企業でも安心して利用できるAcrobat AIアシスタント: データガバナンスとセキュリティへの取り組み
日本では、すでに企業のお客様向けにAIアシスタントの一般提供を開始しています。AIアシスタントは、Acrobat上でドキュメントと対話することで、ワンクリックでの要約を可能にし、インパクトのあるコンテンツの作成と生産性の向上を実現します。これは、PDF文書に関する当社の深い知識と、文書処理のための当社独自の技術を結集したものです。
アドビの取り組み:責任あるAIの開発
世界中の組織が、最も重要なデジタルドキュメントをアドビに託しています。企業がAIの力を活用して生産性を向上させ、インパクトのあるコンテンツを作成する中、アドビはエンタープライズ向けの高度なセキュリティとプライバシー管理を優先し続けています。
Adobe Acrobatが企業特有のプライバシーおよびセキュリティ要件を満たすように配慮されているのと同様に、AI アシスタントを責任あるAI開発プロセスに沿って開発することに多大な配慮を払ってきました。アドビのすべての生成AI機能は、アドビのAI Ethicsガバナンスプロセスを通過し、説明責任、責任、透明性というアドビのAI Ethicsの原則に沿って開発および展開されます。
ユーザーや管理者が信頼できるAIの設計・実装・運用
- アドビは、大規模言語モデル(LLM)に非依存のアプローチを採用しているため、目の前のタスクに対して最高レベルのテクノロジーを選択することができます。Adobe Acrobatの生成AI機能については、現在マイクロソフトのAzure OpenAI Serviceを活用していますが、契約上、アドビの顧客データに対してLLMを手動でレビューしたり学習させたりすることは禁止されています。
- 当社は、Microsoft Azure OpenAIのコンテンツフィルタリングサービスを活用し、ヘイト、性的、暴力的、自傷的なコンテンツを規制しています。倫理的に責任ある回答をさらに確実に提供するため、Acrobat Generative AI Serviceは、憎悪や冒涜をフィルタリングする追加メカニズムとして、定義されたブロックリストも活用しています。回答は、両方のチェックを通過した場合にのみユーザーに提供されます。
- アドビは、報告されたコンテンツ、バグ、脆弱性、およびユーザーから提供されたフィードバックにアクセスできる者を、訓練を受けた少数のアドビ社員に厳しく制限しています。これらの従業員は、アルゴリズムと手動のプロセスを使用してセッションデータを確認し、Acrobatの生成AI機能内で報告された問題の対処を支援します。
「アドビは長年にわたり、サイバーセキュリティの強固な基盤の確立に注力してきました。それは、有能な専門家、強力なパートナーシップ、最先端の能力、深いエンジニアリング能力によって実現されるコラボレーション文化の上に築かれています。」とアドビのサイバーオペレーション担当バイスプレジデント、Mike Mellorは述べています。
「当社は、当社のグローバルチーム、より広範なセキュリティ研究者コミュニティ、パートナーから学びながら、生成AI技術を継続的にテストし、レジリエンスを強化し、能力を向上させています。」
お客様のデータの尊重
- LLMの学習やファインチューニングには、お客様のデータは利用されません。また、ドキュメントから要約や洞察を生成するには、ユーザーがAIアシスタントまたは生成要約ボタンをクリックして機能を明示的に有効にする必要があります。また、Acrobatの生成AI機能をユーザーや企業が必要に応じてオフにする方法についてもガイダンスを用意しています。
- AI アシスタントは、文書に示された情報のみを参照し、ウェブや電子メール、他の場所に保存されたコンテンツなど、他の外部ソースは参照しません。なお、LLMは一般に、「フランスの首都はどこか」といった質問に答えるために使用できるような事前学習された知識を持っています。AIの回答にアトリビューションがついておらず、「一般的に言って〜」といった表現がついている場合は、LLMが事前学習した知識を用いて生成された回答いうことになります。アトリビューションについてはこちらを御覧ください。
- アドビのカスタムアトリビューションエンジンと独自のAIは、明確な引用を生成するため、ユーザーはユーザーが提供したドキュメントの中から回答の根拠を簡単に確認することができます。
- チャットの履歴(入力と生成された回答)は、削除またはクエリの継続のために、ユーザーのコントロール下に残ります。AIアシスタントは、以前のセッションに戻りたいというユーザーの要望に応えるため、チャット履歴を保持します。
- Acrobat Generative AI Service は、PDF からコンテンツを抽出してプロンプトを処理します。上記のチャット履歴の保持とユーザーから報告されたコンテンツを除き、セッションからアップロードされたドキュメント、プロンプト、生成されたレスポンスはすべて、12時間後にアドビのクラウドサービスから自動的に削除されます。
- AIアシスタントの回答は、個人で利用するためのものです。ウェブ上で共有された文書に対する回答も、そのユーザーだけがアクセスでき、ユーザー間で共有されることはありません。
ビジネスのために作られたAI
- ReaderとAcrobatのAIアシスタントは、アクセスするユーザー/ユーザーグループを選択したり、製品のジャストインタイム・プロビジョニングを可能にしたりするなど、きめ細かな管理者レベルのコントロールを含め、エンタープライズグレードのデータセキュリティと情報ガバナンス機能を提供します。
- データセキュリティをサポートするため、事前・事後の処理およびエンジニアリング・プロセスにおいて、堅牢なテストおよびモニタリング手法を構築しています。
- すべてのユーザー・コンテンツ、プロンプト、およびレスポンスは、送信時に暗号化されます。 Acrobat Generative AI Serviceによって保存されるデータはすべて、SHA-256を使用して暗号化されます。
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テクノロジーの未来はエキサイティングですが、これらのイノベーションが責任を持って構築されなければ、良くない影響が及ぶ可能性があります。アプリ内やアドバイザリーボードからコミュニティグループやソーシャルリスニングプログラムに至るまで、アドビはお客様にフィードバックを提供するための複数のチャネルを提供しています。また、アドビはお客様を大切にし、お客様のビジネス要件により良いサービスを提供するために、お客様のご希望のチャネルを通じたフィードバックをお勧めしています。
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AIアシスタントは、さまざまなドキュメントタイプを横断したインサイトの獲得、AIを活用したオーサリングと編集、AIがサポートするドキュメントコラボレーションなどが実現されています。また、Adobe Expressとの統合も実現しています。
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この記事は2024年5月8日(米国時間)に公開された Adobe Acrobat AI Assistant for enterprise: Our commitment to data governance and securityの抄訳です。