生成AI時代に差がつく動画内製化 第3回 商品・サービス紹介動画

みなさん、こんにちは。

株式会社火燵の安部です。

「生成AI時代に差がつく動画内製化」と題し、4回に分けてお伝えします。第3回目は「商品・サービス紹介動画」について、下記の3つのテーマでお送りします。

01 商品・サービス動画 構成フレームと台本設計

02 事例紹介(GMOインターネット株式会社様)

なお、02ついては、GMOインターネット株式会社からドメイン・クラウド事業本部 クリエイティブ部 映像チーム リーダー / GMOインターネットグループ エキスパート(映像制作) 加藤優真様のAdobe Fireflyをはじめとしたアドビ製品を活用した動画内製化の事例をご紹介します。

01 商品・サービス動画 構成フレームワークと台本設計

商品・サービス動画を作る上で、視聴者の心理を的確に動かすための「構成フレームワーク」と「台本(スクリプト・絵コンテ)」は欠かせません。構成フレームワークとは、動画を企画する上で情報を整理するためにあらかじめ作られている「型」や「法則」のことです。それぞれの型に名前が付けられており、その法則にしたがって企画を積み上げていきます。構成フレームワークは建物に例えると骨組みや設計図に当たり、台本は内装・デザイン・素材に当たるとお考えください。

なお、商品・サービス動画でよく使われる構成フレームワークの名称と用途を下の表に挙げておきます。この中でも「PASONA(パソナ)」は、今回事例として紹介するGMOインターネット株式会社様でも使われている構成フレームワークです。

上記で挙げた構成フレームワークを目的・媒体などでまとめると下表のようになります。どれが良い悪いということはありません。例えば、顧客の購買心理プロセスに合わせて、認知段階では「AIDA」、教育段階では「QUEST」、販売段階では「PASONA」というように、タイミングに合わせて構成フレームワークを使い分けることが重要です。

例えば、構成フレームワークとしてPASONAをベースに、30〜60秒の商品・サービス動画を作る場合の台本設計は、下記のようになります。

「P」Problem(問題提起)0〜5秒
「A」Agitation / Affinity(煽り / 親近感・共感)5〜10秒
「S 」「O」Solution / Offer(解決策 / 提案)10〜20秒
「N」Narrowing down(絞り込み・限定性)20〜25秒
「A」Action(行動喚起)25〜30秒

企業規模によっては「A」としてAgitation(煽り)を強めすぎると批判を受けたり、広告審査に落ちたりすることがあります。「A」としてはAffinity(親近感・共感)を与えることが商品・サービス動画としては好ましいでしょう。

02 事例紹介(GMOインターネット株式会社様)

ここからは商品・サービス紹介動画の事例として、GMOインターネット株式会社様の取り組みを紹介します。同社は「お名前.com byGMO」「GMOとくとくBB」といったドメインやクラウド、インターネットプロバイダーなどのインターネットインフラを支えるサービスを展開している会社です。同社は非常に進んだ動画内製化を行っていましたので、事例として紹介させていただくことになりました。

映像チームは東京6名、宮崎2名の計8名。デザインや開発部隊は別にあり、8名それぞれが企画から撮影、編集そして公開・分析に至るまで映像制作を上流から一貫して担当しています。映像チームの業務内容としては、商材系案件、自社コーポレート系案件、グループ系案件とさまざまな分野の動画を内製化しています。

まずはGMO映像チームのデモリールがありますのでご覧ください。実写からモーショングラフィックス、アニメーション、3D風の映像まで幅広い表現で制作されていることが分かります。

https://youtu.be/oadkonbB-nI

今回事例としてご紹介する、映像チームが内製した30秒の動画広告(GMOとくとくBBで提供しているドコモ光のWeb動画広告)をご覧ください。

https://youtu.be/bYBRt3M33G8

この広告動画は加藤氏が1人で企画からアウトプットまで2週間くらい。音周りの作業は手伝ってもらいましたが、99%は1人で作り上げました。

より良いものを追求し、ブラッシュアップするコツは自分の軸をぶらさないこと。かっちりとプロンプトを決め込むこともあれば、あえて曖昧なプロンプトでAIに遊びを持たせ、想像を越えた画像を生成することもあったそうです。同社の商材は相性が良かったとはいえ、AIで作ったことが見えてしまいがちなのは色の部分。日本語の文字組みやロゴを生成した画像や動画と重ねた時に違和感があった場合は、手作業で色調整を行います。プロンプト自体も壁打ちで作ったそうです。英語の方が伝わりやすいので英語でプロンプトを作り、Fireflyのモデル選択は各種を同じプロンプトや同じ参照画像を入れてみて、結果を見て判断するなど、試行錯誤を重ねながら最適な生成方法を見つけていったそうです。

制作ワークフローとしては、企画素材制作映像制作編集・仕上げとなります。それぞれの詳細を見ていきましょう。

企画

マーケティング部門の要望と映像チームの知見を擦り合わせ、ChatGPTで壁打ちしながら企画を落とし込み、それを文字コンテとして表します。社内でコンセンサスを得る上でも、動画の流れがぶれないようにする上でも、文字コンテを作っておくことは非常に重要です。文字コンテには画面上に表示される文言やシーンごとの注釈を盛り込みますが、今回はIllustratorで制作したそうです。

素材制作

素材はメインツールとしてFirefly ボードを使いながらカット画像を生成し、Photoshopで画像の調整や加工を行います。企画で作成した文字コンテの内容に沿って、各シーンの設定画像をFireflyボードで生成・整理していきます。

映像制作の前に素材を制作しておくことによって作業が楽になる上、動画全体の軸がぶれないようになります。

設定画像をもとにFirefly Board内で各カットの画像を生成します。プロンプトは実写での撮影を想定してAIに指示します。例えば「35mmくらいのレンズで、天井が映るまで広い画角にして。4K解像度で。下は今くらいの切り方にして、上と左右を補填擦る感じ」といったプロンプトです。いい画質で生成させるには、プロンプトに「4K解像度」「ハイクオリティ」などと書くのがコツです。過去の生成結果を参照させながらアングルなどを微調整していきます。Fireflyボードは、過去に生成した画像や参照画像を並べられる上、過去に生成したプロンプトを読み込めるので、非常に便利だったとのこと。

テキストのプロンプトで上手く生成できない場合は、手描きのラフをFirefly Image Modelに参照させて生成します。例えば「真正面」というプロンプトはAIに理解してもらえなかったので、メモ用紙に描いたラフを撮って参照画像にしたところ、意図したアングルや構図を正確に再現できたそうです。

画像は適宜Photoshopで調整・加工します。不要な部分をマスクしたり、気になる箇所をレタッチで整えるなど、手作業を加えることで精度が上がります。

映像制作

素材が制作できたら、Ater EffectsやPremiereで30秒に収まるように仮組みします。

そして映像制作ですが、ここでもFireflyボードを使い、動画はFirefly VideoやVeo3によって生成しました。生成した動画はAfter EffectsやPremiereに取り込んで仮組みを行います。仮組みのタイミングでワンカットずつ書き出し、絵コンテを作成して、社内の事業部にチェックしてもらいます。AIが入ってきたことによって、ここまでのプロセスが劇的に変わりました。初期段階から完成に近いビジュアルによって事業部と合意形成できるようになります。手描きの絵コンテでは、絵心がないと完成動画と齟齬が発生することもあましたが、実際の映像をVコンテにすることで、スムーズに制作を進行することができるようになったそうです。

絵コンテで合意が取れた後は、決定画像を元に「どのような動きをするか」というプロンプトを作り、Firefly VideoやVeo3で動画を生成します。Veo3は最初と最後のフレームを指定したり、動きの細かいニュアンスを指示したりできます。自然な動きを付けるという意味では、ChatGPTで壁打ちしながらプロンプトをブラッシュアップしたそうです。

編集・仕上げ

動画が生成できたら、残りは人の手による編集作業。生成した動画をダウンロードし、Premiereに読み込んで本編集に進みます。この動画を制作した2025年末には無かったのですが、Fireflyボードには「Premiere デスクトップ版で開く」という機能が追加され、素材画像や生成した動画を、よりシームレスにPremiereに送ることができるようになっています。

本編集作業としてはPremiereをハブにして、After Effectsでアニメーションを作ります。やはり細かいアニメーションはAfter Effectsを使うのが便利です。

映像チームにとっても、制作作業でFireflyボードを使ったのは初めてでした。一貫して同じ画面で素材の生成や管理、整理ができることは、自分の頭の中だけではなくビジュアルとして共有できるので便利だったとのことです。また、便利だったこととしては、画像を右クリックするだけでプロンプトをカスタマイズした再生成が容易だったことと、目的に応じて各種モデルを使い分けながら生成できること。Fireflyボードを使うことによって、効率よくAI生成素材を使用した動画の内製化ができた、ということですね。

加藤氏によると、AIは「インハウスクリエイターの新たな武器」であり、活用しない手はないとのこと。小さな予算、少人数のチームでも「できること」の幅が一気に広がったと言えるでしょう。

今回の内容は以上です。次回は採用動画について、株式会社ベルーナ様の事例を中心にご紹介します。

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