AI アシスタントでキャリアの棚卸し。自分の強みを可視化しよう

こんにちは、ライターのいちじく舞です。

転職活動に欠かせないのが、履歴書やポートフォリオ。本来なら、求人票や業務実績に合わせてアップデートしたいところですが、正直「どこから手をつければいいのかわからない」、「忙しくてしばらく更新できていない」という方も多いのではないでしょうか。実際、私自身も最後にポートフォリオを制作したのは数年前、というのが現状です。

そんな時に役立つのが、Adobe Acrobat AI アシスタント(以下、「AI アシスタント」)。読み込んだPDFドキュメントをAIが分析し、資料の要約や改善案などを提案してくれる頼もしいツールです。

今回はこのAI アシスタントを使って、ポートフォリオのブラッシュアップと、今後のキャリアアップに必要なスキル・経験を可視化する「キャリアの棚卸し」をしてみました。

AI アシスタントが求人票を解析。必要なスキルが一目で把握できる

会社員を辞めて、個人事業主として独立して以降、主にwebライターやSNS運用者として活動してきた私。

現在の私のポートフォリオがこちら。

今回の企画に合わせて、ポートフォリオに最近の事例を少しだけ追記しました。記載している項目は以下のとおり。

・プロフィール

・経歴

・抜粋した実績

・スキル

・料金目安

・物撮り撮影例

・お問い合わせ先

現状はどれも、必要最低限の情報を羅列しただけという感じです。果たして、これからどうアップデートされていくのでしょうか。

では早速始めていきましょう。

まずは現在のスキル・経験と親和性が高い職として、業務経験のあるコピーライター職のPDF形式の求人票*をAdobe Acrobatで開きます。

*本記事で使用している求人票は、すべて架空の求人・企業情報です。

続いて右上の「AI アシスタントに質問」をクリックし、「この求人票を出している企業への転職を検討しています。まずは内容を分析してください」と質問。

会社情報や求人情報を一目で確認できるよう要約するほか、「総評」として求人全体の印象をまとめてくれました。

「総評」は複数の企業を応募検討するときにも便利そう

求人票に沿ってポートフォリオを最適化し、求められる人材像を表現

次に、私のポートフォリオを読み込ませていきましょう。

「AI アシスタントに質問」の右隣にある「+」をクリックし、ポートフォリオをアップロードします。読み込みが完了したら、「求人票に合わせた自己アピール文の修正ポイントや、採用担当者に響く改善アイデアを提示してください」とリクエストします。

すると、自己アピール文の修正ポイントや、採用担当者に響きそうな改善アイデアがずらりと返ってきました。

「求人票のこの部分にこう記載されているから、あなたのポートフォリオのこの箇所を修正した方がいいよ」という文脈で、例文も添えて回答してくれるから調整しやすい!

今回は「求人票に記載されている歓迎スキル(広告代理店・制作会社での経験、プレゼンテーションスキル、SNSやデジタル広告の知見)を持っている場合は積極的にアピールしましょう」というアドバイスをもらったので、例文をそのまま拝借してポートフォリオのSNS運用の項目に追記。

さらに「数字で実績を提示しましょう」というアドバイスをもとに、フォロワーの増加や成果が出た(バズった)事例などを書き足しました。

「さまざまな媒体でのコピー制作実績を掲載する、視覚的に魅力的なレイアウトにする」といったデザインに関するアドバイスもありました。事例画像のキャプチャを貼り付けただけのものから、複数の事例が一目で確認できるようにレイアウトを整理します。

事例画像のレイアウトを変更し、アカウントごとの運用事例がわかるように調整

SNS運用の項目にならって、ライティングの項目も修正してみました。ただ実績を並べるだけよりも、本気度と説得力が増した気がします。

ライティングの項目も、具体的な経験やスタンスを伝える文章と事例を追加

仕上げに、AI アシスタントに「採用担当者の視点から見て、この応募者は求める人物像に合致していそうでしょうか」と質問してみます。すると「この応募者は、求人票に記載された求める人物像に非常に合致していると考えられます」と嬉しい回答が!

どの点が高く評価されたのか具体的な根拠も挙げてくれるので、面接時の自己PRにも活用できそうです。

今回はポートフォリオで試しましたが、もちろん履歴書や職務経歴書でも同様に内容の添削やブラッシュアップができます。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション, テーブル AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。

AI アシスタントは自己PR文を活かしつつ、「チームでの業務遂行」という求人票に沿った観点から修正案を提示している

なりたい職種に近づくためには? 今の自分に必要な経験とスキルを分析

次は、今後のキャリアアップとして興味があるクリエイティブディレクター職の求人票をもとに、自分のキャリアの可能性を探ってみることにしました。

今回は特定の求人でなく「クリエイティブディレクター職に就くために必要なスキルや経歴」を知りたいので、複数の求人票を情報源にします。

まずは「AI アシスタントに質問」の右隣にある「+」から、3社の求人票をまとめてアップロード。さらに、「これらの求人票の募集要項をもとに、この職種で活躍するために必要な経験やスキルを教えてください」と質問してみます。

すると3社分の求人票をもとに、「必須経験・スキル」「歓迎スキル」「求められる人物像」「総評」などの項目が整理されて返ってきました。

回答には引用箇所が複数示され、複数の求人票から情報を引っ張っているのがわかる

必須スキル*の中には「SNSやweb広告の知識と運用経験」「広報・PRの実務経験」「コピーライティングスキル」といった回答も。

*架空の求人票を情報源としたAI アシスタントの回答であり、一般的なクリエイティブディレクターに必須のスキルはこの限りではありません

こうして振り返ってみると、これまで自分が携わった仕事の中に企業が求める必須経験・スキルに当てはまるものが結構あることに気付きました。今までポートフォリオに記載していなかった、プレスリリースのライティング経験なども追記しておいた方が良さそうです。

複数企業との相性のチェックもできる

次に、「今の私のポートフォリオから、この職種とマッチする点を提案してください」と質問。すると、自分の経歴や強みと重なる要素を企業ごとに具体的に提示してくれました。

例えば、3社目の企業。回答では、「広報・PRの実務経験」「webコンテンツの企画・ディレクション経験」「BtoBマーケティングの知識」といった項目が挙げられました。これまで自分では「ライティング」として一括りにしてきた仕事も、こうしてカテゴリー分けすると細かなスキルとして整理できるのだと気付かされます。

ライターや編集者として積み重ねてきた仕事の延長に、ディレクター業務の一部が含まれていたことも新たな発見でした。自分の過去の経験と、求人票の条件の共通点が明確になったので、面接でも「御社が求める●●のスキルは、以前担当した●●の案件で培った経験を活かせます」と、より具体的に伝えられそうです。

「総評」では、自身の経験に加えて「データ分析やマネジメントスキル、動画制作やインフルエンサーマーケティングの経験があると、さらに歓迎されるでしょう」とのコメントも。クリエイティブディレクターを目指すなら、今後はこれらの分野の仕事にも積極的に取り組むことでキャリアの厚みが増しそうです。

最後に、「これらの企業の中で、私の経験・実績と特に相性が良い企業を教えてください」と質問。すると、各社との相性ポイントを整理したうえで「最も相性がいい企業」と「次点」まで提示してくれました。

応募先を迷っているときや、複数社から内定をもらったときなど、判断材料のひとつとして参考にできそう

AI アシスタントならハルシネーションやセキュリティ対策もばっちり。安心してキャリアの棚卸しができる

求人応募の準備から今後のキャリア形成までまるごとサポートしてくれた、AI アシスタント。改めて、今回試したのはこの4つ。

・求人票に合わせてポートフォリオの修正アイデアを提案

・ポートフォリオと求人票を突き合わせ、適合度をチェック

・複数の求人票から、その職種に求められる経験やスキルを抽出

・自分の実績と求人票の条件を重ね合わせ、今後のキャリア形成に必要な経験やスキルの洗い出し

応募準備の一連の流れをカバーしてくれました。

文章を要約・生成してくれるAIは数多くありますが、AI アシスタントの強みは外部からの情報が入らない点とセキュアな仕組み。

AI アシスタントが参照するのは自分がアップロードしたファイルのみ。ファイル内の情報に基づいた回答が得られるので、誤情報(ハルシネーション)が混ざるリスクが低いと言えます。

加えて、アップロードした情報がAI学習に利用されずセキュアであることも大きなメリット。履歴書には個人情報も多く含まれるので、こうした仕組みがあると安心です。

「ポートフォリオ、更新しなくちゃ」と思いつつ後回しにしていた私でも、AI アシスタントを使いながら進めることで効率的にアップデートできました。就職・転職活動などで履歴書の更新を迫られている人はもちろん、これからキャリアの幅を広げたいと考える人にとっても、AI アシスタントは心強いサポートツールになるはずです。