AIで画像を加えて、もっと伝わるPDFに。Adobe Express連携の画像生成機能
こんにちは、桑名です。Adobe Acrobatに統合されたAdobe Expressの画像生成機能がさらに便利になったのをご存じでしょうか? プロンプトを入力しなくても画像を生成できるようになり、日本語でもさらに使いやすくなりました。
そこで今回は、AIで写真風の画像を生成する際のコツと注意点を紹介します。プレゼン資料やチラシのPDFはもちろん、レポートや社内資料で写真を使うときに役立ててください。
プロンプトを入力せずに画像生成
PDFに写真を入れたいと思っても、「撮影する時間がない」といったケースはよくありますよね。フリー素材を使うにしても、写真を探すのに時間がかかり、最終的には妥協せざるを得ない場合もあるかもしれません。
しかし、もうその心配は無用です。Adobe Expressとの連携によって写真風の画像を生成し、そのままPDFに追加できます。
高度な知識がなくても大丈夫です。AcrobatでPDFを開き、文章を選択して「画像を生成」をクリックすると、内容にふさわしい画像を生成してくれます。この方法なら、プロンプトを考える必要がないため、急ぎで作成したい場合に便利です。
試しに文書中の「皆さんの新しい一歩を心から応援します。ともに成長していきましょう。」の部分を選択して画像を生成してみます。生成されるまでに少し時間がかかりますが、画面をそのままにして待ちましょう。
▲文章を選択し、「画像を生成」をクリック
文章の内容に合わせて、新しいスタートをイメージしたイラストが4点生成されました。今回は写真風の画像にするので、「コンテンツタイプ」で「写真」を選択します。「画像サイズ」は、「正方形」より「ワイドスクリーン」を選択した方が自然な画像が生成されやすいです。
写真風の画像が生成されました。もう少し選びたい場合は、「更新」をクリックすると再生成してくれます。気に入った画像を選び、画面右上の「適用」をクリックすると、文書内に挿入されます。
▲画像を選択し、「適用」をクリック
生成された画像はドラッグで移動できるので、ちょうどよい場所に配置しましょう。四隅にある〇を動かして画像サイズを調整することも可能です。
▲四隅の〇を動かしてサイズを調整する
AI アシスタントでプロンプトを作成
表紙や目次に写真を入れると、文書の概要や雰囲気を直感的に伝えられます。例えばビジネス資料ならオフィス風景を、教育用の資料なら学生や教室をイメージした画像を入れると、読み手が全体の内容を把握しやすくなります。
どんなプロンプトを入力すればよいか迷う場合は、Acrobat AI アシスタントを使ってみましょう。「この文書にふさわしい写真を生成したい。プロンプトを作成してください。」と入力すると、指示文を作成してくれます。この方法ならプロンプト作成に慣れていない方でも気軽に使えます。
▲AI アシスタントがプロンプトを作成してくれる
プロンプトを入力して生成するには、「編集」タブの「画像」をクリックし、「画像を生成」を選択します。
▲「編集」タブの「画像」→「画像を生成」をクリック
作成されたプロンプトをコピーし、画像生成画面にプロンプトを貼り付けて生成するのですが、念のためプロンプトを確認しておきましょう。
例えば、「〇〇をイメージさせるアイコンを配置」「抽象的なグラフィック」「未来志向のデザイン」といった表現がプロンプトに含まれていると、実際の写真とはかけ離れた画像になりやすいです。これらの表現を削除すると、より写真に近い仕上がりになります。
日本語に対応しているので、思いついた内容をご自身の言葉で入力しましょう。
▲画像生成画面にプロンプトを貼り付けて生成する
不要な要素を自然に消す方法
公園の写真に人物が写っていたり、手前に樹木が入ったりしている場合でも、他のアプリを使わずに削除できます。削除と言っても、空白になるのではなく、AIが周囲に合わせて置き換えてくれる機能です。
不要物を削除するには、「オブジェクトを削除」を使います。画像を選択し、「画像を編集」をクリックすると画像編集画面が表示されるので、「オブジェクトを削除」を選択しましょう。
▲不要物の削除は、「オブジェクトを削除」を選択する
「オブジェクトを削除」をクリックしたら、不要な要素や不自然に見える部分を塗りつぶします。ここでは、ホワイトボードに貼られている紙を削除します。細かい部分を削除する場合は「ブラシサイズ」のスライダーを左に動かして小さくすると作業しやすいです。
▲細かい作業は、ブラシサイズを小さくしてドラッグする
削除結果が3つ表示されます。綺麗に削除できている画像を選択して「保存」をクリックしましょう。
画像にオブジェクトを追加するコツ
画像に写っていないものを付け加えたい場合は、画像編集画面の「オブジェクトを挿入」を使います。何を追加するかを入力し、置き換えたい箇所をブラシで塗りつぶすだけです。このとき、被写体のサイズを考慮し、余裕をもたせて少し広めに塗りつぶすのがコツです。範囲が狭すぎるとサイズが不自然だったり、背景となじまず違和感が出たりする場合があります。
▲追加したいもの(ここではタブレット)を入力し、挿入したい箇所を塗りつぶす
「オブジェクトを挿入」は、画像内の一部だけを変えたい場合にも便利です。例えば、ロングヘアをショートヘアに変更したい場合も、「ショートヘア」と入力し、髪の毛の部分をブラシで塗りつぶして生成します。
1回で良い結果が得られない場合は、「さらに生成」をクリックして何回か試してください。
▲プロンプトを入力し、変えたい場所を塗りつぶす
文字を含む画像も生成できます。例えば、「ホワイトボードに「START」と書かれている」と入力して挿入すれば、正確な文字が入った画像になります。ただし執筆時点では、日本語の文字生成はできません。
彩度や色合いを変更する
AIが生成した写真風画像は、独特な質感や色味になる場合があります。例えば画像全体が鮮やかすぎたり、青みがかって見えたりする場合があります。そうしたときは、画像編集画面で彩度や色合いを調整すると、自然な仕上がりに近づきます。
今回の画像は、鮮やかすぎるようです。鮮やかな画像は、印象を強める一方で、見る人に不自然な印象や違和感を与える場合もあります。特にビジネス文書に使う画像では、彩度が高すぎると落ち着きがなく見えたり、内容に集中しづらくなったりします。そのような場合は、画像編集画面の「調整」で「彩度」を下げましょう。
▲「編集」タブの「調整」→「彩度」で落ち着いた雰囲気にする
それでも違和感がある場合は、色合いの設定を変更してみましょう。画像編集画面の「効果」タブでの「色合い」を選択します。再度「色合い」をクリックし、「カラー」を「白」にしてスライダーを調整します。
▲「効果」タブの「色合い」をクリックし、「カラー」を「白」にして色味を変える
編集前と比較すると、落ち着いた色みで、やわらかい雰囲気の画像になりました。
▲編集前と編集後の画像
画像の違和感をチェックする
このように写真を用意しなくても写真風の画像を手軽に作成できますが、最後は必ず人の目で確認することが大事です。配布するPDFの種類によっては、細かい部分まで気を配る必要があります。
人物まわり
顔や体の各部分に違和感がないかを確認します。服装についても、服の柄に途切れやズレがないか、ボタンが不揃いでないかを確認しましょう。
背景や小物
標識や電線など意図しない写り込みがないか、奥行きや遠近の破綻がないかを確認します。
テクスチャ
ノイズやざらつき、色むら、境界線の乱れもチェックしましょう。特に人物の肌や建物の表面は、加工感のある画像になりやすいです。
光と影
一部が白飛び、黒飛びする場合もあります。影の方向と濃さが一貫しているか、反射やハイライトが光源に合っているかも確認しましょう。
文字要素
看板やラベルの文字が読めるかをチェックしましょう。読めない日本語になっている場合も多いので注意です。
不自然に見える箇所は、「オブジェクトを挿入」で「違和感がないように修正して」と入力して修正できる場合もあります。体の一部はうまくいかない場合もありますが、修正範囲を広めに指定して試してみてください。髪の毛の生え際や顔のパーツなどは、顔全体を修正した方が早いです。「オブジェクトを削除」も併用しながら生成を繰り返すと、よりリアルな写真に近づきます。
▲不自然な箇所は、部分ごとに「オブジェクトを挿入」で修正する
AI画像生成の注意点
PDFの配布先によってはAI生成コンテンツの使用を禁止している場合や、AI利用の明記を義務付けている場合があります。そのため、社内規程やクライアントのガイドライン、媒体の投稿規約を確認した上で利用しましょう。Adobe生成AIユーザーガイドラインも参考にしてください。
また、画像生成に関しては1回の生成で1クレジットを消費します。Acrobat Pro単体で使える生成クレジットは月当たり25です。それ以上使う場合は、Adobe Fireflyアドオンプランで追加の生成クレジットを購入します。
ただし、Creative Cloud Proを利用している場合は、生成AIの標準機能は無制限で使えます。月間生成クレジット数に関しては、生成クレジットに関するFAQのページを参照してください。
なお、プロンプトの作成に使用するAcrobat AI アシスタントは、別途追加料金がかかります(最初の数回はお試しとして無料)。
今回は、写真風の画像を生成する際のコツと注意点を紹介しました。従来のように素材探しに時間をかける必要がなくなり、文書の内容に合わせた画像を作成および編集できます。写真風の画像を加えるだけでPDFの印象が大きく変わるので、積極的に活用してください。