Adobe ExpressやFireflyでボードゲーム制作。「つくる」ことの楽しさを実感できるSTEAM教育の実践 ~聖徳学園中学・高等学校

東京都武蔵野市にある聖徳学園中学・高等学校では、中学1年生から高校2年生まで5年間のSTEAM教育を展開しています。今回は、その中でもAdobe Expressを使った「ボードゲームデザインプロジェクト」について、情報科・総合科主任で中高一貫探究教育推進委員長の木村剛隆先生にお話をうかがいました。

同校のSTEAM教育は「自分・他者の幸せのために何かをつくり出すことができ、それを嬉しい・楽しいと思える」資質を育むことを目標に、美術や情報などの教科と連携しながらArt、Design、Academicについて段階的・探究的な学びを実践しています。

ボードゲームデザインプロジェクトは、カリキュラムの中の4年目(高校1年生・8クラス)に、「情報I」の授業で取り組む活動です。生徒たちは、身近な問題について遊びながら学びの深まるボードゲーム(カードゲームやアプリ等)を、1年かけて制作します。

「ボードゲームデザインプロジェクト」の1年間の流れ

1学期は主に個人でゲームの企画を考え、各自でプレゼン動画を制作。2学期はチームで持ち寄ったゲームアイデアから1つを選んで企画書をブラッシュアップし、ゲームの説明書を作成します。3学期には実際に遊べるプロトタイプを制作し、最終的には開発したボードゲームの概要をポスターにまとめてプレゼンをします。

テキスト が含まれている画像 AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。

使うツールは生徒が自由に選択。Adobe Expressを使う生徒も

このプロジェクトでは、生徒たちが使うツールをあえて指定せず、自分が使いやすい道具を選んで自由に作る方針です。

同校の生徒デバイスはiPad。木村先生は、1学期にAdobe Expressをツールの選択肢の1つとして生徒たちに紹介しました。アニメーションの作り方や、Adobe Fireflyを使った画像生成や画像処理などを簡単に説明し、まずはロゴ作りやアニメーション制作を行いました。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。

「プロジェクトの最初のところで、アイスブレイク的な意味もこめて、まずは使い方を紹介しました。情報の授業だけでなく、他教科でもプレゼンを作ったり発表したりすることはあるので、そのときにも作りたいものの発想に繋がって、いろいろな活動に使ってもらえるようにしたいと考えました」と木村先生。

素材作りが簡単にできるAdobe Expressはボードゲーム制作と相性がいい

実際にプロジェクトの活動の中でも、 ゲームのロゴ制作や、ターゲットペルソナの作成、ゲーム全体のイメージを予め画像生成するなど様々な場面でExpressが使われました。「Expressは直感的に使える点がよいと思いました。わからないところを聞いてきた生徒にも少しアドバイスするとすぐ使えるようになります」(木村先生)

■生徒たちの企画書の例

パソコンの画面 AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。

表紙のイメージ画像やカードをFireflyで生成している

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タイトルロゴや、ペルソナの男の子の写真をFireflyで生成している

これまでであれば、フリー素材のイラストや写真を探してきて無理やり当てはめていたところに、自分で生成した画像を使うことで、オリジナリティのあるプレゼンができるようになり、思い入れが強まる様子がみられたとのこと。「イメージをイラストで描くのは難しい生徒も、Expressの生成AIなら簡単にできますし、著作権についても安心。誰もが表現しやすくなるからこそ、ボードゲーム制作とExpressは相性がいいなと感じます。素材作りだけでなく、そのままプレゼンまで、オールインワンで制作できますから」

Adobe Expressを使うことで制作物の質が格段にアップ

また、木村先生は、デザイン性や制作物としての質が上がったという手応えも感じるといいます。1学期に個人で作っていた企画書と、2学期にチームで作り上げた企画書では、その進歩は歴然としています。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。

本に関するボードゲームの企画書から見る生徒の成長。左が1学期に個人で作成した企画書、右が2学期にチームで作成した企画書。

~生徒たちもからも次のような感想が聞かれています~

・論理性や説得力を意識した企画書の作成ができるようになった。

・お互いにフィードバックする姿勢が身についた。

・教員も道具として、積極的にフィードバックをもらうようになった。

・比較的楽しみながら制作する雰囲気になった。

・生成AIと壁打ちしてアイデアを出すようになった。

アドビツールの活用で広がるクリエイティブな学びの可能性

来年は、Adobe Expressを使って、ビジュアルでのアイデア出しなどにもチャレンジしていきたいと考えている木村先生。文字情報だけでアイデアを練り上げていくのではなく、画像生成AIでイメージを生成し、それをつなげてビジュアルマップのようなものを作る活動を構想しています。「Expressにとどまらず、Illustrator やPhotoshop、Premiereなどの基本のアドビツールを、授業の中ですべての生徒がある程度使えるようにしたいと思っています。生徒たちのレベルがかなり高まってきているので、さらにもう一歩行ってほしいんです」

他の教科との連携でも、クリエイティブな学びを広げていきたいと語る木村先生。同校のSTEAM教育が掲げる、誰かのために「何かを作りだす」喜びや楽しさを育む学びの、今後の広がり・深まりに注目です。