アドビ認定教員による毎年恒例の夏フェス!「ACE Innovator Festival 2025」レポート

2025年8月5日、アドビ認定教員コミュニティ Adobe Creative Educator(ACE)Innovatorが主催する年に一度の特別イベント「ACE Innovator Festival 2025」が、アドビ東京オフィスにて盛大に開催されました。

今年のテーマは「クリエイティブデジタルリテラシーの育成」。話題の画像生成AIツールAdobe FireflyAdobe ExpressAdobe Creative Cloud を活用した授業アイデアを体験するワークショップ、産学連携の事例、生成AIを応用した実践発表など、明日から教室で活かせるヒントが満載。一般的な聴講型セミナーとは異なり、見て、聞いて、試してみる体験型ワークショップを含む内容に探求心を刺激され、参加者同士の交流も活発に行われました。満員となった会場は、昼すぎから夕方まで盛夏らしい熱気に包まれた一日となりました。

「2学期以降の授業で使えるネタがたくさん増えて、何をやろうか考えるだけでもワクワクします」

— 参加者の声

開会&コミュニティ紹介

イベントは、全体進行を務める賢明学院小学校 反田任先生による挨拶とコミュニティ紹介で幕を開けました。

ACE Innovatorとは、児童生徒の将来の活躍を見据え、「クリエイティブデジタルリテラシー」の育成を目的に、Adobe Express や Creative Cloud を活用した先進的かつ実践的な学びを学校教育現場で推進し、その知見を共有している先生方の認定制コミュニティであることが語られました。

司会を務めた賢明学院小学校の反田任先生

実践発表1:米国 ACE Innovator Summit報告

最初の発表は、Canadian Academy 茂田可愛先生による「ACE Innovator Summit」の報告です。米国で開催されたこのサミットには、小・中・高・大学の教育者から、テクノロジー、メディア、美術教育のスペシャリストまで、幅広い分野の参加者が集結し、それぞれの教育に対する情熱やストーリーを熱く共有しました。

茂田先生は、日本文化を取り入れたセッションを実施。筆で描いた作品を撮影し、Adobe Express で編集するというワークを通じ、自身のストーリーを参加者と分かち合いました。

「印象的だったのは、教育関係者同士のつながり=コミュニティを重視する文化です。教育現場で課題に直面しても、アイデア交換や助け合うことで解決に導かれるという考え方が繰り返し語られていました」

— 茂田可愛先生

さらに「クリエイティブ・コンフィデンス」という言葉についても紹介。ツールのスキルを教えること以上に、生徒が自分の創造的な力を信じられるかどうか、そのマインドセットを育む重要性が強調されたといいます。

Canadian Academyの茂田可愛先生

実践発表2:産学協同で育む、生徒の創造力と社会性

次は、神奈川大学附属中高等学校 小林道夫先生による、地元企業や専門学校と連携した動画制作ワークショップの事例発表です。このプロジェクトでは、中高生と専門学校生が混成チームを組み、「福祉とモビリティ」をテーマに福祉車両のPR動画をAdobe Expressで制作。企画から撮影、編集までをわずか数時間で行い、完成作品を企業担当者へプレゼンするという本格的な内容でした。

年齢・分野の異なるメンバーで行う共同作業は、生徒たちに新鮮な刺激を与えました。直感的な操作性とリアルタイム共有機能を備えたAdobe Expressが、短時間でも質の高いアウトプットを可能にし、普段の授業では見られない積極性や主体性を引き出したといいます。

「こうした教科横断型の探求学習を、ACE Innovatorの繋がりを活かして産学官、高大、他校連携へと広げていきたい」

— 小林道夫先生

神奈川大学附属中高等学校の小林道夫先生

ポップアップワークショップ:明日の授業で使える!Adobe Express体験

感動的な実践発表の後は、実際に手を動かしながらAdobe Expressの活用法を学べる体験型ワークショップが二つ開催されました。

まずはポップアップワークショップの概要が、アドビ教育事業本部の渡邉千聖からアナウンスされます。会場には「ベーシック操作体験」「アニメーション制作」「ロゴ制作」「名刺制作」の4ブースが設けられました。参加者は15分ごとにブースを巡回し、短時間で複数の機能を楽しく体験できるスタイル。ACE Innovatorの講師陣が丁寧にサポートし、参加者は短時間で見事な成果物を完成させていきました。

4つのポップアップワークショップのテーマを説明するアドビの渡邉

巧みな話術でリードする講師陣

15分ごとに様々なコンテンツ制作を体験する参加者

「Adobe Expressは使ったことがありましたが、新しい使い方を知れてとても良かったです」

— 参加者の声

全体ワークショップ:2学期におすすめ!授業アイデア実践

続く全体ワークショップでは、ドルトン東京学園 中等部・高等部 西澤廣人先生と和光中学高等学校 小池則行先生がナビゲート。アドビの画像生成AI・Firefly を使い、「未来の学校」をテーマに画像生成を体験しました。

ドルトン東京学園 中等部・高等部の西澤廣人先生(左)、和光中学高等学校の小池則行先生(右)

参加者はプロンプト(生成したい内容の説明文)やスタイル設定を調整しながら、理想のイメージを作り上げます。このプロセスは、新時代のクリエイティブデジタルリテラシーそのものです。講師からはプロンプトの工夫や生成クレジットの管理など、実践的なノウハウも共有されました。

「適当なプロンプトでもそれなりの画像が生成されますが、試行錯誤しながら徐々に作りあげていくことが大切です」

— 西澤廣人先生

完成した画像や使用したプロンプトはAdobe Expressで即座に共有され、スクリーンに投影。独自性あふれる作品に会場は大いに盛り上がりました。

画像生成AIはプロンプトの試行錯誤が鍵

アドビの生成AI倫理について

アドビ教育事業本部 執行役員 本部長の小池晴子からは、 Fireflyの安全設計と教育利用の信頼性について解説がありました。FireflyはAdobe Stockやパブリックドメインのコンテンツなど、ライセンス的に安全なデータのみで学習。有害表現や著作権侵害を防ぐ「ガードレール」機能を搭載し、児童生徒が安心して利用できる環境を提供しています。さらに生成コンテンツにはコンテンツクレデンシャルが付与され、新たなメディアリテラシー教育にも活用可能です。

「アドビの生成AIは、安全に教育利用できるよう専用設計を行っています」

— アドビ 小池晴子

アドビ 小池晴子

実践発表3:知識ゼロから始める「デザイン」授業

栄光学園中学高等学校 日野俊一郎先生は、高校1年生の情報の授業で行ったポスター制作の事例を紹介。「デザインやアドビ製品には自信がない」と笑いを交えつつも、Firefly やAdobe Photoshop、Adobe Illustrator を使った生徒作品の数々を披露しました。

アドビ製品を選定した理由は、プロが使うツールでありながら操作方法などの情報が多く、教育ライセンスで安価に導入できることや著作権面で安全に利用できることだったとのこと。

絵を描くことが苦手な生徒も、テキストからの画像生成をきっかけに表現を広げ、生成塗りつぶしや拡張機能を自在に使いこなすように。ポスター制作を通じて生徒たちはデザインを身近に感じ、自ら学びを深める姿勢が育まれたといいます。

「教員にデザインの専門知識がなくても、きっかけを与えてあげれば生徒は自主的に学んでいく」

— 日野俊一郎先生

栄光学園中学高等学校の日野俊一郎先生

実践発表4:【探究×デザイン】多様な学びを実現するID学園の取り組み

実践発表の最後を飾るID学園高等学校 伊藤明里先生、宮坂修平先生からは、アドビのツールを活用しながら探究型学習とデザイン教育を融合させた実践事例が紹介されました。

同校は通信制高校の柔軟性を活かし、生徒の興味に沿った個別最適な学びが可能なアドビオプション講座(デザイン初級:Adobe Express、動画編集初級:Premiere Rush、デザイン中級:llustrator/Photoshop)を株式会社Tooの協力のもとに設置。各講座ではSNS投稿や動画、ポスターなど実践的な制作課題が設定され、生徒の作品は実際に学内外で使用されました。

さらに企業訪問やキャリア講演、Fireflyワークショップなどの探究学習と連動。ある女子生徒は趣味のアクセサリー作りから出発し、最終的にAdobe Expressを使って児童館でのワークショップ用マニュアルを制作するまでに成長しました。

「クリエイティブデザインは学習を始める上で、生徒の意欲を引き出す効果がある」

— 宮坂修平先生

ID学園高等学校の伊藤明里先生(左)、宮坂修平先生(右)

クロージング&アフターパーティ

最後に、当イベントを共催したAdobe Education Elite Partnerである株式会社Too 石井花歩氏が教育向けソリューションを紹介。ハード・ソフト・研修を一体化したサポート体制の利点が語られました。

株式会社Too 石井花歩氏

クロージング後のアフターパーティでは、参加者とACE Innovatorが垣根を越えて交流。授業アイデアやツール活用の経験が活発に共有されました。

アフターパーティで歓談する参加者

まとめ

テクノロジーと教育が交わる場では、単なるスキル習得を超えて、学び手が自らの創造性を信じ、新たな価値を生み出す力が育まれています。ACE Innovator Festival 2025は、こうした新しい時代のクリエイティブデジタルリテラシーの育成に向けて、教育者同士が支え合い、課題解決の力を育むコミュニティの重要性を体感するイベントとなりました。

「年に1回だけじゃなく、夏冬で年2回開催してほしいです」

— 参加者の声