色彩のプロフェッショナルが教える、色の難しさを楽しさに変える秘訣 |講師インタビュー:桜井 輝子

クリエイティブカレッジの各コースにおいて、色彩学と配色に関する講座を担当する桜井 輝子 先生。東京カラーズ株式会社の代表取締役を務め、人に役立つ色彩の提案、企業の商品を魅力的に演出するためのカラーコンサルティングや研修、大学・専門学校での色彩学講師、色彩教材の企画制作など、色にまつわるさまざまな分野で活動を行っています。これまで執筆した書籍は25冊以上。代表著書である『配色アイデア手帖』は累計45万部を突破し、クリエイターの配色バイブルとして世界中で愛読されています。

「紅色」との出会いがすべての始まりだった

色彩の世界に携わって30年以上──桜井さんが「色」に心を奪われたきっかけは何だったのでしょうか。

「最初に興味を覚えたのは、小学生の時。母に連れられて行った銀座で、たまたま日本の伝統色を紹介する展示があって、垂れ幕に『紅色』とか『藍色』とか、あまり見慣れない美しい名前が並んでいたんです。それがものすごく印象的で、今でも映像としてはっきり記憶に残っています。

実際に色彩の道に進んだきっかけは、最初に入った不動産会社で受付の仕事をしていた頃。どうも仕事に馴染めず、『このままじゃ何も身につかないな』という危機感があったんです。ちょうどその時に、新聞で『日本初のカラーリスト養成スクールが開校』という記事を見つけて、もう迷わず飛び込みました夜間の学校に通いながら、提出課題の入った大きな袋を抱えて賑やかな六本木の街を歩いたこと、今でもすごく覚えています。だから、華やかなスタートでもなかったし、エリートでもない。でも、色の美しさに惹かれて、気づけばずっとこの道を歩いてきた感じですね」

小学生で日本の伝統色に心惹かれるとは、30年以上色に関わってきた桜井さんならではの感性ですね。

色選びに迷わないために、「自分の軸」を持つということ

「色選びって、どうしてこんなに難しいんだろう?」 ── そんな多くの受講生の悩みに、桜井さんは「色の軸」という考え方で答えてくれました。

「これまでたくさんのデザイナーさんとお会いしてきましたが、『⾊に⾃信がある』って堂々と⾔い切る⽅は、実はほとんどいないんです。どんなに有名な⽅でも、『実は配⾊ってちゃんと習ったことがないんです』とおっしゃる⽅もいます。つまり、⾊ってそれだけ奥が深い選択の⾃由があるからこそ、逆に選ぶのが難しいんです。

色選びに迷わないためには、自分の軸を持つことです。『自分が創りたい世界観はどんなものか、伝えたいメッセージは何か』、それが配色を決めていく上での軸になります。軸が決まれば、あとは配色のルールに従って、目的に沿った色をスムーズに選べるようになります」

新幹線の中で届いたアドビからのメール

クリエイティブカレッジの講師として声がかかったとき、桜井さんはどう感じたのでしょうか。

ある日、突然メールが届いたんです。新幹線の中でスマホを見ていたら、『アドビ』って文字が目に入って、『えっ、何?』って。その頃、仕事でアドビ製品を毎日使っていたので、正直 最初はスパムかと思った んですよ。でもよく読んでみると、『新しく立ち上げるオンラインスクールの件で、一度ご相談させていただきたい』という内容でした。おそらくカリキュラムの提案か何かだろうと思ったのですが、実際にオンラインでご挨拶した際に、『クリエイティブカレッジの講師をお願いしたい』と聞かされて、本当にびっくりしました。でも、すごく嬉しかったですね。自分がずっとお世話になってきたアドビさんからのお話だったので。もう即答で『やります!』って答えました

制約のない自由な講座作り

現在、桜井さんはクリエイティブカレッジで、基礎編と実践編にまたがる3つの講座を担当しています。どのような想いを込めて、講座を作られたのでしょうか。

「色彩学とか、配色とか、学ぶことはすごくたくさんあるんですけど、各講座の時間は60分と限られています。そのため ちょっと地味だけどこれだけは抑えておくべきポイントを3割、残りの7割は、35年間の経験の中で絶対おすすめの面白いエッセンスを厳選して詰め合わせ にしています。重箱の中におせち料理を詰める感じですね。

そうして作ったカリキュラムの骨子を運営の方々に出すと、基本的にはOKをいただけるんです。すごく信頼してくださって、ありがたいですね。大きな会社ほど色々と制約が多かったりするんですけど、クリエイティブカレッジは本当に自由で、そのおかげで楽しく、のびのびと講座を作ることができました

受講生の真剣に取り組む姿勢に、昔の自分を重ねて

クリエイティブカレッジ第1期から講師を務め、ご自身でも講座を受講された桜井さん。受講生たちの姿勢に、どのような印象を持っているのでしょうか。

「最初は、オンデマンドだから一方通行の講義になるのかなって思っていたんです。でも、実際に関わってみたら、もうびっくりするくらい 受講生のみなさんの熱量が高い んです。中にはお仕事しながら真剣に取り組んでいる人もいて、自分がカラーの学校に通っていた頃と重なるところもあって、同志のように思えたりして。しかも、オンライン上で見ず知らずなのに、受講生同士で『いいね!』を押し合ったり、励まし合ったりしてて、すごく温かい雰囲気があるんですよ。なんでこんなに応援し合えるんだろう? って考えると、やっぱり運営の方たちや、登壇されてる講師の皆さんの熱い想いが伝わってるからなんだろうなと感じました。その輪の中に自分もいられることが本当に嬉しいし、楽しいです。やってよかったなって、心から思っています

最初は、いいなと思った配色を真似してみること

配色に苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。そんな方に向けて、桜井さんに「配色を楽しむための秘訣」を伺いました。

「これ素敵だな、かっこいいな、と思った配色を、まず真似してみるのがいいかと思います。たとえ同じ色でも使う形や面積が変われば、まったく違う印象になるんです。自分で1から考えなきゃいけないって思うとハードルが上がってしまいますが、まずはいいなと思った配色を真似するところから始めてみる。そ こから少しずつ、自分なりのアレンジができるようになってくると、自然と楽しく なってきますよ。配色って、本当はもっと気軽でいいんです。そうすればきっと、いつの間にか自分らしい配色が見つかっていくと思います」

桜井さんの講座では、色彩の奥深さと楽しさを、実践的かつ親しみやすい形で学ぶことができます。配色に自信がない方も、色の選び方や組み合わせの考え方を通じて、自分らしい表現を見つけるヒントが得られるでしょう。

クリエイティブカレッジでは、桜井さんのカラー講座のほかにも、フォントやレイアウト、マーケティングなど、さまざまな分野に特化した講座も多数ご用意。アプリの使い方だけでなく、クリエイティブに必要な知識や感性を育てる学びの場として、きっと新しい発見があるはずです。

色に惹かれたあの日の桜井さんのように、あなたも「何か」に心を動かされる瞬間を、クリエイティブカレッジで見つけてみませんか。

桜井 輝子

東京カラーズ株式会社 代表取締役。日本色彩学会正会員。日本人として初のスウェーデンNCSカラーアカデミー認定講師資格を取得し、色に関するさまざまなコンサルティング・研修・講座・セミナーを実施。著書は『配色アイデア手帖』『日本の美しい色と言葉』『世界を彩る色と文化』など多数。

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