調査レポート:創造性とAIスキルが学生のキャリアを切り拓く
昨今、高等教育機関のリーダーたちは極めて重要な課題に直面しています。学生が急速に変化する労働市場に対応できる状態で卒業できるように、大学は何をするべきでしょうか。AIはあらゆる業界の仕事の内容に大きな変化をもたらしています。採用担当者は学業成績が良いだけでなく、AIやデザインツールを活用して明確かつインパクトのあるアイデアを使ったコミュニケーションができる柔軟な思考力や創造的な問題解決能力を持つ人材を求めています。
アドビの「教育における創造性とAIについての調査レポート(2025)」では、米国と英国の教育者が、創造性とAIリテラシーは将来に不可欠なスキルであるとみていることを報告しました。
今回新たにアドビがEdelmanと共同で実施した最新の調査は、創造性と人工知能(AI)が学生のキャリア、学業、キャンパスでの活動にどのような影響を与えるかを探る3部構成シリーズの第1弾です。これらのレポートは、世界中の3,000人以上の学生と卒業生の若手社会人から収集した知見に基づいています。
最初の レポート はキャリアの成果に焦点を当てており、この領域で成果を上げている大学に共通する特徴が「創造性とAIスキルを全学的に育成するための積極的な投資」であることを明らかにしています。この結果は特にAdobe Creative Campus(全学的にアドビツールを導入し、正課内外での様々な領域の学びにおいてアドビツールを活用している大学)で顕著にみられています。
スキルをキャリアの優位性へ
学生も採用側も、「専攻は何でしたか?」から「実際に何ができるのか?」という会話へと移りつつあります。そこでAdobe Express、Adobe Creative Cloud、Adobe Fireflyなどのアドビのツールが、確かな違いを生み出しています。これらのツールを活用する大学生は、単に技術的な習熟度を高めるだけでなく、採用側が高く評価する本質的で応用ができ、将来に備えたスキルも同時に身につけているのです。
こうした学びへのエンゲージメントには大きな意義があります。多くの学生にとって、クリエイティブな瞬間が目的意識を明確化し、新たなキャリアの方向性を生み出します。実際、専攻を変更した学生の84%がクリエイティブツールやAIツールがその決定に影響を与えたと回答し、特に一般教養科目や選択科目を通じて大学生活の早期にツールを活用した場合、その効果が強く見られました。
“採用担当者は経験をとても重視しているように感じます。
今の採用市場では、学位だけでは不十分だと思います。
採用側が知りたいのは、自分が取り組んでいることに
自信があるかどうかなのです。”
- Hamzaさん(英国、デザイン専攻)
Adobe Creative Campusの効果
革新的な大学はさらに一歩進んでいます。Adobe Creative Campusに加盟している大学では、すべての学部・学科の学生に対してアドビツールが使える環境を整えています。
その効果は以下の通りです:
- Creative Campusの学生は、より高いAIリテラシー、強力なコミュニケーションスキル、そして学業成果に対する強い自信を獲得しています。
- Creative Campusの卒業生のほうが早く採用されており、中でもビジネス専攻の学生では他の学生より15%も早く就業できています。
- AIリテラシーの習熟度は、アドビツールを利用していない学生は63%であるのに対し、Creative Campusの学生は86%と非常に高い結果となりました。
これらの成果はデザインやメディア専攻だけではありません。Adobe Creative Campusでは、生物学、社会学、ビジネス、工学等を専攻する学生が、インフォグラフィックやAIを活用したピッチ用のスライド、ポートフォリオなどのクリエイティブな課題を通じて、実社会で求められるコミュニケーションスキルを身につけています。
このレポートの調査結果の報告会で、Adobe Creative Campus Innovatorsのうちの一校であるアリゾナ州立大学のMegan Workman Larson氏は次のように述べています:
“あらゆる分野のすべての学習者や学生が、未来の働き方を作る創造性とテクノロジーのスキルにアクセスする環境を持つべきです。私たちは、すべての分野において創造性とAIスキルの育成を支援する教育戦略を開発し、共有しています。”
- Megan Workman Larson氏(アリゾナ州立大学 ラーニングエクスペリエンスデザイン ディレクター)
授業プロジェクトからキャリア資産、そして就職まで
調査結果が一貫して示している知見のひとつは、アドビツールを活用する学生は、クリエイティブな課題を就職活動に活かせる成果物へと上手く昇華させることができていることです。アドビツールは学生が自信を言葉だけではなく、創造的でビジュアル性が高く、説得力のあるポートフォリオや応募書類として表現することを可能にします。
実際に、アドビツールを使用したことのある若手の社会人の93%が、就職面接でその経験について語ったと回答しており、現役学生の81%もインターンシップや就職活動の面接で同様に活用する意向を示しています。こうした経験や成果物は単に印象的であるだけでなく、実際に効果を発揮しています。
アドビを活用するスキルを体得した学生は、他の学生よりも早く内定を獲得しており、Creative Campusの卒業生は、他の学生より最大15%も早く正社員として雇用されており、専門分野を問わず成果が確認されています。
オートメーションとAIによって変化している採用市場において、最も強力な採用候補者とは、単に生成AIを使って検索結果を要約するだけではなく、創造的に思考し、ビジュアルなコミュニケーション力を持ちながら、生成AIと協働できる人材です。調査を実施したEdelmanのMatthew Edelman氏は次のように述べています:
“採用されるまでの時間が短いと言うことは、Adobe Creative Campusは、クリエイティブツールを自在に使いこなす力が単なる学問的強みではなく、キャリアをスタートさせる際の大きなアドバンテージとなることを示しています。”
- Matthew Cunnigham氏、Edelman上級副社長
末来を切り開くキャンパスリーダーへのメッセージ
本調査が示しているのは、学生が何を成し遂げられるかだけでありません。急速に変化する時代において、教育機関が時代のニーズに応え、競争力を維持しながらも、学生中心の姿勢を貫くために何をしなければならないかという点も浮き彫りにしています。創造的思考、AIリテラシー、効果的なコミュニケーションといったスキルはもはや「あると良い」ものではなくなっています。これらは学生の成功と教育機関の評価の両方を左右する重要な差別化要因となっています。
あらゆる業界で採用側が求める水準を引き上げる中、高等教育も同様にレベルを上げていかねばなりません。H&R Blockのクリエイティブ部門責任者のWendy Fitch氏は前述の報告会で下記のように述べています。
“私たちは機能的なスキルだけで採用しているわけではありません…本当に重視しているのは、適応力、好奇心、そしてクリエイティブツールやAIツールを自在に使いこなす力です…ですから、私の視点では、勝ち残る候補者とは、AIをクリエイティブなパートナーとして協働できる人なのです。”
- Wendy Fitch氏、H&Rブロック クリエイティブ部門責任者
大学にとっての課題は、「創造力やAIスキルが重要かどうか」から、「それらをいかに早期に、公平に、そして意図的に教育プログラムに組み込むか」へとシフトしています。こうしたスキルの育成に学部横断で取り組む大学は、学生を将来の就業に備えさせるだけでなく、変化し続ける世界に柔軟に適応してリーダーシップを発揮し、成長し続ける“未来を切り拓く力”を持った人材を育成しています。
※このブログは米国で2025年10月に掲載されたものの日本語抄訳版です。