【調査結果報告】小中高校向けAdobe Expressが児童生徒の主体性と創造性を引き出す
秋の新学期が始まる際、次のような課題が教員の共通の課題でした。
- 学習への興味が薄い、あるいは遅れ気味の児童生徒を引き付けるには?
- 学習基準を満たしながら、同時に創造性、コミュニケーション、コラボレーションといった必須スキルを教えるには?
- AIを児童生徒の思考を妨げるものではなく、思考を補助するツールとして授業に取り込むには?
今年初めに発表されたアドビの「教育における創造性とAI」レポートでは、創造性とAIリテラシーが今や未来に必要不可欠なスキルであることが示されました。それらは芸術やテクノロジーに秀でた児童生徒だけでなく、小中高校から大学・専門学校で学ぶすべての児童・生徒・学生にとって、非常に重要なスキルなのです。
今回の新しい調査「小中高校向けAdobe Expressによる学習成果の向上」では、学習成果を最優先に設計された、学校教育に適したツールを選ぶことの効果と重要性を調査しました。
実際の授業での小中高校向けAdobe Express の活用例
2025年春、Leanlab Educationは英語、理科、数学、社会科などの主要教科を担当する10名の小中高校の教員の協力を得て調査を実施しました。調査期間中、教員たちはAdobe Expressのテンプレート、動画チュートリアル、児童生徒向けのステップごとの指示などで構成された、すぐに使えるガイド付きアクティビティを授業で活用しました。これらは、ポスター・動画・インフォグラフィックなどマルチメディア形式で児童生徒が創造的に学習成果を発表できるよう設計された教材で、その多くには生成AIの活用が組み込まれています。
つまり、今回の調査の中心テーマは「小中高校向けAdobe Express、とくにガイド付きアクティビティを使用することで、児童生徒の主体性や深い学びは向上するのか?」でした。この問いに対する結論は、あらゆる面で「Yes」であったといえます。
では、具体的にご紹介します:
1. 普段は関心を示さない児童生徒も含め、主体性が向上
10人中9人の教員が、小中高校向けAdobe Expressを使用した授業では、児童生徒が従来の授業よりも積極的に取り組んでいたと回答しました。しかも、それは単なる「参加」だけにとどまらず、自らの作品への誇りや学びの主体性、他の生徒に作品を共有することへの意欲も伴うものでした。
あるケースでは、普段は授業に無関心な生徒が、印刷した自分の作品を見せるために友達を校舎の廊下まで引っ張っていったと教員が語っています。
「その生徒は立ち止まって『見て、これ僕が作ったんだ』と言ったんです。そのとき私は『彼が学校の課題でこんなことするなんて今まで一度もなかった』と思いました。それは私にとって本当に目から鱗の瞬間でした…彼が自分の作品を誇りに思い、友達にその出来栄えを見せたいと思っている姿を見るのは感動的でした」
- Amanda(英語科教員)
なぜこのような変化が起きたのでしょうか?それは小中高校向けAdobe Expressとガイド付きアクティビティの設計に理由があります。ビジュアル、音声、生成AIを組み合わせた構成が、レポートやワークシートといった従来の課題形式に自信を持てない児童生徒の興味をひきつけます。そして、洗練されつつも個性を表現できる作品を作成できるツールによって、子どもたちの自信とモチベーションが高まるのです。
2. 創造的思考力の強化とより本格的な自己表現
調査に参加した教員全員が、小中高校向けAdobe Expressは児童生徒の創造性をより効果的にサポートすると答えました。また、10人中8人が、ガイド付きアクティビティが児童生徒のアイデアを新しい方法で表現するのに非常に役立ったと考えています。
こうした成果が上がった主な要因の1つとして、自己表現の際のよくある障壁がAIを活用したクリエイティブツールにより取り除かれる点が挙げられます。絵を描いたり構図をつくったりすることが得意ではなくても、視覚的にアイデアを伝えることができるので、児童生徒は「作業」ではなく、「考える」ことに集中できるのです。
「生成AIは新たな創造性の形です… これにより、すべての児童生徒にとって公平なフィールドが広がっています」
-Danielle(英語科教員)
3. コミュニケーションとコラボレーションのスキルの向上
10人中9人の教員が、ガイド付きアクティビティが従来の課題よりも児童生徒のコミュニケーションスキルを向上させるのに効果的だと述べました。また、全員が、児童生徒の間で単なる答えの共有ではなく、アイデアについて本質的な議論を交わすコラボレーションが見られたといいます。
ある授業は、生徒たちが協力しながら生成AIのプロンプトを修正し、意図したメッセージをより効果的に伝えるためのよい言い方を模索しました。彼らはフィードバックを共有し、より深い意味を考え、言葉の選択を明確化しました——これはまさに、学びを深めるメタ認知的対話の典型です。
「私は子どもたちにこう言いました。『言葉の選び方を見直してみよう。誰かに読んでもらって、その人があなたの説明からどんなイメージを持つか確認してみて』と。その過程で彼らは『ああ、そういうふうに伝わってしまうこともあるんだ』と気づき、言葉を追加していくんです。彼らが考え抜くプロセスを見るのは本当に素晴らしい体験でした」
-Beatrice(主要教科担当教員)
この成果は、小中高校向けAdobe Expressが豊富なコラボレーション機能を備えているだけでなく、本質的に共有しやすく、議論に値するものであることによると考えられます。児童生徒たちは仲間の意見を気にかけており、創造的な成果物があることで、自分のアイデアを明確かつ魅力的に伝えたいという意欲が高まるのです。
4. 学問的内容の深い理解の促進
AIツールが児童生徒の学習内容の深い理解に役立つと考えていた教員は調査前には10人中6人に過ぎませんでした。小中高校向けAdobe Expressを使用した後では、10人中8人がガイド付きアクティビティは従来のツールよりも理解を深めるのに効果的だと回答しました。
なぜこの変化が起きたのでしょうか?教員たちは、創造的な表現が、単なる文章だけでは見えなかった洞察を児童生徒にもたらすことが多いと指摘しています。これは、内向的な子どもや、多言語環境にある子ども、または文章を書くことに自信のない子どもにとって特に顕著な傾向でした。
「子どもたちが生み出した作品の質の高さに感銘を受けました。適切な動機付けさえあれば、彼らがさらに力を発揮するということを私はもしかすると見落としていたのかもしれません」
-Danielle(英語科教員)
また、いくつかの事例では、児童生徒たちが活動を通じて学問的な内容と現実世界のアイデアとを結びつける様子が見られました。例えば、歴史と時事問題を繋ぐミームを作成したり、研究結果を視覚的に伝えるインフォグラフィックをデザインしたりしました。
5. 将来の学びと人生に向けたより良い準備
10人中9人の教員が、小中高校向けAdobe Expressは児童生徒が将来の学業やキャリアに備えるのに役立ったと答えました。創造的思考やAIリテラシーのスキルに加え、彼らが時間管理、チームワーク、継続的改善、そしてコミュニケーション対象の意識といった重要なソフトスキルを身につけていることに教員たちは気づいたのです。これらのスキルはいずれも、将来の成功のために不可欠です。
例えば、ある数学とロボティクスの授業では、生徒たちがAIを使って将来の職業に就いている自分の姿を生成しました。これまでは消防士やエンジニアなどのストック画像を使用していましたが、今回は実際に自分たちに似た画像を作成することで、学習体験がより現実的で価値あるものに感じられるようになりました。
「生徒たちは自分が年を重ねて職業に就いている姿を思い描けたんです。知らない大人が消防士をしている写真ではなく、生成されたのは自分自身がその職業に就いている姿です。だからこそ、彼らはより熱心に取り組めたのです」
-Gwen(数学・技術科教員)
さらに、普段は自分が創造的だと思っていない生徒も、アクティビティを通じて成功体験と自信を得ることができたと、一部の教員は述べています。これは、スキル育成と将来の幅広いキャリアの可能性につながる公平な学習機会の促進という点でも重要な変化であるといえるでしょう。
この調査は主に児童生徒の成果に焦点を当てていますが、教員にとっても大きなメリットがあることが明らかになりました。多くの教員が、このアクティビティについて「学習基準を満たしながら準備の手間を最小限で済むこと」「教える授業ではなく活動を支援すること」、そして「児童生徒の興味や能力について新たな発見ができること」を評価しています。
創造性とAIがもたらす新たな可能性を再構築する
この調査は、創造性、カリキュラム、テクノロジーが丁寧かつ意図的に融合したときに何が可能になるのか、その魅力的な一端を示しています。このような取り組みは、つくることの楽しさ、現実社会とつながる実践的な活動、児童生徒の立場に立った未来への道筋を示しています。
また、教育における生成AIの役割を再定義するものでもあります。AIは児童生徒の思考を置き換えるのではなく、それを加速させる役割を果たします。小中高校向けAdobe Expressは、安全で責任ある形で授業にAIを導入するために設計されており、学びを次のレベルへ進めるために必要な機能・支援、そしてきっかけを提供します。
学校が未来を見据える中で、今回の調査からの学びは明確です。創造性は、補足的なものや、「できればあったほうが良いもの」ではなく、すべての学びを引き上げる欠かせないものです。児童生徒には自分たちが学んだことを意味のある形で表現する機会が、教員にはそれを実現するためのツールが与えられているとき、その成果はテストの点数では測れない先を行くものになります。子どもたちの自信と好奇心、そして社会とのつながり、これこそが、将来に続く学びの形と言えるでしょう。
※このブログは米国で2025年7月に掲載されたものの日本語抄訳版です。