僕が「センスはいらない」と言い続ける理由 ー Photoshop実践編に込めたリアルな現場感 |講師インタビュー:しまやす
「Adobe Photoshopコース|実践 バナー編」の講師を務めるしまやす先生は、ヤフーのデザイン部門からベンチャー企業へ転職し、本業の傍ら、webデザインに関する制作やコンサルティング、本の執筆、SNS発信など、個人でも精力的に活動を続けています。制作現場で培ったノウハウをわかりやすく図解にしてSNSで発信したところ、たちまちフォロワー数が3万人を突破。それを一冊の本にまとめた著書『デザインにセンスはいらない デザインの解剖図鑑』は、多くのデザイン初心者に愛読されています。
大卒ニートから一念発起、webデザイナーに転身
元ヤフーのデザイン責任者という経歴を持つ、しまやすさん。その後も会社員として、そして個人クリエイターとして、webデザインに関する仕事を一貫して続けてきました。そんなしまやすさんが、デザインの世界に飛び込んだきっかけは何だったのでしょう。
「もともと大学はデザインとは全く関係のない経済学部だったんですけど、就職するとなったときに、スーツを着て働くのに抵抗があって、しばらくニートのような生活をしていました。学生時代に音楽をやっていた影響もあって、何か作る仕事がしたいなと考えていた頃に、webデザインが世の中で徐々に注目されるようになっていて、『これだ!』と思って、半年くらいビジネススクールのデザインコースに通いました。決まるとすぐ行動して、とことん突き詰める性格なので。それがデザインの入口でしたね」
アートはセンス、デザインは手段
「デザインにセンスはいらない!」という持論を掲げるしまやすさん。思わず「えっ?」と驚いてしまいそうなこの言葉の裏には、どんな考えがあるのでしょうか。
「僕にとってデザインは、ゲームというか、謎解きに近い感覚ですね。何かの課題があって、それをどうやってクリアして、形にしていくか。そのプロセスがすごく楽しいんです。うまく繋がったときの達成感とか、やっぱり気持ちいいですよね。
僕は、アートとデザインは似ているようで全然違うものだと思っているんです。アートは自分の感性(センス)を表現するもので、見た人がどう感じるかは自由。それに対してデザインは課題解決の手段。
例えば駅の券売機のUIとか、高齢の方から子どもまで誰でも使えるように設計しなければいけない。目的がはっきりしていて、そこに対して最適な方法を選ぶ必要がある。そこがデザインの醍醐味なんだと思います」
なるほど。「自分にはセンスがないから、デザインは向いていないかもしれない」と悩んでいる方にとっては、何とも心強い言葉ですね。」
突然のDMから始まった、講師としての新たな挑戦
本業と副業を両立しながら、webデザインやPhotoshopに関する情報をSNSで積極的に発信してきたしまやすさん。その活動が、「Adobe Photoshopコース|実践 バナー編」の制作準備を進めていたクリエイティブカレッジスタッフの目に止まらないはずがありません。
「あ る日突然、僕のSNSアカウントにアドビさんからDMが届いた んですよ。『クリエイティブカレッジについてお話させてください』と。その後、オンラインで話したら『Photoshopの実践編の講座を新たに作っていて、ぜひ講師をお願いしたい』と言われて。
最初は卒業課題を見てほしいとのことだったので、二つ返事でOKしたんですが、途中から『バナーのリサイズの講座も見てくれませんか?』ってことで、気づいたら2つの講座を担当することになってました。(笑)
Photoshopは長年使ってきて、これをやれと言われたら全部できる自信はあるんですけど、果たしてアドビが推奨する使い方をしてきたかというと自信がなく、そこはちょっと不安でしたね」
講座の準備が始まってからも、不安そうには見えなかったしまやすさん。一度決めたらとことんやる。さすがです。
『実践編』だからこそ、本当の仕事に近い講座を目指した
クリエイティブカレッジ第7期より「Adobe Photoshopコース|実践 バナー編」の講師を務めることになった、しまやすさん。講座を作るにあたってこだわった点、苦労した点はどこだったのでしょうか。
「今回は『実践編』という講座だったので、できるだけ本当の仕事に近い内容にしたいと思っていました。単に操作を覚えるだけじゃなくて、『仕事だったらこう悩むよな』『こういう場面で判断求められるよな』っていうリアルな部分まで体験できるようにしたかった。だから、結構悩みましたね。単純に作るだけじゃなくて、ちゃんと考えてもらえる構成にしたかったので、『どういう課題の出し方をしたら、頭を使ってもらえるかな?』っていうのを何度も考えました。
結果的に、受講生からは『ちょっと大変だけど勉強になる』という声ももらえたので、頑張った甲斐があったかなと感じています。仕事でもいいものを作ろうと思ったらやっぱり『産みの苦しみ』ってあるじゃないですか。そこをちゃんと再現できるような講座にしたかったというのが、僕の中で一番の大事なポイントでした」
「伝えたい」が伝わるデザインは、やっぱり強い
これまで多くの課題作品を見てきた中で、しまやすさんの印象に残っている作品とはどういうものでしょうか。
「やっぱり強く印象に残ってる作品っていうのは、どれも『軸』がしっかりしてるんですよ。何を伝えたいのかが明確で、そこに強い意志を感じる作品って、やっぱり心に残ります。
たとえば、卒業課題の作品で、ある商品をどうやって魅力的に伝えるかっていうテーマだったんですね。その中で、『お得さを伝えるのか』『商品の魅力を前面に出すのか』っていう方向性がちゃんと整理されていて、コピーもデザインも全部が一貫してたんですよ。
『私はこれをこう伝えたいんだ』っていう明確な意志がデザインから伝わってくる。見た瞬間に、『これがやりたかったんだな』って分かる作品って、やっぱり強いですよね。そういう作品には、こちらも刺激を受けますし、純粋に感動します」
Photoshopは慣れれば一生モノのスキル
「僕はデザインを通じて、人生が豊かになったと本気で思ってます。自分が作ったもので誰かが喜んでくれるって、すごく嬉しいし、やっぱりそれが原動力になります。Photoshopも最初は大変だけど、慣れれば一生モノのスキル。毎日少しずつでいいので、楽しんで続けてみてください。きっと、どこかで『やっててよかったな』って思える瞬間がきっと来るはずです」
「Adobe Photoshopコース|実践 バナー編」は、しまやすさんをはじめ、長年プロの制作現場を経験してきた講師たちのノウハウがぎっしり詰まった講座となっています。これまで身につけたPhotoshop のスキルを仕事に活かしてみたいという方は、ぜひ一緒に学んでみませんか。
しまやす
元ヤフーデザイン責任者。Xで、『誰でも楽しく、すぐ使えるデザインのノウハウ』を発信。Webサイト・チラシ・バナー・LP・ロゴ・名刺など幅広くデザインを手がけながら、デザイナーの育成もマンツーマンで行っている。著書は『デザインにセンスはいらない デザインの解剖図鑑』。