Acrobat ProとAcrobat Signが日本の公正証書デジタル化を促進~日本公証人連合会が全国の公証役場で運用開始~
2025年10月、日本の公証制度が大きな一歩を踏み出しました。これまで「紙と印鑑」が必要だった公正証書の作成手続きがデジタル化され、その推進の核として、アドビの「Adobe Acrobat Pro」(以下、Acrobat)と電子サインサービス「Adobe Acrobat Sign」(以下、Acrobat Sign)が採用されました。日本公証人連合会は2025年内に全国展開を完了し、公証役場で本格運用を開始しています。
公正証書は、遺言書や離婚に伴う養育費支払い等の合意書、不動産関連や金銭の貸借契約など、権利関係を法的に明確化するための公的文書です。本人が作成したことが公に担保される公正証書遺言は、2024年に過去最高の約12万8000件の作成件数を記録しており、公正証書に対する意識は年々高まっています。
しかし公正証書の作成に当たっては、当事者が公証役場に足を運ぶ必要があり、外出困難者や高齢者にとってハードルが高いものとなっていました。公証役場は全国に約300カ所ありますが、大都市を除くと県内に数カ所しかない地域もあるため、地方の居住者は長距離移動を強いられていました。公証人が当事者のもとに出向いて作成することも可能ですが、出張費のほかに公証人の日当が発生します。
これに対し、2025年10月の改正公証人法の施行以降、遺言書などの公正証書の作成手続きがデジタル化され、電子署名付きの電子証明書をメールで送信して、電子的に本人確認をすることが可能になりました。また本人からの申し出があり、要件を認められれば、公証人と当事者、証人がウェブ会議を利用して、リモート方式で原本作成に当たることもできます。ウェブ会議で公証人が本人確認及び作成意思の確認を行った後、案文を読み上げ、当事者が内容を再確認して了承すると、公証人が案文をPDF化して画面共有します。そして参加者それぞれがAcrobat Signで電子サインを行い、公証人がAcrobatで官職署名を行うと、原本PDFは日本公証人連合会のクラウドに保管されます。公正証書の内容を証明する文書等(従来の正本・謄本に相当するもの)の交付については、メール経由でクラウドからダウンロードするか、CD-R、もしくは印刷書面など複数の交付方法から選択できます。
相続に関わる公正証書は保存期間が非常に長く、従来は紙原本を安全に保管するため、役場の倉庫を利用するなど膨大な保管コストと管理作業が必要でした。今後、PDF化された電子データでの作成が原則となることで、保存や管理の効率が飛躍的に向上し、公証人にとっても大きな負担軽減につながります。
不動産取引に伴う賃借権の設定や、離婚に伴う合意書などもデジタル化の恩恵を受けると見られています。特に離婚においては、当事者同士が顔を合わせる心理的負担を軽減でき、それぞれが遠隔で手続きを済ませられる点が大きな利点となります。
こうした新たな公証サービスを支える中核が、AcrobatとAcrobat Signです。高度な電子署名、本人確認機能、監査証跡、国際基準を満たすセキュリティなど、公的文書に不可欠な信頼性を備え、オンラインでの署名プロセスを円滑に統合し、ユーザーが迷わず利用できる操作性を提供します。これにより、紙では難しかった「アクセス性」「保存性」「業務効率」「利用者負担の軽減」を同時に実現できます。
日本公証人連合会会長の萩原 秀紀氏は、次のように述べています。
「公証人にとって印鑑は命とも言える非常に重要な存在で、常に厳重に管理されています。また、当事者の署名も、当事者が公正証書の内容が正確であることを確認した証拠となるものです。その印鑑と署名に取って代わるのがAcrobat ProとAcrobat Signです。印鑑をAcrobatによる官職署名に置き換えAcrobat SignによるWeb会議上の電子サインを可能にすることで、より柔軟で、誰もが安心かつ手軽に公正証書を作成できるようになります。これにより、公証制度はより多くの人へ開かれたものとなり、より安心して運用できるようになるでしょう。」
アドビ株式会社 デジタルメディア事業統括本部 営業戦略本部 執行役員 本部長の松原 裕典は、次のようにコメントしています。
「日本における公正証書のデジタル化をAcrobat ProとAcrobat Signで支援できることを嬉しく思います。電子署名を用いて手続きがオンライン完結されることで、郵送や役場に出向くことなどのコスト削減が期待されます。またPDFは長期保管にも適しており、震災などで紙の紛失や焼失するリスクがあった際も、データが別の場所で残るという安心感も得ることができます。」
伝統ある公証制度に、アドビの最先端テクノロジーが融合することで、日本の法的インフラはかつてない柔軟性と堅牢さを手に入れました。アドビは、このデジタル化の波を全国へと波及させ、誰もがどこにいても、確かな法的効力とともに未来を築ける社会の実現を強力に推進してまいります。