【初級】#8 華やかな演出をパターンで表現しよう|初心者のための「本当はむずかしくない」はじめてのPhotoshop
第8回は、バナーデザインの模写を通してPhotoshopの「パターン」について学びます。
Photoshopの基本的な操作については、第1回の記事「【初級】バナーの模写でPhotoshopをマスター」をご覧ください。ファイルの作成から文字の入力、制作したデータの書き出しまで解説しています。
今回の記事で模写するバナーデザイン
今回は「窯元の100周年記念感謝祭」のバナーデザインを模写します。歴史を感じる和の雰囲気を表現するために、日本伝統の和柄を背景に使用します。
次の画像を右クリックメニューから保存してください。
今回模写するバナーデザイン
使用している写真素材は、以下のAdobe Stock無料素材からダウンロードをお願いします。
- 日本の焼き物の皿:https://stock.adobe.com/jp/168838509
- 萩焼の湯呑:https://stock.adobe.com/jp/399042902
- 織部焼の皿:https://stock.adobe.com/jp/457032523
- 和皿:https://stock.adobe.com/jp/555043905
陶器の写真
目次
- 新規ドキュメントの作成と模写用バナーの配置
- パターンの作成と定義
- パターンオーバーレイの適用
- 文字と画像の配置
- ハイフンとコロンのベースラインシフト
- ファイルの保存と画像の書き出し
- 別パターンの模写にチャレンジ
- まとめ
新規ドキュメントの作成と模写用バナーの配置
Photoshopを起動したら、まずは新規ドキュメントを作成して模写用のバナーデザインを配置します。一連の手順は、第1回の記事「【初級】バナーの模写でPhotoshopをマスター」をご覧ください。
模写の準備が整った状態
また、選択状態のレイヤーを判別しやすいように「バウンディングボックス」と呼ばれる四角形の境界を表示します。
[移動ツール]を選択するとオプションバーに[バウンディングボックスを表示]の項目が表示されるので、チェックします。
パターンの作成と定義
背景に敷かれている模様は「七宝つなぎ」という縁起が良いとされる和柄で、「金、銀、水晶、るり、めのう、さんご、しゃこ」の7つの宝を象徴するデザインです。
「七宝つなぎ」の作り方は簡単です。正円を4つ配置し、その中央に5つ目の円を配置します。この形を上下左右に反復することで、七宝つなぎの和柄を作成できます。
今回は、Photoshopのレイヤー効果「パターンオーバーレイ」で使用できるように、七宝つなぎのパターンを定義します。
[ファイル]メニューから[新規ドキュメント]を作成します。幅と高さに[50px]を指定し、アートボードのチェックを外します。
パターンを定義する新規ドキュメントを作成した状態
[レイヤー]メニューから[新規塗りつぶしレイヤー]→[べた塗り]を選択します。[新規レイヤー]ダイアログが表示されるので、そのまま[OK]を選択します。
[カラーピッカー(べた塗りのカラー)]が表示されるので、カラーコード[#000000]を入力して[OK]で完了します。
[楕円形ツール]を選択して、カンバスをドラッグして幅と高さ[50px]の円を作成します。
[移動ツール]で作成した円形のシェイプレイヤーを選択し、[プロパティ]パネルで、以下の設定に合わせて円形の形状を調整します。
- 塗り:無し
- 線:#ffffff
- 線の幅:4px
- 線の整列タイプ:内側
同じ形を連続して配置することによってパターンを作成できますが、形の反復が誤って行われる恐れがあります。 Photoshopでパターンを作成する際に[パターンプレビュー]を使用すると、調整を行いながら仕上がりを確認できます。
[表示]メニューから[パターンプレビュー]を選択します。
以下のアラートが表示されることがありますが、今回は気にせず[OK]を選択します。
カンバスの情報が上下左右に反復して表示されます。
カンバスの情報が反復して表示された状態
円形のシェイプレイヤーを複製します。[編集]メニューから[コピー]を選択し、その後[編集]メニューから[ペースト]をクリックすると、円のシェイプが複製されます。
また、ショートカットキーを使って[commandキー]+[C]でコピーし、[commandキー]+[V]でペーストすることもできます。
コピーした円形のシェイプレイヤーの位置をずらします。X軸方向に[25px]、Y軸方向に[25px]移動させると、七宝つなぎの模様が作成できます。
七宝つなぎの模様が完成した状態
作成したパターンをパターンオーバーレイで使用できるように、[パターンの定義]を行います。
[編集]メニューから[パターンを定義]を選択します。
[パターン名]ダイアログが表示されたら、「七宝つなぎ」など、後で分かりやすい名前を入力して[OK]で確定します。
これで七宝つなぎのパターンが登録できました。
パターンオーバーレイの適用
作成した七宝つなぎのパターンを背景に適用します。
[長方形ツール]を選択して、幅と高さが300pxのシェイプを作成します。
塗りのカラーには[#e8ba60]を指定しましょう。
作成したシェイプレイヤーを[ダブルクリック]します。
[レイヤースタイル]ダイアログが開くので、以下の値を指定します。
- スタイル:パターンオーバーレイ
- 描画モード:スクリーン
- パターン:作成した七宝つなぎのパターン
- 比率:60%
これで背景に七宝つなぎのパターンが適用できました。
背景に七宝つなぎのパターンを適用した状態
文字と画像の配置
背景画像に文字と画像を配置します。下絵が見づらい場合、作成したシェイプレイヤーを非表示にすると、模写がしやすくなります。
Adobe Fontsの「Hina Mincho」というフォントを使うため、こちらのリンクからフォントを追加しましょう。
文字を入力するには「横書き文字ツール」を使用し、画像はお皿や湯飲みだけが表示されるように切り抜きを行い配置します。詳細な手順については、以下の記事を参照してください。
模写が完了した状態
ハイフンとコロンのベースライン
日付や日時の中にある「ハイフン(-)」や「コロン(:)」は、そのまま入力すると少し下がって見えます。ベースラインを調整して上下中央の位置に揃えると、きれいに仕上がります。
ベースラインの調整を行う場合、調整したい文字だけを[横書き文字ツール]で選択します。
[ウィンドウ]メニューから[文字]を選択します。
表示された[文字]パネルの[ベースラインシフトを設定]にプラスの数値を入力すると、ベースラインが上にシフトします。
数字と「ハイフン(-)」や「コロン(:)」が上下中央の位置に揃うように、ベースラインを調整します。
ベースラインの調整前と調整後
ファイルの保存と画像の書き出し
お疲れ様でした! これで今回のバナーデザインの模写は完了です!
ファイルの保存と、作成した画像の書き出しを行いましょう。書き出し方法は、第1回の記事をご覧ください。
別パターンのデザイン模写にチャレンジ
同じ素材を使って別パターンのバナーデザインを用意しました。
背景のパターンが市松模様に変わっているので、新しくパターンを作成してみてください。
また、模写が完成したバナーデザインは「#はじめてのPhotoshop」のハッシュタグを付けて、SNSでシェアしてみましょう!
まとめ
今回はパターンプレビューを使った和柄の作り方について解説しました。
- パターンは上下左右に同じ形を連続配置して作成する
- 「パターンプレビュー」を使って仕上がりを確認しながら作業する
次回は、Camera Raw フィルターを使った写真の補正について解説する予定です。