張機能」が何なのかすらよくわかっていないレベルなのですが、今よりラクになるなら試すしかない! ということで、実際にAcrobat拡張機能を使ってみました。
*今回紹介する「Acrobat拡張機能」はGoogle Chrome向けです。Microsoft Edgeをお使いの方は、Windows版 Microsoft Edge向けAdobe Acrobat拡張機能をご利用ください
まずはAcrobat拡張機能をインストール
そもそも拡張機能とは、ブラウザーに機能を追加したり、今ある機能をカスタマイズしたりするツールやアプリケーションのこと。拡張機能をインストールすることで、webサイトの閲覧やさまざまな作業がより便利になるのだそう。
さっそく、Acrobat拡張機能では何ができるのかを見ていきたいと思います。
Google Chrome(以下、Chrome)上でさまざまなリサーチをしていると、たびたび出くわすPDF資料。検索してヒットするPDFファイルはブラウザーから見られますが、内容を編集したり、何かしら手を加えようとすると専用のアプリ(Adobe Acrobat Readerなど)を起動する必要があります。
しかし、Acrobat拡張機能がインストールされていると、ブラウザー上でそのままPDFの編集作業ができるのだとか。わざわざアプリに切り替えたりファイルをダウンロードしたりせずに、web検索で見つけたPDFの資料にぱぱっとメモを残せます。
ブラウザー上で作業できるので、新たにアプリを起動すると動作が遅くなるPC作業などでも便利なんです。
環境に依存せず、クラウドストレージにすぐに接続できるため、うっかり保存を忘れて「データが消えた!」なんて心配がないのも魅力ですよね。
では、自分のChromeにAcrobat拡張機能がすでに入っているのか、チェックしていきます。
Googleアカウントでログイン後、Chromeの右上に表示されるパズルのピースマーク(拡張機能アイコン)を押して、「Adobe Acrobat:PDF の編集、変換、署名ツール」と出れば、すでに拡張機能が有効になっているということ。
何も出てこない場合は、拡張機能を追加するところから始めましょう。インストールは無料です。
公式ページからChromeの拡張機能を入手、もしくは以下の方法でインストールができます。
1.Chrome ウェブストアにアクセスし、「Adobe Acrobat」で検索
2.「Chromeに追加」ボタンを選び、ポップアップの「拡張機能を追加」をクリック
3.インストール完了
▲Chromeの拡張機能アイコンを押すとインストールされている拡張機能が表示され(写真左)、ピン留めするとAcrobatのショートカットアイコンが表示される(写真右)
拡張機能アイコンから「Adobe Acrobat」をピン留め(固定)すると、アドレスバーの横にAcrobatのアイコンが出てきます。これで準備はばっちり!
無料でここまでできる! すぐに試せる機能をご紹介
ここからは、実際にAcrobat拡張機能を試していきます。まずは、インストールしてからすぐに使える機能から。
今、私がリサーチを進めたいのは、「デジタル疲れ」について。今やスマホが生活の一部になりましたが、SNSをはじめ、情報過多で疲れてしまっている人が多いという現状がありますよね。
取材のために情報収集をしているものの、とにかく量が膨大...。
普段であれば、ドキュメントを起動して関連する資料のURLやスクリーンショットを貼り付けたり、一つひとつの資料から重要なところを参考にしてまとめたりしていますが、タブやアプリを移動しているうちに頭が混乱することも。
そこで、便利なのが「コメント・ハイライト追加機能」。読んで字のごとく、PDF資料の重要なポイントに、直接コメントやハイライトを残せます。
実際に、役立ちそうな資料を読みながら、気になるところにハイライトをしていきます。
▲該当する箇所を選択→「テキストをハイライト」を選択(画像左)すると、選択した箇所がハイライトされる(画像右)
これで、必要な情報が一目でわかるようになりました。
コメントやハイライトのほかにも、テキストボックスを追加して文字を入れたり、フリーハンドで線を描いたりもできます。
拡張機能が入っていないと、いちいちダウンロードし、Wordファイルに変換してからコメントを入れる手間がかかっていたので、ありがたいです。
見返したいPDFファイルは、中央の「保存」ボタンから「Adobe クラウドストレージ」に保存できます。
▲「Adobe クラウドストレージに保存」を選択後、右下の「保存」を選択
自分のAdobeアカウントに紐づいたストレージに保存されるので、ログインさえすればスマ-トフォンのアプリ「Adobe Acrobat Reader」や他のPCからも閲覧できるんです。
▲同じ資料をモバイルアプリの「Adobe Acrobat Reader」からも閲覧可能
必要そうな資料は、ひとまずクラウドストレージに保存しておけばOK。「あの資料、どこで見たんだっけ...?」を防げますね。
諸事情でPCを持ち出せないとき、また移動中や取材の合間にスマホでさくっと資料を見返したいときなんかにも、この機能は便利だなと思います!
ページの削除や並べ替え、結合で作業効率アップ! 有償版の機能を使えばもっと情報整理がはかどる
さらに、有料の「Adobe Acrobat Pro」にアップグレードすれば、Acrobat拡張機能のすべての機能が使えるようになり、より作業の効率化を図れるのだとか。
例えば、「ページの編集」機能ではPDFファイルのページ並べ替えや削除ができるので、重要そうだと思ったページを冒頭に移動したり、ページを削除したりできます。
ほかにも「ファイルの結合」機能を使えば、クラウドストレージに保存してある資料たちをひとまとめにすることが可能。PDFファイル同士だけでなく、画像やWord、ExcelなどのOfficeファイルもみんなまとめて結合し、1つのPDFファイルとして扱えます。
▲「ファイルを追加」→「結合」ボタンを押すだけ!
「あるテーマを調べていて、複数の情報ソースが見つかったからまとめて保存したい」「自分のスマホで撮影した画像と一緒に資料としてまとめておきたい」というときに便利。
フォルダ保存との大きな違いは、結合したWordやExcel、PowerPointなどの文字情報がデータ化されて、ひとつのファイル内で特定のキーワードを検索できること。
検索した言葉や語句はハイライトされるので、たくさんのファイルを結合してもすぐに探し出せますし、「ページを整理」機能を使って不要なページを削除すれば、キーワードが入っているページだけを別途保存することもできます。
「子どもが分かるように文章を説明して」複雑で長い文章もAI アシスタントがさくっと要約
個人的に「これは便利だな〜」と思ったのが「Acrobat AI アシスタント機能(以下、AI アシスタント*)」。
*AI アシスタントの利用には別途追加料金がかかります(税込680円/年間プランの場合)が、最初の数回はお試しとして無料で使えます。
メニューバー右側にあるひときわ目立つボタン「AI アシスタント」を押すと、AIによる文章の読み込みがスタート。PDF資料全体を要約してくれたり、AIが重要だと考えるポイントを箇条書きで抽出してくれたりするんです。
「以下の質問例をお試しください」とプロンプトをいくつか挙げてくれるので、生成AIのプロンプトづくりに慣れていなくても安心。次々に出てくる質問例をポチポチしているだけで、欲しい情報が簡単に手に入れられます。
AI アシスタント向けのプロンプト集も参考にしてみてください。
「長い資料を隅々まで読み込む時間がない」、「とにかく概要と重要なポイントだけざっくり知りたい」というときに、AI アシスタントの存在はかなり頼もしいなと思いました。
難解な長文に対し、「10歳がわかるように簡潔にまとめて」といったリクエストにも応えてくれます。すごい...。
▲どちらも「重要なポイントを5つ簡潔にまとめて」という質問ですが、プロンプトの内容にあわせて言葉選びが変わっています
ひとつの資料に向き合う時間がぎゅっと短縮されることで、リサーチに割ける時間が増え、より多角的にテーマへの理解が深まるかも?
AI アシスタントはリサーチだけでなく、企画書づくりやそのブラッシュアップにも役立ちそうなのも魅力的です。
自分で作った企画書をAdobe クラウドストレージにアップロードして、PDFに変換したらAI アシスタントを起動。「この企画書で伝わりにくい部分があれば指摘し、修正案を提示してください」といった質問をして、指摘をもとに修正する...というのを繰り返せば、より良い資料づくりができそうです。
そしてこれらの作業が全部、ブラウザー上でさくっと完結できるというのがやっぱりありがたいですね...!
もはや新常識? Acrobat拡張機能で作業時間を短縮
今回は割愛しましたが、PDFから他の種類のファイル形式に変換する、webで公開されている資料にそのまま必要事項を入力する、電子サインで署名をするなど、便利な機能がたくさん。実際にいろいろ触ってみると、想像以上にリサーチやそのほかの作業がラクになる実感が持てるはず。ぜひ試してみてくださいね。
記事内資料:「SNS疲れ」につながるネガティブ経験の実態―大学生への面接結果および高校生の実態との比較検討から―(南山大学人間関係研究センター『人間関係研究』第16号 特集:人間関係再考)
青年期におけるSNS利用時の対人ストレス過程に関する研究 ――精神的健康との関連――
(信州大学 人文学部 准教授 佐藤 広英)