AI時代のキャリアを拓く:立命館大学「Adobe Creative Campus Day」で学ぶ「伝わる」就活術と動画教育の最前線
2025年11月7日、「Adobe Creative Campus Day」が立命館大学の大阪いばらきキャンパスにて開催されました。学校法人立命館は日本で最初のAdobe Creative Campusに2024年4月に加盟し、全学生にAdobe Expressを導入することで、発想力・表現力の育成を学園全体で推進しています。本イベントでは、AI時代のキャリア形成で差をつける「伝わる就活術」と、教員向けの「効率的な動画制作ノウハウ」の2つのセミナー、およびクリエイティブ体験を気軽に楽しむポップアップイベントが行われました。
AI時代の”伝わる”就活術 〜Adobe Expressで魅せるガクチカ〜
本セミナーには、株式会社ワンキャリアのマーケティング部大学渉外担当の伊東 有希 氏と、アドビ株式会社 アドビプロフェッショナルサービス事業本部 プロジェクトマネジメント本部 部長の冨田 洋平が登壇し、AI時代における自身の強みをアピールするための就職活動(就活)の具体手法について解説しました。
SEEDSで行われたワークショップの様子
ワンキャリアの伊東氏の解説では、就活でのAI利用はすでに一般化しており、約7割の学生がAIを利用したことがあると回答しているというアンケート結果も提示されました。
株式会社ワンキャリアの伊東氏
一方でAIが普及した結果、従来のエントリーシート(ES)中心の選考では学生の個性や強みが企業側に見えにくくなるという新たな課題が生じています。このため、企業側は学生の理解を深める目的で、自己PR画像や動画などのコンテンツの提出を求めるケースが増加しています。文章だけでは伝わらない「自分らしさ」を表現する力の必要性がますます高まっているのです。
それを踏まえて、アドビの冨田から、Adobe Expressを活用した視覚的な自己PR画像を作成するための4つのポイント、「誰に、なぜ見てもらうかという目的を整理する」→「目的を表現するために必要な要素を検討する」→「自分の強みをテンプレートに落とし込む」→「デザインを調整して仕上げる」を説明し、受講者は具体的なワークに挑みます。
アドビ株式会社 プロジェクトマネジメント本部 部長 冨田 洋平
中途採用の面接官経験者でもある冨田は、書類選考は「資料の見やすさ」は大前提。その上で、募集要項との一致、内容の具体性と定量性、独自性、「一度面談で話を聞いてみたい」という魅力、そして、この会社でどんな活躍をしてくれるのかという企業視点を持っているかが重視されることを強調しました。また、AIで作成した文章は採用側が感覚的に分かるため、奇をてらうのではなく、「中身の充実と自分らしい表現」が重要であることを受講者に伝えました。
ワークショップの様子
ワークショップの最後には、受講者がAdobe Expressで作成した自己PR画像に対してフィードバックが行われました。「柔軟性と周囲との協調」に関する作品について、冨田は「内容が具体的で、さらに深く聞いてみたいと思わせる」点が良いとし、伊東氏はエピソードだけでなく「結果を出すまでのアクション」が書けているため効果的だと評価しました。
学生が作成した自己PRスライドを大型スクリーンで共有
また、「人や知を繋ぐ」というテーマで作成した別の作品に対し、伊東氏は「デザインも自然で、ご自身の思いが伝わる」と評価しました。ただし、企業に伝える強みをもう一つ付け加えることで、より面談の意向が高まるという改善点も示されました。
Adobe Expressを初めて使う学生も多くいましたが、テンプレートを活用することで、短時間で完成度の高い自己PR画像を仕上げることができ、ツールの手軽さと実用性を実感する場面となりました。
授業コンテンツ制作の効率化:+R授業用動画作成セミナー
本セミナーは、今年度から立命館大学で導入された「+R(プラスアール)授業*」の動画作成にあたって教員の業務効率化とスキルの向上を目的として開催され、講師はアドビ米国本社のヤマギシアツコが務めました。
*立命館大学では、2025年度から95分×14週の学年暦を導入する学部・研究科において、20分のVOD授業等を実施しています。この20分のVOD授業等を「+R授業」といいます。
教職員の皆さまにお集まりいただきセミナーを開催
ヤマギシは、敷居が高く思われがちなAdobe Premiereもコツを押さえればとても簡単なステップで動画制作が可能になることを強調しました。その簡単なプロセスとは、「クリップ(素材)を順番に並べる」→「不要な部分をカットする」→「音を調整する」→「字幕を入れる」→「書き出す」という5つの基本ステップのみ。そして、Premiereのワークスペースの各パネルの役割を料理に例えて、タイムラインを「まな板」、プロジェクトパネルを「冷蔵庫」、プログラムモニターは結果が反映される「盛り付けるお皿」と説明します。
大型スクリーンに投影されたPremiereの画面を見ながら解説
今回のワークショップでは、先生方が日常的に作成するスライドをベースに、Teamsで録音したナレーション(音声ファイル)を合わせるという、教育現場で馴染み深い形式を題材としました。
ワークショップの様子
動画編集の効率化の核となるのが、Premiereの自動文字起こし機能です。新規プロジェクト作成時に文字起こしをオンにし、音声ファイルをタイムラインに入れるだけで、文字起こしが自動的に始まり、この文字起こしからキャプション(字幕)を自動で生成することができます。参加者は実践的なワークフローとして、ナレーションに合わせてスライド(静止画)を配置し、内容に合わせたビデオ素材をタイムラインに重ね、文脈と映像をマッチさせる手法をハンズオン形式で学びました。
音声ファイルから自動で文字起こしが行われる様子
創造性の発揮と交流:ポップアップイベント
セミナー会場外では、Adobe Student Ambassador*とともに、学生が気軽にクリエイティブ体験を楽しむためのポップアップイベントが実施されました。
*学生の視点からアドビ製品の活用と、立命館学園全体のクリエイティブなデジタルリテラシー向上を推進する役割を担います。立命館大学と立命館アジア太平洋大学の学生らが日本で初めてアドビに認定されました。
TERRACE GATEで行われたポップアップイベント会場の様子
Adobe Expressフォトブースでは、撮影した写真にExpressのテンプレートやAI機能を使ってエフェクトやデザインを加えその場ですぐにプリントアウトして楽しむ様子が見られました。
Adobe Expressフォトブースの様子
また、キーホルダーブースでは、Adobe Expressでデザインしたコンテンツを印刷して、キーホルダーにして持ち帰るアクティビティが行われました。
Adobe ExpressキーホルダーDIYブースの様子
「Adobe Creative Campus Day」は、AI時代に求められる“伝える力”と“創造する力”を育む場として、新しい学びの可能性を広げる機会となりました。アドビは今後も大学のニーズに応じた支援やAdobe Student Ambassadorの活動を通じて、デジタルリテラシーと創造力を活かした教育環境づくりをサポートしていきます。
※記事中の所属・肩書は取材時点のものです。