急な仕事に即対応。外出先でも使えるAcrobatオンラインツール

こんにちは、桑名です。デジタル化が進んで便利な時代になりましたが、思わぬ不便に直面するときもあります。たとえば、出張先や移動中に急ぎの仕事が入り、「いつものパソコンが手元にない」と困ったことはありませんか?そんなときに便利なのが、ブラウザーで使える「Adobe Acrobatオンラインツール」です。

本記事では、Acrobatデスクトップアプリとの違いに触れながら、Acrobatオンラインツールを紹介します。

Acrobatオンラインツールとは

Acrobatオンラインツールは、ブラウザー上で利用できるアドビのオンラインサービスです。PDFの変換やパスワード設定、電子署名など、業務に役立つ機能を備えており、有償版Acrobatを利用している場合はすべての機能を無制限で使えます。

Acrobatは1つのライセンスで複数のデバイスに対応しているため、どのパソコンやタブレット、スマホからもAcrobatオンラインツールにアクセスして自由に利用できます。また、クラウド環境によって常に最新のファイルを編集でき、外出先でも快適に作業を進められます。

▲Acrobatオンラインツール

Acrobatオンラインツールは、アドビのサイトにアクセスして利用できます。タブレットやスマホからも、ブラウザーのSafariやChromeで利用可能です。

なお、7月29日にAdobe Blogに公開された「Chromeユーザーなら知っておきたい! Acrobat拡張機能を使った情報整理術」は、webページの閲覧時に表示されたPDFをAcrobatで編集できる機能で、ブラウザーに追加して利用します。

一方、Acrobatオンラインツールは、クラウドにあるPDFを編集するツールです。インストールは不要で、デバイスや環境に依存せずにAcrobatの機能を利用できます。アドビクラウドストレージだけでなく、OneDriveやGoogle Driveも連携させて使用できます。

Acrobatオンラインツールが活躍する場面

「わざわざAcrobatオンラインツールを使わなくても、Acrobatデスクトップアプリだけで十分」と思う方もいるでしょう。たしかにAcrobatデスクトップアプリには多彩な機能が備わっており、PDF作業にはとても便利です。

しかし、オフィス以外の場所で急にPDFの作業が必要になったときに、Acrobatオンラインツールが役立ちます。

例えば、こんなシーンです。

このような場面で、いつも使っているパソコンが手元にないと対応に困ります。そうした状況でも、PDFがクラウドに保存されているか、相手から送られてきていれば、ノートパソコンや手元のタブレットからアクセスして、そのまま作業を進められます。

Acrobatオンラインツールの特徴

Acrobatオンラインツールの特徴を確認しておきましょう。以下の5つの項目について、Acrobatデスクトップアプリと比較しながら紹介します。

  1. 起動方法
  2. 機能の探し方
  3. PDFの変換
  4. PDFの整理
  5. ファイルの見つけ方

1.起動方法

Acrobatデスクトップアプリの場合は、Acrobatのアイコンをダブルクリックして開くのが一般的です。

Acrobatオンラインツールの場合は、ブラウザーを起動し、アドレスバーに「acrobat.adobe.com」と入力してアクセスするか、「Acrobatオンラインツール」を検索してアクセスします。アプリをインストールしなくてすむため、いざというときは、どのデバイスでもすぐ使えます。

▲Acrobatオンラインツールは、ブラウザーでアクセスする

2.機能の探し方

次に機能の探しやすさを見てみましょう。

Acrobatデスクトップアプリは、PDF編集の自由度が高く、機能も充実しています。やりたいことを何でもできるように、豊富なメニューから使いたい機能を選べる構成です。ただし機能が多い分、目的の操作までに階層をたどる必要があり、急いでいる場合はアクセスに手間取る場合があります。

一方、Acrobatオンラインツールは、よく使われる機能が厳選されており、すべてが一覧表示されています。急ぎの仕事では、やるべき作業が明確な場合が多いため、必要な機能を素早く見つけられるのは大きな魅力です。その結果、焦っているときに起こりがちな誤操作やミスの発生も減らせます。

▲Acrobatオンラインツールは、すべての機能が一覧表示されているため目的の機能を探しやすい

3.PDFの変換

資料や提案書などの文書をPDFに変換する際に、Acrobatデスクトップアプリは欠かせません。PDFへの変換はもちろん、PDFから他ファイル形式へ変換することもできます。

同様に、Acrobatオンラインツールもさまざまなファイル形式に対応しています。クラウド上にあるファイルをそのままPDF化でき、反対にPDFをWordやExcel形式に変換することも可能です。

▲Acrobatオンラインツールは変換機能も充実している

変換したファイルは、クラウドに保存され、メールにファイルを添付しなくても共有機能を使って渡せます。他社クラウドのファイルも、元のファイルと同じ場所に保存され、それぞれの共有機能を使って送ることが可能です。

Adobeクラウドストレージの場合、アドビ製品のファイルのみが対象と思われがちですが、実はWordやExcelファイル、画像ファイルも保存できるのです。そのため、外出先で「Word文書をPDFで送って」と依頼された場合、クラウド上にWordファイルがあれば、他のアプリを使わずに変換できます。

4.PDFの整理

チームや取引先と共有する際、PDFを整理してから送ることはよくあります。たとえば、複数の資料PDFから必要な部分だけを抜粋して1つにまとめる場合や、報告書の一部だけを共有する場合です。

Acrobatデスクトップアプリでは、右クリックのメニューや右端のサイドパネルから、PDFのページを削除したり、順序を入れ替えたりができます。

一方、Acrobatオンラインツールでは、「ページを削除」「ページを抽出」「ページを並べ替え」「ページを回転」「ページを挿入」といったメニューから選択して操作します。広い画面を使って全体を見ながら操作できるため、ページの削除や並べ替えを確実に行うことが可能です。

▲Acrobatオンラインツールでは、広い画面で直感的にページの整理ができる

5.ファイルの見つけ方

Acrobatデスクトップアプリでは、「最近使用したファイル」にクラウド上とパソコン上のファイルが混在して表示されます。クラウド保存のファイルには雲のアイコンが付きますが、急いで探す場合には見分けづらい場合もあります。

Acrobatオンラインツールの場合は、「最近の使用」タブにクラウド上のファイルだけが表示されます。いつもと違うパソコンであっても、目的のファイルを見つけやすく、作業をスムーズに始められるのがメリットです。

▲Acrobatオンラインツールでは、クラウド上のファイルのみが表示される

いずれにしても、クラウドに保存していないと別のパソコンからアクセスできないため、外出先で急にPDFが必要になったときに困ります。後から使う可能性のあるファイルはクラウドに保存しておき、いつでもスムーズに開けるようにしましょう。

Acrobatオンラインツールで使える機能と使えない機能

Acrobatオンラインツールは手軽に利用できますが、Acrobatデスクトップアプリでないと使えない機能も存在します。例えば、墨消し機能やフォーム機能はAcrobatデスクトップアプリのみの機能です。

また、Acrobatオンラインツールでは細かな設定は行えません。例えばPDFを開く際のパスワードは設定できますが、コピーや印刷を禁止する編集権限の設定には非対応です。PDFを圧縮する際にもオプション設定はできません。

とはいえ、急ぎのときや一時的な利用には重宝するので、シーンに応じて活用しましょう。

▲このようなセキュリティの詳細設定はAcrobatデスクトップアプリのみ

今回はAcrobatオンラインツールを紹介しました。インストール不要でどの端末からも使えるため、急きょPDFを編集、共有したいときにとても便利です。また、webブラウザーの操作に慣れている方にとっては、直感的に使いやすい点も大きな魅力と言えます。

Acrobatオンラインツールの使い方をマスターしておけば、いざというときに安心です。Acrobatデスクトップアプリと併用して役立てましょう。