Miro と Adobe XD で実現するオンラインでも効果的なデザインワークショップ | アドビ UX 道場 #UXDojo

パンデミックが起きる前、デザイナー達は小さな会議室に集まってアイデアを走り書きし、ラフスケッチを描き、コンセプトを壁に配置していました。アイデアは明確な意味を持つ必要はなく、というのは、表現しようととしているアイデアに自分の案を加えてくれるチームの仲間が共にいたからです。付箋、紙の切れ端、ノートの隅の書き残した領域、ホワイトボード、そして窓までが、考えついたあらゆることで埋め尽くされました。

デザインワークショップのこの魔法を、どうすればオンライン環境で再現できるでしょう?アイデアを共有する壁やホワイトボードが存在しない状態で、デザインチームが創造力を発揮するにはどのようにすればよいのでしょう?

オンラインコラボレーションの場合、まずチームにメッセージを送り、オンラインコールを設定し、スケジュールを決め、必要になったらリスケして、みんなが揃うのを待つことになります。そしてようやく画面を共有すると、少しアイデアを付け足すだけの方がより効果的な議題でも、参加者が口々に意見を出そうと試みます。これなら一人で作業したほうがずっと良かったのではと思う場面は少なくないかもしれません。

ハイブリッドな働き方への移行を検討する企業が増えています。この記事では、コラボレーションツール Miro とデザインツール Adobe XD を使ったオンラインのデザインワークショップを開催する方法を紹介します。ある面、従来の対面式ワークショップよりも、視覚的で参加者を引きつけ、しかも包括的で効率的なワークショップです。

Miro のホワイトボードを使ったオンラインコラボレーション

聞いたことがない方のため、まずは Miro とオンラインホワイトボードのコンセプトについて簡単に紹介します。Miro のホワイトボードは、コラボレーションのための無限のカンバスのような役割を果たします。ボード上では視覚的なコラボレーションが容易に行えるため、日々のデザインプロセスの大きな助けになります。付箋や画像を貼り付けたり、描画ツールを使ってシェイプやダイアグラムを描き、その場で思いついたアイデアを表現できます。

Miro には、その他にも多くのツールやテンプレートが用意されており、デザインプロセスを効率化し、改善するために利用できます。たとえば、ジャーニーマップを使えば、ブレインストームを行う際により多くのコンテキストを明らかにできます。また、デザインスプリントではすべてのドキュメントを一か所、すなわち Miro ボードにまとめることができます。デザイン批評を行うときは、匿名投票により全員の意見を求めたり、その場で、あるいは後からフィードバックを集める場所として利用できます。

Miro はデザインワークショップに物理的な会議室の感覚を取り戻します。Miro を使えば、現実感を持って仮想空間でコラボレーションできます。

ハイブリッドなデザインワークショップを円滑に実施するコツ

次は、デザインワークショップを成功させるための原則とプロセスを紹介します。ハイブリッドな働き方は多くの人にとって新しい変化かもしれませんが、Miro は既に 10 年以上ハイブリッドなデザインワークショップに使われてきました。これからその経験から得た主要な原則を共有します。

一つ目の原則は、「参加者の一人でも遠隔地から参加している場合、全員が遠隔地にいるかのように行動する」です。

本当に何回となく、遠隔地の参加者に見せるためにノートパソコンのカメラを作業中のホワイトボードに向けているチームを目にしました。しかし、リモートの参加者は、単に見て状況を知るために会議に参加しているのではないはずです。チームに貢献し、他のメンバーとコラボレーションしたいと考えているでしょう。

誰もが平等に参加できる方法を見つけなければなりません。Miro は、付箋、コメント、投票ツールなどの機能を通じて、誰もが参加し、フィードバックを残し、気に入ったものに投票する場所として利用できます。

二つ目の原則は、「物理的に一緒に働いているかのように努める」です。

これは、一つ目の原則とは相容れないように感じられるかもしれません。しかし、デジタルだからといって、物理的な側面がないわけではありません。Miro のタイマーや音楽ツールは気分を高揚させるために使えます。ペンツールで一緒にスケッチをしながらアイデアを膨らませるのは楽しい行為です。

三つ目の原則は、「書いたり描いたりする行為は、ただ話すだけよりもはるかに有益である」です。これは原則というより事実です。

デザインワークショップが会話だけのワークショップより優れているのには理由があります。人間は 1 分間に 125 単語を話せますが、頭の中では 1 分間に 300〜400 語を処理できます。人々が会議を退屈だと感じる主要な理由のひとつはこれです。Miro のホワイトボードのような視覚的なツールを使えば、画像や動画を持ち込んだりダイアグラムを作成することにより、より多くの情報をより素早く伝えられます。

Miro と Adobe XD の連携でワークショップを効率化

Miro と Adobe XD が統合されたことにより、オンラインコラボレーションによる素晴らしいデザインセッションを、より簡単に行えるようになりました。また、デザインをプロトタイプを使って洗練させる作業も容易になります。

プロジェクトには、デザイナーではない人も多く含まれるものですが、そうした人々が求めているのは、フィードバックをしたり、デザインをプロジェクトのスコープに適合させたり、プロトタイプやデザインを文脈の中で確認するためのより親しみやすい方法かもしれません。Miro を使えばプロダクトマネージャーマーケターエンジニアがそれぞれの役割に合った意見を簡単に出せるようになります。

Adobe XD for Miro を使うと、XD ファイルからアートボードを選択して、そのまま Miro に取り込んでレビューできます。共有したい画像のコピー&ペーストを繰り返す必要はありません。

取り込んだデザインに対して、コメント、落書き、付箋などによりフィードバックが集まったら、Adobe XD で修正作業を行って、 Miro のボードを再読み込みすればボード上の画像が最新のデザインと同期されます。このプロセスを行うときは、まず簡単に背景を説明し、デザインを一通り紹介し、その後に質問やコメントを付箋で書いてもらうことをお勧めします。

おわりに

対面式のワークショップと同様、オンラインワークショップの運営にも難しい場面があります。ですから多少の準備は必要ですが、Miro と Adobe XD の組み合わせは、ワークショップをよりスムーズにし、体験全体を向上させることができるでしょう。

自室で一人で働くとしても、一人で作業しなければならないわけではありません。オンライン環境に創造的に働くのための空間を持つことは可能です。そして多くの点で、これまでよりも優れたコラボレーションを実現できるかもしれません。

この記事は Recapture the magic of hybrid design workshops with Miro and Adobe(著者: Shipra Kayan)の抄訳です