【初級】#11 ゆがみフィルターで笑顔を作ろう|初心者のための「本当はむずかしくない」はじめてのPhotoshop
第11回は、バナーデザインの模写を通してPhotoshopの「ゆがみフィルターを使った笑顔の作り方」について学びます。
Photoshopの基本的な操作については、第1回の記事「【初級】バナーの模写でPhotoshopをマスター」をご覧ください。ファイルの作成から文字の入力、制作したデータの書き出しまで解説しています。
今回の記事で模写するバナーデザイン
今回は「業務代行サービス」のバナーデザインを模写します。黄色と黒の組み合わせで目を惹きつけ、担当者のイメージが複数の人物で表現されています。
次の画像を右クリックメニューから保存してください。
今回模写するバナーデザイン
使用している写真素材は、以下のAdobe Stock無料素材からダウンロードをお願いします。
- オフィスで腕組みをするビジネスパーソン:https://stock.adobe.com/jp/542313753
ビジネスパーソンのイメージ写真
目次
- 新規ドキュメントの作成と模写用バナーの配置
- ゆがみフィルターで笑顔に調整
- 写真を切り抜く
- 写真を配置
- 文字の加工
- ファイルの保存と画像の書き出し
- 別パターンの模写にチャレンジ
- まとめ
新規ドキュメントの作成と模写用バナーの配置
Photoshopを起動したら、まずは新規ドキュメントを作成して模写用のバナーデザインを配置します。一連の手順は、第1回の記事「【初級】バナーの模写でPhotoshopをマスター」をご覧ください。
模写の準備が整った状態
また、選択状態のレイヤーを判別しやすいように「バウンディングボックス」と呼ばれる四角形の境界を表示します。
[移動ツール]を選択するとオプションバーに[バウンディングボックスを表示]の項目が表示されるので、チェックします。
ゆがみフィルターで笑顔に調整
集合写真を使う際、一部の人物だけ表情が硬いことがあります。
特定の人物だけを切り抜いて笑顔の写真に差し替えることもできますが、「ゆがみフィルター」を活用すると、簡単に笑顔を演出できます。
[ファイル]メニューから[開く]を選択して、ダウンロードした画像を開きます。
写真の拡大・縮小を繰り返しても劣化しないように、スマートオブジェクトに変換しておきましょう。
[背景レイヤー]を右クリックすると表示されるメニューから[スマートオブジェクトに変換]を選択します。
スマートオブジェクトに変換することで、オリジナルのデータを保ったまま、何度でも画像の修正を行えます。詳細は第9回の記事をご覧ください。
[フィルター]メニューから[ゆがみ]を選択します。
ゆがみフィルターが開いた状態
[顔ツール]を選択すると、画像内の顔が自動で認識され、顔の左右に白い線が表示されます。
顔ツールを選択した状態
笑顔に調整したい男性の顔をクリックすると、[顔立ちを調整]→[顔を選択]に「顔の番号」が表示されます。私の環境では「顔 #3」が該当の番号です。
笑顔に調整したい顔の番号を選択した状態で、[口]エリア内にある[笑顔]の数値を[50]に変更して[OK]で確定します。
調整前は口角が下がり少しだけ不機嫌な印象ですが、調整後は自然な笑顔に仕上がりました。
また、大幅に調整すると不自然な印象になるので、プレビューでバランスを確認しながら調整します。
写真を切り抜く
写真を切り抜いて背景を除去します。
[選択範囲]メニューから[被写体を選択]を選択します。
選択範囲が自動で作成され、被写体が選択されます。
赤い円の箇所は選択範囲が漏れており、青い円ははみ出て選択されているので、[クイック選択ツール]を使って調整を行います。
なお、環境により選択範囲の作成結果は異なる場合があります。
[クイック選択ツール]を選択します。
ブラシサイズを使いやすい大きさに調整します。ブラシオプションを開き[直径]を[100px]に指定します。
赤い円の選択範囲に漏れがある場所をドラッグして、選択範囲を追加します。
青い円のはみ出た箇所は、オプションバーの[現在の選択範囲から一部削除]へ切り替えると、ドラッグで選択範囲を除去できます。
選択範囲の調整が完了した状態
選択範囲が作成できたので[レイヤー]パネルから[レイヤーマスクを追加]を選択して、人物を切り抜きます。
切り抜きが完了したので[ファイル]メニューから[保存]を選択して、psd形式で保存します。
写真を配置
切り抜いた写真を、模写用のpsdへ配置します。
[ファイル]メニューから[リンクを配置]を選択して、切り抜きを行ったpsdファイルを配置します。
配置したら下絵とぴったり合うように、[移動ツール]を使って位置を調整し、バウンディングボックスでサイズ調整を行います。
縦横比が固定された状態で変形を行えるように、オプションバーの[縦横比を固定]がONになっているかを確認しましょう。
写真の大きさや位置の調整が完了した状態
文字の加工
「効率化」の文字には、斜体を掛けた後にそれぞれ回転させることで、打っただけの文字よりも目を惹く加工を施しています。
斜体は縦方向の線に角度がつき、横方向の線は水平です。
斜体に回転を加えて縦方向の線を垂直に揃えると、横方向の線に角度がつきます。
これにより、斜体とはわずかに異なる印象を演出できます。
[横書き文字ツール]を選択します。
レイヤーを回転させるため、一文字ずつ「効」「率」「化」とレイヤーを分けて入力します。
また、入力した文字は写真のレイヤーの下側へ移動します。
文字の入力や斜体の加工方法は第1回の記事をご覧ください。
文字は以下の設定を指定します。
- フォント:小塚明朝 Pr6N B
- 文字サイズ:115px
- 文字色:#000000
- 斜体
斜体を掛けた文字を配置した状態
[移動ツール]に持ち替えてテキストレイヤーのバウンディングボックスをクリックし、オプションバーの[回転]の値[-10]に指定します。
文字の加工が完了した状態
残りの文字を入力して、ボタンはシェイプで作成します。フォントはすべて「小塚明朝 Pr6N B」で、黄色のカラーは「#fff100」を使用しています。
文字の入力やシェイプの使用方法は、以下の記事をご覧ください。
また、背景色の指定は、バナーという性格上サイズ変更を行う可能性があるので、[べた塗りレイヤー]がおすすめです。
[レイヤー]メニューから[新規塗りつぶしレイヤー]→[べた塗り]を選択します。
[新規レイヤー]ダイアログボックスが表示されるので、そのまま[OK]をクリックして確定します。
[カラーピッカー]ダイアログボックスのカラーコード入力エリアに[fff100]を入力して、確定します。
[べた塗りレイヤー]を下から2番目の位置にドラッグで移動します。
模写が完了した状態
ファイルの保存と画像の書き出し
お疲れ様でした! これで今回のバナーデザインの模写は完了です!
ファイルの保存と、作成した画像の書き出しを行いましょう。書き出し方法は、第1回の記事をご覧ください。
別パターンのデザイン模写にチャレンジ
別の写真を使って別パターンのバナーデザインを用意しました。
綺麗なオフィスで働く若い会社員:https://stock.adobe.com/jp/481303903
一番左側の人物が硬い表情なので、ゆがみフィルターで調整を行ってみてください。
また、模写が完成したバナーデザインは「#はじめてのPhotoshop」のハッシュタグを付けて、SNSでシェアしてみましょう!
まとめ
今回はゆがみフィルターで笑顔を作る方法について解説しました。
- 堅い表情は、ゆがみフィルターで口角を上げると明るい表情が作れる
- 「被写体を選択」で作成した選択範囲は「クイック選択ツール」で調整できる
- 斜体を回転させると、縦方向の線が垂直に整った加工が行える
次回は、ニューラルフィルターで印象的な表現を作る方法について解説する予定です。