GoogleドキュメントのPDF変換と管理にAcrobatを活用しよう

こんにちは、桑名です。最近は、クライアントとの文書共有にGoogleドキュメントが使われることも多いですよね。企画書やセミナー資料、履歴書などをPDFに変換して提出、配布する機会もあるでしょう。そこで今回は、GoogleドキュメントをPDFに変換する方法を解説します。変換したPDFを効率的に管理する方法も紹介するのでお試しください。

GoogleドキュメントのファイルをPDFにするには

Googleドキュメントの文書をPDFにする際、「ファイル」メニューの「ダウンロード」から「PDF」を選択する方法が一般的に使われます。手軽に変換できて便利ですが、レイアウトが崩れて困った経験はありませんか?

たとえば、GoogleドキュメントのデフォルトフォントはArialです。Arialは欧文フォントで、日本語の文字は含まれません。そのため日本語の部分にArialが設定されているように見えても、実際には代替フォントで表示されています。PDFに変換した際に別のフォントで表示され、見た目が異なってしまうのです。

▲GoogleドキュメントでArialが設定されている箇所が、PDFではMS Pゴシックが適用されている(Windowsパソコンの場合)

MS Pゴシックでは、改行位置がずれてレイアウトが崩れて、元の文書と見た目が異なってしまう場合があります。

▲改行の位置が変わり、レイアウトがくずれる

レイアウトをできるだけ維持するには、Noto Sans JPのフォントがおすすめです。Noto Sans JPは、アドビとグーグルが共同開発したフォントで、異なる環境でも表示が崩れにくいのが特徴です。Googleドキュメントでは、デフォルトのフォント一覧にNoto Sans JPがないので、「フォント」メニューの「その他のフォント」から追加して使用します。

▲Noto Sans JPを追加して使用する

ダウンロードしたPDFにはNoto Sans JPの極細ウェイトが適用されましたが、正しい位置で改行されています。

▲変換したPDFを見ると改行の位置が保たれている

AcrobatでGoogleドキュメントのファイルをPDFに変換する

クラウドベースのGoogleドキュメントなのに、PDFに変換するたびにファイルをダウンロードするのは非効率と感じる人もいるでしょう。そこで役立つのがAdobe Acrobatです。Acrobatのアドオン(拡張機能)を使えば、ダウンロードせずにPDFに変換できます。

使用するにはAcrobatとGoogleアカウントを連携させる設定が必要ですが、一度設定すればOKで、都度設定する必要はありません。いざというときに備えて、あらかじめ設定しておくとよいでしょう。

まずはアドビのサイトにアクセスし、画面右上の「ログイン」をクリックしてアドビアカウントでログインしておきます。

▲Adobeアカウントでログインする

次にGoogle Workspace MarketplaceのAdobe AcrobatPDFのページにアクセスします。Google Workspace Marketplaceは、追加機能を提供するためのアプリやアドオンをインストールできるストアです。Acrobatのアドオンも用意されているので、「インストール」をクリックし、メッセージが表示されたら「続行」を選択しましょう。

▲Google Workspace Marketplaceで「Adobe Acrobat:PDF」をインストールする

Googleとの連携を許可する必要があるので、「次へ」をクリックしてGoogleアカウントにログインします。

▲Googleアカウントでログインする

3つのチェックボックスがありますが、Googleドライブのデータにアクセスできるようにするため、「すべて選択」にチェックを付けて「続行」をクリックします。「続行」ボタンが見当たらない場合はスクロールして表示させてください。

▲Googleドライブのデータにアクセスすることを許可する

これでAcrobatのアドオンが使えるようになりました。Googleドライブにアクセスし、Googleドキュメントのファイルにマウスポインターをあてて、右端の三点リーダーから「アプリで開く」→「Adobe Acrobat:PDFの編集、変換、署名ツール」を選択します。「Adobe Acrobat:PDFの編集、変換、署名ツール」が表示されない場合は、ブラウザーを更新してください。

▲Googleドライブの画面で、三点リーダー→「アプリで開く」→「Adobe Acrobat:PDFの編集、変換、署名ツール」を選択

アカウントを選択する画面が表示された場合はGoogleアカウントでログインしましょう。また、Acrobatがアクセスを求めているという画面が表示された場合は、信頼できるツールであることの確認なので「続行」をクリックします。

▲「続行」をクリックする

Acrobatの画面にファイルが表示されました。左のメニューにある「PDFに変換」を選択します。「PDFに変換」が非表示の場合は、画面左上の「すべてのツール」を選択してください。

▲「PDFに変換」をクリック

PDFに変換できました。この方法ならブラウザーだけで変換できるため、ダウンロードもアプリの起動も不要です。

▲AcrobatでPDFに変換

変換したPDFを編集する

変換したPDFはGoogleドライブに保存され、ダブルクリックで開くことができ、そのまま編集も可能です。

▲GoogleドライブでPDFをダブルクリックする

上部にある「アプリで開く」をクリックし、「Adobe Acrobat:PDFの編集、変換、署名ツール」を選択します。先ほどのアドオンをインストールしていない場合は、選択項目に表示されません。

▲「アプリで開く」→「Adobe Acrobat:PDFの編集、変換、署名ツール」を選択

Acrobatの画面にPDFが表示されます。設定されているフォントやレイアウトによっては、変換後に行間や段落間が広がりすぎることがあります。改行は正しくできていても、段落の余白が不自然に広がってレイアウトが崩れたり、意図しない位置で改ページされたりする場合もあります。

そのような場合は、「編集」タブの「間隔」または「段落の後の間隔」のボックスで調整しましょう。複数箇所に設定する場合は、キーボードの「Ctrl」キーを押しながら複数のテキストボックスを選択して一括で設定すると手早くできます。

▲「編集」タブで行間や段落間を調整できる

このように手軽にPDFを表示できますが、開くたびにAcrobatを選択するのは効率がよいとは言えません。そこで設定を変更しましょう。Googleドライブ画面右上にある歯車のボタンをクリックして設定画面を開き、「アプリの管理」の「Adobe Acrobat:PDFの編集、変換、署名ツール」の「デフォルトで使用」にチェックを付けます。

▲Googleドライブの設定画面で「Adobe Acrobat:PDFの編集、変換、署名ツール」の「デフォルトで使用」にチェックを付ける

次回からは、GoogleドライブのファイルをダブルクリックするだけでAcrobatの画面に表示されます。わずかな時間でも快適に進められるので、設定しておくのがおすすめです。特にGoogleドキュメントで埋め込めないフォントを常用する場合や、アドビの電子サイン機能をよく利用する場合に役立ちます。

AcrobatとGoogleドライブを連携させるとより便利

さらに、PDFの管理にAcrobatを活用すると作業効率が上がります。ファイルがアドビクラウドストレージやGoogleドライブに分散していると、目的の文書を探すのに時間がかかります。そこで、AcrobatとGoogleドライブを連携させ、一元管理できるようにしましょう。

Acrobatのサイトにアクセスし、「文書」タブで左の「アカウントを追加」を選択し、「Googleでログイン」をクリックしてログインします。

▲「文書」タブで左の「アカウントを追加」を選択し、「Googleでログイン」をクリック

先ほどはアドオンのアクセスを許可する設定でしたが、ここではAcrobatがGoogleアカウントへアクセスすることを許可します。「続行」をクリックして進みましょう。

▲AcrobatがGoogleアカウントにアクセスすることを許可する

Acrobatの「文書」タブを選択すると、左側のメニューに「Google Drive」が追加されています。クリックすると、Googleドライブ上のファイル一覧が表示されるので、PDFファイルを選択すればAcrobatで編集が可能です。

▲Googleドライブのファイルが表示される

同様にAcrobatデスクトップアプリでも、「ホーム」画面の「ファイルストレージを追加」でGoogleドライブと連携させることが可能です。

▲Acrobatデスクトップアプリのホーム画面で「ファイルストレージを追加」をクリックしてGoogleドライブを追加する

ただし、Googleドライブ上のPDFやExcelなどのファイルは表示されますが、Googleドキュメントのファイルは表示されません。

とはいえ、連携しておけばGoogleドライブにあるPDFをAcrobatから直接開いて編集もできるので業務効率が向上します。作業がシンプルになる分、別のファイルと間違えるミスも減らせるでしょう。

今回は、GoogleドキュメントをPDFに変換する方法と効率的な管理方法を紹介しました。「GoogleドキュメントをPDFに変換するとレイアウトが崩れて困る」と感じていた方は試してみてください。また、GoogleアカウントとAcrobatを連携させる設定は、一度してしまえば、それ以降はスムーズに作業できます。今後も文書管理はペーパーレス化が進んでいくと予想されますので、PDFを快適に使えるように環境を整えておきましょう。