産学官連携で教育機関×ICTを考える−AXIES2025年度年次大会に出展−
2025年12月1日から3日まで、札幌コンベンションセンターで大学ICT推進協議会(以下、AXIES)の年次大会が開催されました。AXIESは、ICTを利活用した教育・研究・経営の高度化を図り、日本の教育・学術研究・文化や産業の発展に寄与することを目指している協議会で、毎年12月に年次大会が行われます。北海道大学を幹事校として開催された今回の年次大会には、3日間で延べ4,500人を超える来場者が集まり、最新の取り組みや直面する課題について、さまざまな視点からの情報交換が行われました。
アドビは大会期間中に2つの発表を行い、同時に製品やサービスを紹介するブースを出展しました。
AI時代の高等教育が直面する課題と解決のためのアプローチ
大会初日にはソフトウェアライセンス部会の場で、アドビ 教育事業本部 執行役員 本部長 小池晴子および教育事業本部 戦略営業部 石澤眸が「AI時代における高等教育新潮流−AI駆動型ドキュメントセキュリティとトランスファラブルスキル育成の可能性−」と題し、生成AIの急速な普及に伴い、高等教育機関が直面する課題に対し、アドビ製品が解決策の一つとなりうる技術や教育アプローチについて、次に挙げる内容などを紹介しました。
アドビ小池晴子による発表
フェイクや著作権侵害の問題にどう対応していくか
アドビでは、フェイクや著作権侵害の問題への対策として、画像生成AIのAdobe Fireflyやその機能を搭載したAdobe Express、Adobe Photoshopなどのアプリで、一次ソースの作成者情報に加え、いつどのような改変や合成を経てきたのかという来歴情報を付与する仕組みを実装しています。これは、世界中の4,500を超える組織や企業が参画するContent Authenticity Initiative(CAI:コンテンツ認証イニシアチブ)の取り組みの一環で、デジタルコンテンツに来歴情報を付与することで、コンテンツを保護するだけでなく、「認証情報のないコンテンツは、フェイクである可能性がある」という「気づきのアンテナ」を社会全体に浸透させていくものです。
また、Adobe Fireflyのモデルのトレーニングには、Adobe Stock、オープンライセンスコンテンツ、パブリックドメインコンテンツのみを使用し、インターネット上の画像はマイニングしていません。さらに、他者の著作物の名称を含むプロンプトでは、該当の単語を除外する「ガードレール」機能が搭載されています。
AI時代のドキュメントワーク
教育・研究・大学経営では、大量の資料を整理し活用する機会が多くあります。PDFツールとしてよく知られているAdobe Acrobatも、AIアシスタントを搭載して、PDFドキュメントをこれまで以上に「効率良くかつ安全に」扱うことができるようになりました。
Acrobat AI アシスタント はユーザーがAIと対話しながら、読み込んだPDFの要約や内容の分析を行う機能です。回答には常に読み込んだPDF内の引用元リンクが表示されるため、ハルシネーション(偽造生成)を防ぎ、人間のコントロールをきかせることができます。また同時に複数のファイルを読み込ませ横断的に分析することが可能なので、例えば規約やフォーマットを読み込ませて助成金申請の下書きをしたり、複数の論文を横断してポイントを抽出したりできます。読み込ませたデータはAI学習には利用されず、一定時間で削除されるため、未発表の論文や機密文書でも安心してご利用いただけます。
アドビ石澤眸によるAcrobat AIアシスタントのデモ
「AIによる不正防止」の議論から「社会で通用するAIスキル育成」の議論へ
授業の成果物でのAI活用について、本発表では、2025年6月のAdobe Education Forumでの北海道大学 情報基盤センター 教授の重田勝介先生のご講演を援用し、「トランスファラブルスキル」、つまり知識やスキルを異なる文脈や状況に転移させて活用するスキルを伸ばすことの重要性についてお伝えしました。学修すべき学問的基盤の重要性はICTやAIがどれほど進化しても揺らがないことを前提として、学びの過程で複数のメディア(レポート、映像、ポッドキャストなど)を成果物に活用することなどを通して、AIをツールとして使いこなしつつ、人間ならではの創造性や解決力を伸ばすことが、今後より重要になっていきます。
その一例として、誰でも直感的にクリエイティブな作業ができるAdobe Expressをご紹介し、会場の参加者にもそれぞれAdobe Expressでのクリエイティブ体験をしていただきました。
ドキュメントセキュリティと業務効率化の現在地
2つめの発表は「AI時代の文書セキュリティ最前線−改ざん・プロンプトインジェクション対策とAdobe Acrobat Studioの活用例−」と題し、アドビ デジタルメディア事業統括本部 ビジネスデベロップメントマネージャーの岩松 健史が、Acrobat AI アシスタントと最新製品Acrobat Studioの活用法を紹介しました。
アドビ岩松健史による発表
Acrobat AI アシスタントは、先述の通りAIの回答には引用元が提示されること、データプライバシーが守られることが特長です。また、PDFだけではなく、WordやPowerPoint、画像ファイル、その他のテキストファイルなどの読み込みも可能です。発表の中では、長文ドキュメントの要約や膨大な業務マニュアルからの必要箇所の検索、図表・画像の解析、複数文書の比較・分析などを実演しました。
また、発売されたばかりのAcrobat Studioもご紹介。Acrobat Studioでは、クラウド上で最大100ファイルを一箇所に保存・共有し、チームでAI解析を行うことができるため、複数のドキュメントを横断しながら、プロジェクトワークを協働で進めていくことが可能です。また、「誰がいつ参照・削除したか」を追跡できる機能を備えており、厳格なセキュリティ要件に対応しています。
見て触って体験できる「アドビ展示ブース」
期間中、アドビ製品の活用事例やAdobe Express・Acrobat AIアシスタント体験ブースを開設し、自校への導入を検討中または導入済でさらに活用を深めたい教職員の方々に多数お立ち寄りいただきました。
展示ブースの様子
AXIES2025年次大会では、AI時代の教育課題に対する解決策の一つとしてAcrobat AIアシスタントやAdobe Expressの機能や活用事例をご紹介し、全国の大学教職員の方々と有意義な意見交換を行うことができました。アドビは今後も教育・研究・大学経営におけるデジタル化推進のご支援に取り組んで参ります。